第14話 それぞれの思惑
次の日、ニュースは大々的にカレンの魔法の伝授成功を伝えたのと同時に、カレンに与えた魔法が強力なモノを与えたと報じた。それにより一時的にカレンは副作用に苦しむことになり、しばらくの間安静を取る必要があると国民に説明がされた。
カレン
「もちろんでたらめである。おじいさまが流した嘘の物語。隠ぺい工作」
カレンは自室でお茶を飲みながら新聞を広げてユイとクロムに話していた。
クロム
「・・・つまりカレンの突拍子もないわがままで父上のご機嫌を損ねた。その罰が決まるのを待っているってことでしょ?」
カレン
「ええ、そういうことよ。一応父上は国王。だから高官に対しても自分は嘘をついていないということを証明しなければならない。私に罰を与えれば少なくとも自分の娘を守ったって言う私的な理由を弾くことにはなるかもね」
ユイ
「弾けませんけどね、でもそれが〝けじめ〟ってやつになるんですかね」
クロム
「それにしたって私が凄いなって思ったのはおじい様だよ。そうでしょ?いくらでもでっちあげることは出来るじゃないの。カレンと私たちが国家転覆を企てて魔法の儀式を壊したーとかの理由にするとか出来たはずじゃん」
カレンの素行を考えれば自然なストーリーを作ることだって出来る。わがままなはねっ帰りの世間知らずの娘が一国の王に歯向かったとしたら国民も納得するだろう。
ユイ
「そうですねぇ、おじい様や王宮側にとって今の体制を維持するというのがどれだけ大切かという事はわかりきっているはずです。その危険因子である私達を殺さないとは確かに不思議ですね」
カレン
「それは多分私たちが思っているよりも〝王族の魔法による統治〟というブランドが強いってことなのかもしれない。私は腐っても直系。その人物を反逆罪で殺すことはそれだけで薄れてきている国民の信用を失う理由になりかねない」
クロム
「思ったよりもってことだね」
カレン
「それともう一つ。私達を野放しにしても何も問題ないという事を表しているのがこういう存在の人達ね」
カレンは持っていたスマホの画面を見せた。そこには各界の著名人や有名な王宮の高官、一般のインフルエンサーの人たちの言葉が躍るSNSでカレンのニュースを話題にしている。
カレン
「・・・おかしなことよね?これって」
ユイ
「どういうことですか?」
カレン
「私はあの儀式の後から限られた人間にしか会っていないの。つまり、私の状態を確認していない人たちがこういう情報を正しいって飲み込んでそれで杞憂してくれいている」
クロム
「・・・まあ、確かに」
まだ「嘘の物語を通すことが出来る」
誰も事実確認をしに来ないのに、報道や話題だけで信じてしまう環境。その環境があるからこそ王宮はカレンたちを野放しにしている。
カレン
「この嘘の物語が通るのは魔法でも何でもない。本質は〝まだ王宮は嘘の物語を鵜呑みにする頭をもがれた民衆に甘えることが出来る〟それが可能だという事を私たちに教えてくれているのよ」
この国の人々の意志を操るのは意外と簡単。既に多くの民衆には自分で考えるという頭が無くなっている。誰かの意見に賛同し、誰かの意志について行く。
クロム
「まあ、SNSとか動画サイトを金で叩けば簡単に出来るよね」
例えそれが嘘の情報であったとしても、それを人々に人気があるインフルエンサーと呼ばれる存在に金と「嘘の情報」をもって要請すれば全てが上手く行ってしまう。
彼らが主張を始めればどんな嘘でも通すことが出来る。情報を渡されたインフルエンサーは大概の場合、正しさとか真実とかを確かめない。彼らは「どれだけ数字がとれるのか」「どれだけ注目度が有るのか」そして「幾ら自分に入るのか」と言うことだけを気にしている。「見ている人たちに楽しんで欲しい」「自分が楽しんでいるのを見てくれる人がいる」という意味不明な大義名分の自分を守る理由だけがあればそれが「間違っているか」「正しいか」はどうでもいいことになる。
