第4話 僕は小説から話を逸らすために彼女に尋ねた
僕はいま、二つのことに頭を悩ませていた。
彼女は一体誰なんだろう?
彼女はどうして僕の名前を知ってるんだろう?
これが小説の世界だったら忘れるくらい昔に転校していった幼馴染とか、何故か知らなかったクラスメートとか、設定は色々あるだろうが、僕に関しては一切そんなお約束な展開が有るはずがない。
とりま、盗み見てたことだけは素直に謝ろうと思った。
「あ、あのゴメン。君のこと見てたのは間違いないんだ」
「まぁ、ラブコメ小説書いてたら、女子のことに目が行っちゃうよね。ニィーッシィシィシィシィシ……w」
とても図書室にいる眼鏡女子とは思えないくらいに、明るい笑い方だ。
どちらかといえば、運動部系の陽キャ独特の笑い方だなって思った。
えっ?女子に勝手な幻想を抱くな!って?
僕と接点が有るのは、敬意を払う小説の中に登場する女子だけだ。
現実の女子には、何の幻想も抱いてはいない。
「それで僕は謝ったつもりなんだけど、そもそも君は誰なの?」
彼女はビックリしたような顔をして言った。
「ひょっとして、私のこと知らない?」
「何で僕が君のこと知ってるの?」
「私これでも一応、生徒会の役員なんだけど……つい秋過ぎまで選挙活動とかでシッカリ名前を売ってた積りなんだけど、ホントに知らない?」
「選挙活動が有ったのは、何となく知ってたけど、立候補者の名前までは知らないよ」
彼女は何故か?ガックシ肩を落としているように見えた。
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