プロローグ③



「殺られろ! 213ページ……」


 フ ロ  フ ロ ー ガ(上級火炎魔法)!


 その大きな火炎はドラゴンの巨体を包みこみます。ドラゴンはその一撃で息絶えました。

 簡単に倒せたのは、師匠達の攻撃で弱っていたからでしょうか。そのドラゴンによって沢山の犠牲者が出ていたようです。


 死 者 24,328,454名  行 方 不 明 者 2407名


 そしてその日、私は最強の魔導書使いに成り上がりました。

翌日、王都 教会にて……。私への感謝祭が行われていました。

そこで国からの感謝賞を王女様が直々に私に渡します。


「・・・ ・・・」

「おめでとうございます……クレシア様、あなたは国が認めた最強の魔導書使いになりましたよ」

「・・・ ・・・」

「は……はい……あっありがとう……ございます……うぅうぅ……」

「世界を救ってくれてありがとうございます! クレシア様!」

「ありがとなクレシアちゃん!」


(あの方に見せたかった……この栄光を……)


 あの時の私は他の方々には、喜びで号泣している、いたいけな少女……かのように見えていたのでしょうか。

 もちろん、最強の魔導書使いになったのは嬉しいってのは分かります。でも私は師匠のことで全く喜べませんでした。


 (私が倒せたのは、師匠と先輩が戦って弱らせた後だったからであって私は……)


「最強魔導書使いじゃないんだよ……私は……」

「クレシアだよね……ネロさんのことは残念だったけど」

「おっ、お姉ちゃん……」


 姉はとても優しくて綺麗な人です。家族の中、唯一私をいじめませんし。


「ごめんね……あの時、お母さんを止めることが出来なくて」

「お姉ちゃんっ……」

「私と一緒に暮らそう……ね」


 それから4年と5ヶ月ほど経ったでしょうか……


「ごちそうさまでした! お姉ちゃん料理美味しかったよ」

「そうでしょ!私の料理スキル、凄いから」


 私はブラシで髪を整えて前髪の端をピンで止めます。そして、もちろん忘れずに魔導書使いにとっては必需品の魔導書も机から取り出しました。


「これ持ってカバン……私のあげる。 魔導書入れとして使っていいから」


 私に黒い鞄を姉は渡しました。姉のお気に入りのおしゃれな鞄です。まるで一生の別れみたいな雰囲気を姉は醸し出しています。ただ私の誕生祭に一日行くだけなのに……。


「お姉ちゃん私……一日したら帰って来るから安心してよ」

「ああ……クレシアの誕生祭行きたいよ……仕事だから行けないけど」

「カバンありがとうお姉ちゃん」

「お姉ちゃんお仕事頑張ってね! 行ってきます」


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