第7話 ポルノ動画

 太陽は沈んで街灯に照らされた街を俺達は歩いていた。俺は文香に今の現状について話した。近藤絵梨花はたぶん俺のことが好きで狙っていること。授業が終わるとコミショーが近藤絵梨花のことを待っていること。近藤絵梨花はコミショーと付き合っていないこと。


「たぶん、それはファションとしてナオトくんを狙っているんだと思う」と文香が言った。

 彼女は黒い服を着ていて太陽が沈んだせいで、この世のモノではない雰囲気を醸し出していた。


「ファション?」

 と俺は首を傾げた。


「ナオトくんを彼氏にすることとブランドバッグを身につけることが一緒なのよ。イケメンのサッカー部の一年生エースだもん。私のクラスの女子達もナオトくんの噂してるもん」


「そんなモノなのか?」


「彼女は対外的なことを気にするのよ。オシャレして、高いモノを持って、イケメンの彼氏を作って、それで人よりも優位性を保ちたいのよ」


「文香探偵に聞きたいんだけど」


「探偵ってほどのことはないけど……」


「近藤絵梨花は、俺が過去にイジメていた黒瀬直人だと知っていると思う?」


「知ってるでしょうね。少なくとも小宮から言われてると思う。その上でナオトくんに接しているから、過去のことは封じ込めると思っている。もしかしたら昔は嫌い合っていた同士だけど、結ばれるってロマンチックなこととして脳内で処理してるんじゃない?」


 ぶーーー、っと俺は吹き出した。「っんなバカな。イジメてた奴と付き合ってロマンチック?」


「本気で言ってるよ」と文香は言って俺を見てくる。「マジの目だ」と俺が言う。


「近藤絵梨花にとってナオトくんをイジメていたのは、それはそれ。ナオトくんのことはファッションとして彼氏にしたいんだよ」


「あっ」と俺が言う。「机の中に『キモデブ』って書かれた紙が入ってたんだけど、それを入れたのは近藤絵梨花なのかな?」


「たぶん近藤絵梨花でしょ」

 と文香が言う。


「だけど、そんな素ぶりなかったよ? コミショーじゃない?」


「別のクラスの子が教室に入って謎の紙を机に入れてたら、教室に誰かがいたら不信を抱くよね?」と文香が言う。


「たしかに。誰かが教えてくれそうだけど。だけど何のために?」


「リアクションを見たかったんじゃない。どれだけ過去に傷ついているかリアクションで知りたかったとか?」


「コミショーのような気がするけど」と俺は言いながら、もうどっちでもええわ、って気になって来る。


「それで」と俺は言った。

「近藤絵梨花に、どう復讐したらいい?」


「ナオトくんが手伝ってくれるなら、本当に近藤絵梨花でポルノ動画を撮ろうと思う」と文香は言った。


「マジ?」


「アイツを屈服させて、私がされたことをやり返したい」


「コミショーはどうするの?」


「アイツも一緒」

 と文香が言う。


「とりあえず、そこの公園に入ろう」と文香が公園を指差す。

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