配属

「えーっと、今日から竜太は一課配属が決定したから」と萬屋。


「分かりました」


「てか僕はどうなるの?」とやっと起きたランが訊く。


「ん〜まぁ多分竜太のペットってことになるかな」


「へいへい、てか僕らどこで暮らせばいいの?野宿?僕はいいけど竜太がキツいと思うな〜」


「住居は一応社宅っぽいのがあるから大丈夫だよ」


「ありがたや〜」とランが言う。


「気になったんですけど一課って何の仕事するんですか?」


「えっと、モンスター退治とか魔法犯罪者の逮捕とかかな」


「じゃあ二課とかは何やるんですか」


「同じ」


「じゃあ何課とかで分けてる意味は…?」


「特にないよ。まあ何課なんて名前だけでただのグループみたいな物だから」


「そうなんですね。一課って何人いるんですか?」


「俺と竜太入れて9人かな」


「随分少ないですね」


「じゃあ逆に訊くけど今まで竜太魔術持ってるやつ見たことある?」


「…ないですね」

「だろ?統計によると魔術持ってるやつは全人類の1%にも満たないらしいぜ。で、その中の大半は魔力量が少なすぎて自分が魔術持ってるのも気づかないらしい」


「そんなデータがあるんですね…そういえば聞きそびれてましたけど萬屋さんって何歳なんですか?」


「ざっと2千歳くらいかな」


「5千歳!?」


「まぁ俺は通称『魔法界』っていう異世界の中でも特に長寿な一族出身だから人間に直すと20歳くらいだね」


「異世界…」(まあモンスターとか魔法が実在する以上有り得るか)と納得した。


「あと竜太の荷物はもう社宅に運ばせてるから取り敢えず一課に行くよ」といい萬屋が歩き出す


「はい」と答え竜太も後に続いた

     ◇      ◇      ◇      ◇      ◇      

一課と書かれた部屋の前に来た。さっきの応接室とは違い普通のオフィスビルのような扉だった。


「じゃ準備いい?」


「バッチリです」


「じゃあ、突入!」とランが言う。

萬屋がドアを開け「はいはい皆さん注目!新しい一課のメンバーを紹介するぜぃ!」と声を張り上げるが、部屋の中にいた人達の萬屋に向けられる視線は冷たい。


「竜太、中に入って自己紹介」と耳元で萬屋が囁く。


竜太は部屋の中に入り、息を吸ってから「古住竜太、16歳です。宜しくお願いします。こちらは飼い猫のランです」とランを指して言う。


「竜太のペットのランで〜す。よろしく〜」一課の人達がざわつき始めた。魔法警察といえど喋る猫は珍しいらしい。


そんな中、ピンク色の髪にピンク色の猫耳のカチューシャをした青年が近づいてきて

「可愛い〜!!君、ラン君だっけ?何で喋れるの?何でそんなに魔力量あるの?」とランを質問責めにしている。


「それはね〜僕がモンスターを取り込んだからさ」とランが自慢げに答える。


一課の人達がまたざわつく。「モンスターを取り込んだ?」「どういうことだよ」という声もしばしば。

そんな中ピンク髪の青年は「へぇ〜モンスター取り込んだんだ。すごいねっ!」とランを誉めている。

「どんなもんだい」とランも自慢げにに返す。


するとピンク髪の青年が竜太の方に向き直って「あっ、まだ自己紹介すんでなかったね!僕は猫塚桃流ねこづかとうる!同い年だよ!好きなものは猫!よろしくね〜」と人懐っこく笑う。


「よろしく」と竜太も返す。


萬屋がぱんぱん、と手を叩きながら「じゃあみんなイーグルから自己紹介してって〜」


すると黒い髪にシャギーカットをし、鋭い目つき、精悍な顔つきをした若い男が「国際魔法警察日本支部一課副課長、鷲崎健一わしざきけんいち、26歳だ。全員からはイーグルと呼ばれている。次、ハーブ頼む」と言った。


次に少し癖のある緑色の髪をした青年がコホンと咳払いをしてから「草野香梨くさのこうり、17歳。通称はハーブだよ」


竜太は危うく声を出すところだった。ハーブの声は紛れもない自分の声だったからだ。


ハーブは咳払いをし「なんてね」と言った。


次は竜太の知らない声だった。


「僕は声帯が少し特殊でね。魔術関係なしに誰の声にでもなれるんだ。今は本当の自分の声。次、華悟かごいいよ」



白髪のウルフカットをした青年が「僕は河名かわな華悟。16歳。みんなからは華悟って呼ばれてる。よろしく。次、平野ひらのお願い」と繋げる。


寝癖が直っていない眠たげな目をした青年がふぁあ、と大きなあくびをしてから「えーと、僕は平野優太ゆうた。19歳。趣味は寝ること。よろしくね〜。美羽みわいいよ」


赤い髪のポニーテールをした少女が「百瀬ももせ美羽。17歳よ。一課の紅一点。よろしくね」


萬屋が「あとの2人は今いないから来たら紹介するよ。まぁこれが一課のメンバー。これからの仲間達だ。竜太にはこれからここで仕事をしてもらう。いいね?」


「はい!これから宜しくお願いします!」竜太は一課の全員に深々と頭を下げた。

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