第三話 コンビニエンスストア!
「僕とパーティーを組もう!」
ゆづきさんは明るい声で提案をして来ました。
「はい……良ければ……」
私は少し戸惑いながら返事をしました。
彼女の笑顔はとても魅力的で、思わず心が躍ります。
「僕はゆづきだよ!」
ゆづきさんは自信に満ちた声で名乗り上げます。
「私は白の魔導書使い、クレシアです……」
「よろしく! クレシアさん!」
ゆづきさんは屈託のない笑顔を向けてくれます。その瞬間、目の前に奇妙な光景が広がります。
「建物も召喚出来るの!」
私は目を丸くし、周囲を見回します。まさか建物まで召喚出来るなんて驚きです。
「なんで……こんなところにコンビニが!? まさか、コンビニごと召喚? クレシアさんコンビニ、入ろう!」
ゆづきさんが嬉しそうに言うと、周りの人々も次々とその店に吸い込まれていきます。私たちもその流れに乗るように、コンビニと言う建物の中へと足を踏み入れました。
「いらっしゃいませ……」と、1人の男性の声が響く。
「異世界になんでコンビニがあるの?」
ゆづきさんは疑問が抑えきれず1人の男性に尋ねます。
「俺の名前は七瀬悠……俺の能力は、コンビニエンスストアで好きなコンビニを生成できるんだぞ!」
彼は誇らしげに言いました。
「じゃあ……お言葉に甘えて……これ、何ですか?」
「お前は俺みたいな世界から召喚されてないんだな。これはおにぎりって言って……1978年からが始まりで」
七瀬さんは早口で説明を続けています。その言葉を遮るかのようにゆづきさんは自信満々におにぎり意外の食べ物を私に見せました。正直言うと七瀬さんの話がつまらなく感じていました。ゆすぎさんが話を遮ぎってくれて助かりました。
「おにぎり意外ならこれがオススメだよ!エビマヨ巻き寿司」
「エビですか! それにします!」
エビは私の大好物で、もしエビが絶滅したら多分声を上げて泣いてしまうでしょう。それほど大好きな食べ物です。
「こっち来てくれ! みんな大好き……これ!」
七瀬さんの声に誘われて、私はホットスナックとやらのコーナーに目をやります。
「何……これ?」
(ソーセージは分かるけど……この鳥が描かれた紙で出来た入れ物、なに入っているんだろう)
「ホットスナックもあるんだ! これも買おう、クレシアさん」
「分かりました……じゃあ私も同じ物で」
驚くべきことに、どこの世界の通貨でも、ここのコンビニとやらは使えるようでした。私たちは買い物を終え、コンビニの食事スペースに足を踏み入れました。椅子に座り、つくねと言う食べ物のパッケージを開けると香ばしい香りがふわりと立ち上り、食欲をそそる。もちろんサラダも買っています。
「美味しい……」
私の言葉が思わず口から漏れてしまいました。目の前のつくね棒をよく見ると甘辛いタレに絡められ、照りが美しい。
続いてエビマヨの巻き寿司を食べることに。それはとても美味しいものでした。
クリーミーなマヨネーズとぷりぷりのエビ、甘さと若干の酸味としょっぱさかあるご飯、黒い紙のような物がとても合います。
「つくね棒とエビマヨの巻き寿司……最高だよ」と、ゆづきさんは目を輝かせながら頬張っていました。彼女の笑顔は、まるでこの瞬間を心から楽しんでいるかのようで。そのゆづきさんの笑顔で私も思わず微笑んでしまいます。食べていくたびに、ゆづきさんの幸せが伝わってくる。そして私の心が温かくなりました。
「ゆづきさんって、これからどうするんですか?」
「どうするって……僕は今から強くなって、魔王を倒してお家に早く帰るくらいかな。」
「クレシアさんは?」
「私も同じです! 私の姉が待ってるので。」
(魔王を倒さなきゃ行けないのか……こんなんじゃ、ゆづきさんの足……引っ張っちゃうかも……)
「クレシアさん……その本使えなくなったんだよね……それなら能力付与台で能力付与して貰えばいいんじゃない!?」
ゆすぎさんのその一言により、私の心に希望の光が差し込んて来ました。これからの冒険が、少しずつ明るいものに感じられるようになってきました。
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