見ている人たちと同様、数字が彼らの〝自分証明書〟数字が下がればやがて彼らは自然消滅していつか忘れ去られてしまう。インフルエンサーと呼ばれる人が沢山出始めて十数年が経った今、競争の果てに数字を取れず生き残りに負けた人たちは次々と姿を消していった。気が付けば公園で暮らしている人が元々有名なインフルエンサーだったという話は特別珍しくない。
そういうのを目の当たりにしてしまうと彼らは数字に取りつかれることになる。そして彼らは悲劇的にも劇薬にも近いその甘美な〝人気者の果実〟の味を知っている。だからこそその味を知るからこそ普遍的な生活に戻ることは難しい。
〝一度でもその舞台に上がった人間は同じことを繰り返してしまう〟
ユイ
「嘘をついたその結果、今の自分が楽しければいいですもんね。自分の目の前で誰かがいじめられるわけではありませんし。周りも同意してくれる。ビジネスという生きる理由として、食べていく理由としてお金が必要ですからそうやって飲み込めばそれでいいわけです」
カレン
「例え問い詰められたとしても〝難しいことは知らなくてもしょうがない〟これが彼らの切り札ね。それでうやむやにして逃げて逃げて、逃げまくるの。ゴミみたいな愛想笑いでごまかすわけ、自分を含めて周りもね」
カレン
「もちろん世の中の事を全部理解するのは不可能。だけど私は少なくとも自分のやっている〝知っている事と知らない事〟を区別するのは大切だと思うんだけど、そうじゃないみたいね」
「知っていることに意味はない、知ろうとする気持ちに意味が有る」
例え正しいと思う自分の意思があったとしてもそれは必ずしも「数字を動かすこと」には直結しない。世の中は自分が楽しいと思う事だけをやり続けることだけが尊ばれる。だから例えそれが結果として事実を潰してしまっていたとしても何も思わない。その感覚が朝飯前になる。
カレン
「まあでも彼らも利用されてるわけよ。何せ抵抗しようにも自分で考えないもんだから不可能。・・・それを王宮は知っていて利用することが出来るっていう具体的なアピールなのよこれは」
ユイ
「つまり、カレン様が証拠を持って事実を言ったところで無意味だという事ですね。そこを握り込んでいる限りは」
カレン
「これは〝魔法〟っていう物を扱っている王宮が情報制御をしやすいようにしている〝インフルエンサーの箱庭〟を使った仕組みたいなものよ。それを使って今回は〝私には療養が必要だからみんな心配しましょう〟っていう嘘の情報を流したわけ。とどのつまり結局目先の金が欲しい人達には勝てないってことよ」
カレンはこういう物が出て来た時に期待を掛けていた部分があった。箱庭にとらわれる必要のない人たちが個人の主張を言えるという事はそれだけで価値がある。と思っていた。しかし、彼らは個ではなく群れることを選択した。群れ以外の個の意見をかき消すようにやがてその群れは箱庭を作り、自分たちに気持ちの良いシャワーを浴びる装置を作り出した。
カレン
「だから普段使ってもいない健康食品を食べて〝健康にいいです!〟なんてバカみたいな話が通るのよ。私がカーペットの上で煙草を吸ったみたいな感じでね」
ユイ
「いうなれば人が自然に作り出した箱庭・・・」
クロムは興味が無さそうにカレンのベッドのわきに置かれていた知恵の輪をガチャガチャいじり始めた。
クロム
「なるほどねぇ、おじい様はその皮肉じみた仕組みに自信があるってことだ・・・それで?結局のところ私達への処分は何になりそうな感じなの?」
ヘミンは口でカレンたちの事は殺さないとは言っていたものの確証が無い。その上、国王から見ればただ単に自分が実の娘から濡れ衣を着せられたことになっている。それもこれも全部誰が悪いのか?と言われればカレンのわがままが悪いという事になる。
