第二話 白の剣士

「最強魔導書使いの底力……皆さん!見ていてくださいね」


フ ロ ー ガ (下級火炎魔法)


 「あれ?」


フ ロ ー ガ


 「あれ?」


フ ロ ー ガ ! フ ロ ー ガ !


(魔導書から魔法が出ない……なんで!?)


「さようなら……ゴブリンさん!」


 私はゴブリンに背を向けました。そして私は一目散に逃げ出します。


「あいつ何やってんだよ」


と男達は私を小馬鹿にして笑っているようでした。決めゼリフまで言ってこの状況はさぞ面白いでしょう。

 でも私は思います……人が死にそうな時に笑うことはどうかと! 助けろよと!


(私……死ぬの……こんなんじゃ自称最強魔導書使いだよ痛い子じゃん……)


 頼りがいのありそうな金髪の顔立ちの良い、17歳くらいの一人の男性が助けにきたようです。


「俺に任せろ!ここは通行止めだ……」


 俺は加護最強の男 一 一にのまえ はじめ だ。

回避の加護などがあり、俺は適当に動いても攻撃があたらない……むしろ立ち止まっても攻撃は当たらない。

ダメージを俺に与えるのは不可能だ。

 自信満々にはじめさんはその場に立ち止まりました。


 こん棒を持ったゴブリンの攻撃によって、彼の腕に切り傷が入りました。てか普通に当たってるじゃないですか!?


「いったぁぁあ!」


(なぜだ……回避の加護があるはずなのに)


 世界が違うため 加護が使用できません。


彼の目の前にそう、警告が表示されています。


「回復する加護をくれ!」


 圏外 世界が違うため 新しい加護は取得できません。


「どうして……どうして……どうしてだあぁああぁ!」

「ああそうか……大丈夫だ……俺には復活の加護がある。死んでも生き返る……全然大丈夫……だ」


 彼はゴブリンにタコ殴りにされて残念ながら死んでしまいました。

 この世界でその加護という物は使えないらしいので、もちろん生き返ることはないようです。

 ゴブリンさん御一行が私にまた向かって来ています。

私は躓いてしまいました。


「うわぁあああ!誰か助けて……」


 長くて白い髪、白い服、白い剣、綺青が混じった白い宝石のような綺麗な瞳。二つ名を付けるなら白の剣士でしょうか。とても愛らしい顔をしていて、どこかカッコ良さもある方です。

 斬撃が放射状に広範囲に広がります。その斬撃によりゴブリンが瞬く間に迅速に全滅しました。


「大丈夫?魔導書の人……」

「はい……ありがとうございます」

「気を付けてね! 魔導書の人!」


(あの人……かっこよかったな)


 魔導書が使えないこんな状況じゃ帰るどころか生き残れません。ですので誰かパーティを組んでくれる人を私は探すことにしました。


「あのパーティ組みません!?」

「虚言癖野郎とはパーティなんか組まねえよ!」


(そりゃそうですよね)


「パーティ組んで欲しいです……お願いします」

「ごめんね違う人と組んで……」

「あんな嘘をつく子になっちゃダメだよ……」

「はい!」

「虚言癖野郎」


 私は男にお腹を強く蹴られました……たまったもんじゃありません。泣きそうな程の痛みが私に走りました。それにより私はあのトラウマが……。


「助け……て……」


 私は男に顔を蹴られそうに。

誰かがその足を手で押さえました。

 宝石のような白い瞳、長くて綺麗な白い髪、白い剣……。

それはさっき助けてくれた白の剣士でした。


「その足を避けてよ!いや……避けろよ……」

「なんだよ……そんなかわいらしい顔して怒り方……男かよ」

「良いからこの方をいじめるの辞めてよ……」


少女は剣を構えてその男に向けます。


「ああ!分かった分かったこの通りだよ!」


男達は尻尾を巻いて逃げていきました。


「大丈夫?回復薬飲む?」

「ありがとうございます……」


 私は回復薬を一気に飲み込みます。回復薬はとても美味しくないので味を感じる前に私は、飲み干しました。


「怖かったよね……もっと早めに気づかなくてごめんね」

「謝らなくて良いですよ!助けてくれただけ嬉しいです……」

「魔導書の人……パーティ組みたいんでしょ……僕と組まない?」

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