第5話 そうして、彼女たちはメイド候補としてやってくる

 数日後に彼女の家をお忍びで訪問したが、どうやら前より症状は良くなっていた。


 このまま薬を飲み続ければ、完治する日も遠くないだろう。


 お母さんが眠った後、彼女と2人で話をする。


「そ、それで...その...お、お礼なんですけど...今は...お金がなくて...その...そういったもので返せるものがないんですけど...ど、どうすれば良いでしょうか...?」

「いや、やっぱりお礼とかはいいよ。ほら、お母さんのおかげでこの薬が効くことが分かったからさ。それだけで十分だよ」というと、「...でも...襲われそうになったところを助けてもらったこともありますし...何か...お手伝いできることがあれば...」

「あー...じゃあ、一個だけいいかな!」


 そうして、俺はあることを頼んだ。


「...それでいいですか?もしかして...恋人への贈り物か何かですか?」

「いやいや、お世話になっている人に日頃のお礼をしたいだけだよ」

「...わかりました。それでは...」


 そうして、俺は彼女の家を後にした。


 ◇自室


「...さてと...」


 偶然ながらもメインヒロイン2人との接点が生まれた。

これがいい方向に向けばいいが...。


「アイン様。こちら、以前に頼まれていたものです」と、テーブルに結構な量のお金をどかっとおく。


「おー、ありがとう。やっぱ、今のレートだと端金でも結構な大金になるな」

「...本当にこの隣国のお金の価値が上がるんですか?」

「まぁまぁ、まっとけって。必ずこのお金は価値が跳ね上がるから」


 メインヒロインはあと2人...。

こことの接点が生まれるのであろうか?


 そんなことを考えながら、俺はとりあえずできる限りの金策に走った。


 それからは本当にあっという間だった。

原作を頼りに自分が得をする方にベッドし続け、お金を稼ぎ、見事1年後には自国の通貨は暴落し、隣国の通貨の価値が跳ね上がった。


 地道に隣国の通貨に変えていたこともあり、俺も大儲けに成功したことで、ようやく我が一族も貴族としての面目を取り戻すことができ、上納金を収めることができたため、貴族会にも復活することができた。


 ちなみにこの間に、2人のメインヒロインとも少しだけ接点があったのだが、特に何か特別な関係になることなどはなかった。


 全てが順調に思えた...。

しかし、俺の知らないところで歯車が狂い始めていることを俺は知らなかった。


 ◇2年後


「...よし、そろそろメイドを増やそう」

「...いきなりなんですか?」

「いや、ほら!最近お客さんが来ることも増えたし、シュリ1人で回すのも大変だろ?一気に4人くらいメイドを増やすのありかなーって」

「...別に私は1人で十分ですけど」

「最近疲れた顔してるの知ってるぞ?まぁまぁ、俺に任せておけって」

「...」と、やや不満そうな顔をするシュリ。


 しかし、それを無視して俺はメイドの募集をすることに決めた。


 募集人数4人に対し、50名ほどの応募が来た。

報酬が結構高いことと、自国の経済状況がやや不安定なこともあってか、こんなに応募が来たのだろう。


 さて、見極めますか...。


 そう思って、ある日...この日は4人のメイド候補と面接をすることになったのだが...。


「アイン様。面接の準備が整いました」

「おう」


 そうして、部屋に入るとそこには見知った顔の女の子がいた。


1人目:エリス・リージュ(主人公の婚約者)

「...嘘だろ?」

「...ご無沙汰してます。あの時は母を助けていただきありがとうございました」

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093091503957718


2人目:ユーリ・ゼイン(主人公の妹)

「...まじ?」

「あの...あの!覚えていらっしゃいますか...?私と兄を一晩、このお城に泊めていただいたことがありまして...」

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093091504058233


3人目:ノア・ハイシュ(主人公のクラスメイト)

「...おぉ...久しぶり...」

「お久しぶりです。ずっと...探していました。あの時のお礼をしに参りました」

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093091504144027


4人目:ルビア・アンジュラット(主人公の幼馴染)

「...いやいや...なんでアイラ様がここに...。あなたは貴族じゃないですか...」

「そんな立場など私にとってはどうでもいいのです。あなたに一生を捧げられるのなら、それが私にとっての1番の幸せです」

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093091504240530


 まさか...こんなことになるなんて...。

けど、こうなったら...。


 こうして、俺は4人を選んだのだった。

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