カレン
「私が忠誠を受け入れなかったという事が相当気に食わないのは簡単に予想できる。だから処分も結構厳しいものが言い渡されると思うわ・・・でも王宮の中が混乱しているのも事実。処分が決まるまでは大分時間が掛かると思うから、それまでの間に荷造りはしておきましょうかね」
ユイ
「そうですね、その話を聞けばどちらにせよここにはいられなくなります」
クロム
「そういえばエドワードがいないけどどこに行ったの?」
カレン
「ああ、エドワードなら私から事の顛末を全部聞いた後、がっくりと肩を落として王宮へ出向いていったわ」
3人は「観察処理対象」になっている。基本的に自由に動き回ることは可能だが、常に王宮側の誰かが付いて回るという事が決まっていた。カレンが屋敷の外を見るとご丁寧に仮設事務所が建てられており、その中には監察官が常に待機している。
カレン
「ご苦労なこと。寒くなってくるって言うのにあんな部屋に押し込められてるなんてね」
王宮の内部はカレンたちの予想を遥かに超える混乱が生じていた。それはこの国を治めるために魔法が無いという事実を上層部は知っているからである。そのため国王に政治的な実力は無い。彼に変わって実質政治を行っている高官たちは勉学に励み、激しい競争を勝ち抜いてきたエリート。彼らからしたら国王はただの魔法を使えると嘘をついている気の毒なおじさんでしかない。
あくまでも自分たちにとって「都合の良いピエロ」を演じるのが国王の役目。しかし、その国王がそれらを裏切って実の娘に秘密を漏洩した。その反感は凄まじいものがあった。
それに対して国王も黙っていない。自分は何もカレンに教えてはいないことは事実。高官の一部には国王が危険を冒してまでカレンに秘密を打ち明けるメリットが無いと主張するものもいた。
王宮地下にある会議室はそれぞれの主張が激突しあい、事実の擦り付け合いが行われている。
カレンたちにとって幸いなことは〝彼らも国民と同じように考える頭を持っていなかった〟そのためこの王宮内部の人間がカレンに情報を漏らしたと決めつけて探していたのである。
答えは外にあるのにそれが出来ない。彼らは彼らの魔法の秘密を信じていたのだ。それをヘミンは黙って見続けていた。会議室の端っこでただ一人真実を知る彼だけが場が収まるのを待っていた。今出て行っても自体が悪化するだけだという事を知っていた、だからこそ彼は静かにその時を待っていた。
あの魔法の儀式から1ヶ月経過したが処分はまだ決定されなかった。カレンたちはその間に身の回りの整理をしていた。これからどうなるのかがわからなかったが取り合えず出来ることは荷物をまとめることだった。
カレン
「なかなか来ないわね、もしかしたらこのまま年越しかも」
ユイ
「そのようになりますかねぇ」
ユイは屋敷で自分たちが飲んでいる飲み水の瓶を一本持ってくるとコップに注いで白い紙を浸していた。
クロム
「・・・それっていったい何の作業なの?」
ユイ
「この紙は水に毒が含まれているとピンク色に変わるんです。カレン様が事前にラメル様から購入したものです」
カレンはペデフィルの手記から得た情報の中にあった「アレストの水」その毒素を検知できる試験紙の入手をラメルに頼んでいたのだ。
カレン
「用意できるものはなるべく用意したんだけど・・・思ったより向こうに動きがないのよねぇ、さみしいわ」
クロム
「何もないなら無いでいいじゃない」
ユイ
「そうですよ」
年が明けてさらにひと月、ふた月と時間だけが過ぎ去っていき、気が付くと4月が迫っていたある日の事、王宮からローブを着た使者が突然やってきた。
カレン
「ようやく来たわね、待ちくたびれたわ」
使者
