第5話
えっ?
陛下?
何をそんなに驚いちゃってるの?
ジュリアーノがご自分の御子でない事に陛下は気が付いてなかったの?
私の言葉に呆気に取られたのか、目が点になっている陛下に私の方が驚いちゃったわよ。
ジュリアーノが陛下と血が繋がっていない事を証明しようと、私は陛下とジュリアーノの父親であるヨハンを対面させる事にしたの。
「・・・・・・・・・・・・」
私とお父様もヨハンの顔を見た途端、ジュリアーノが年齢を重ねたらそうなるだろうという事が容易に想像出来るレベルのそっくり振りに声が出なかったもの。
陛下もそうなっても不思議ではないわ。
ヨハン達から当時の話を聞いてからの陛下の行動は素早かったわね。
まずはジュリアーノを王族から籍を抜いて王太子の地位を剥奪したの。
コンフィテュール王家の血を引いていない平民が王族を名乗っていたのよ!
陛下の措置は当然よね。
勿論、お父様と私もその場に居合わせたわ。
私は・・・見届けたかったの。
あの男が・・・ジュリアーノが落ちぶれていく様を・・・っ!
自分が王族から籍を抜かれる、王太子の地位を剥奪されるなんてジュリアーノにとって青天の霹靂だったのでしょうね~。
その時のジュリアーノの顔・・・余りにも滑稽で声を上げて笑いたくなったわよ!
断罪の場だったから笑わないように堪えたけどね。
「父上!?何故、私が廃嫡なのだ!?」
「黙れ!お前は私ではなく庭師の子だ!お前に父上を呼ばれる筋合いなどない!!!」
庭師の子が王族を名乗っていた行為は万死に値する!!!
本来であれば競技場でお前とヘレナーを処刑するところだが、お前が庭師の子である事と、ヘレナーが密通していた事が知られるのはコンフィテュール王家にとって汚点以外の何者でもない!!!
今日よりお前を犯罪奴隷以下の存在・・・【畜生】とする!
「兵士達よ!この【畜生】に焼き鏝を押したらさっさと王宮から追い払ってしまえ!!!」
「ち、父上!?父上!!な、何故?何故、私が【畜生】に身を落とさねばならないのです!?」
離せ!私はお前達のような下賤の存在が触れていい存在ではないのだ!!!
王は神!
即ち私は神の子なのだ!!!
「お前は寝言を言っているのか?」
「今のお前は王太子ではなく犯罪奴隷以下の存在である【畜生】です」
「【畜生】が人間様の言葉を話すなんて生意気なんだよ!」
「【畜生】が口に出していい言葉は鳴き声だけです」
兵士達もジュリアーノに対して鬱憤が溜まっていたのでしょうね・・・。
喚き散らしているジュリアーノを兵士達は暴力で大人しくさせてから焼き鏝を押したの。
【畜生】を意味する文字【Beast】を押されたジュリアーノは陛下達の冷たい視線を受けながら王宮を出て行ったわ。
ジュリアーノの次はヘレナーの番。
陛下はヘレナーを断罪しようとしたのだけど・・・やはり真剣に愛していたからなのでしょうね。
涙を流しているヘレナーを前にした陛下には戸惑いと躊躇いがあったわ。
でもヘレナーは王妃でありながら不義密通を犯した女という事を思い出したのか、陛下はヘレナーにある刑罰を言い渡したの。
コンフィテュール王国の法律では伴侶以外と密通したら男は斬首、女は国外追放。
「な、何で?何で私が?えっ?国外追放って・・・何でよ!?あたしはコンフィテュール王国の王妃なのよ!?」
自分は何もしていない。
陛下を喜ばせる為に着飾っていた自分が国外追放だなんておかしい!
ヘレナーは陛下にそう主張していたけど、昔の自分が情を交わしていたヨハンとジュリアーノを取り上げた産婆と再会した事で全てを悟ったのかな?
ヘレナーは陛下が下した刑罰を受け入れて王宮を出て行ったわ。
恐らくヘレナーは自分の事を知らない国で生きて行くしかないでしょうね・・・。
ジュリアーノとヘレナーの断罪を終えた陛下は私にこう切り出したの。
「ベルフィーネよ。我が息子ユーリアの妃となり、共に国を支えて欲しい」
───と。
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