ある冬の夜のこと
未羊
エピソード
冬の特に寒い日の夜のこと。
緊張と寒さで僕はよく寝付けなかった。
布団の中だというのに、思わず身震いをしてしまう。
お手洗いに行きたくなった僕は、布団から抜け出して立ち上がる。
一歩を踏み出して床につま先をつく。
「冷たい!」
思わず僕は足を引っ込める。
再び布団の上に足を乗せると、僕は外を見る。ちらりと見える窓枠に、いびつな影ができていた。
どうやら外は雪が降っているらしい。
「やだな。明日は試験だっていうのに」
雪が積もってしまうと、歩くのにも困ってしまう。
明日の試験会場までの僕の移動手段は自転車だ。カーブで派手に転ばないか心配になってしまう。
「うう、今はとにかくトイレに行ってこよう。このままじゃ眠れない」
我慢していては目も当てられない状況になってしまう。
僕は覚悟を決めて布団から脱出する。
つま先を床につけた途端に、ひんやりとした衝撃が僕を襲う。
それでも、最悪の事態を避けるために、僕は一生懸命我慢してお手洗いに向けて一歩、また一歩と踏み出していく。
僕の部屋は二階、お手洗いは一階。
暗闇で見えない階段を、壁に手を当てながら一歩一歩慎重に降りていく。
ようやくたどり着いたお手洗い。だけど、僕は焦って扉を開け損ねて頭を打ってしまう。
「いったぁ~……」
どうやら寒気で眠りかけていたみたいだ。頭をぶつけた衝撃で目を覚ます。
おかげでどうにかドアノブを見つけ、ようやく用を足すことができた。
「さて、これで落ち着いて眠れるぞ。明日は試験だ。寝坊しないで起きるぞ」
ひと安心した僕は、来た道を戻って自分の部屋へと向かう。
無事に布団にたどり着いた僕は、中へと潜り込んでしっかりと布団をかぶった。
「おやすみなさい。明日は頑張るぞ」
目を閉じて、ぐっすりと眠りに就く。
しかひ、この時の僕は知らなかった。
もっと恐ろしい事態が翌日に襲い掛かってくることを。
ある冬の夜のこと 未羊 @miyou
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