「王宮からのご報告があります・・・中に入って説明してもよろしいでしょうか?」
カレン
「ええ、いいわよ」
カレンは使者を応接室に通した。着ていたローブを脱ぐとそこには3人が知っている人物が姿を現す。
クロム
「ヘミンおじい様・・・」
ヘミン
「久しぶりというか初めましてだなクロム。それと・・・その隣はユイさんだったかな?初めましてになるな」
2人はヘミンにお辞儀をした。
カレンはヘミンをソファーに座らせるとその後で自分も座り、ユイにお茶を出すように頼んだ。
ヘミン
「ああ、お構いなく。私はただの使者ですので」
ユイはにっこりと笑うと部屋を出ていき、ものの数分でお茶を人数分用意して持ってきた。ヘミンは一口すすると「うまいな」と呟いて自分の持ってきた封筒を開けてテーブルの上に書類を出した。
カレン
「それにしてもまさかおじい様が出てくるとはね。王宮は人出不足なのかしら?」
ヘミン
「まあ、こんなことは私にしか出来んてことよ。ようやく王宮内が落ち着きつつある。まさかこんなにも時間が掛かるとは思わなかったけどな」
騒動の収集に時間が掛かったことも既に王政が弱ってきている証拠でもあった。
ヘミン
「さて、率直に君たち3人の処分を言えば、おそらく君たちの想像通りこの王都から出て行ってもらうことになる」
カレン
「ええ、予想していたわ。それで?どこに行くのかしら」
ヘミンは持ってきた書類の一枚を指さした。
ヘミン
「王宮会議で決定したこと・・・それはカレンがこの国で最も廃れた辺境の地、アレストの領主になることだ」
クロムはヘミンの顔を見た。
クロム
「アレストの・・・?」
ヘミン
「そうだ。それならば色々とこちらも嘘の物語を書くのにも都合がいい。という話に帰結した」
カレンは机の下から灰皿を取り出すとテーブルに置き、この間街で購入したばかりの葉巻の箱とカッター、それと長いマッチを置いた、
ヘミン
「・・・わかっているじゃないか、カレン」
ヘミンは葉巻を一本取り出すと香りを楽しんだ後、カッターで端っこを切り落とすとマッチで火を付けた。独特な香りが部屋に漂い始める。カレンはそれを見届けた後に自分の内ポケットから煙草を取り出すと火を付けた。
そしてゆっくりと王宮会議での出来事と決まった内容の詳細をカレンたちに話し始めた。
まず、ガルド国王としてやらなければならないことは自分自身の潔白の証明をすること。そのためにカレンを含めた3人を屋敷に監禁することを提案した。しかし、政治を実質的に動かしている高官達からはそれは国にとって得策ではないと反論される。
カレン
「監禁ねぇ、別にそれでも構わなかったのだけれどね」
魔法の儀式の後に王族が監禁されるという事はすなわち「魔法の儀式失敗」を意味している。昔ならそれも通ったが今はそれが通ったとしても魔法に対する国民への猜疑心を育てる種を植え付けることになってしまう。
カレンは破天荒な存在だったが、やってきたことはどちらかと言うと国民に対して希望を与える事。それが潰れた原因を作ったのが魔法となれば疑問視する声も上がるのは必然である。
クロム
「魔法の儀式で希望を潰したってなれば確かにね」
そこで王宮会議の中でも発言力の強い国王秘書のラルカがある提案を持ち掛けた。
ユイ
「提案・・・ですか」
その提案とは「王族本来の有り方に則る処分」と言う物。歴史を辿っていくと王族と言われる組織の起源は魔物に対抗するジェイから始まった。つまり王族と魔物の関係性は強い敵対関係にあると考えることが出来る。
ここに来て「魔法で魔物を抑える」という原点に帰るという事。その魔物の頂点である龍と言う存在。その龍の監視役としてカレンを含めた3人を置いたらどうかという話になった。
ヘミン
「龍の監視は一応王族が行うことになっているが、監視役の別名はゴミ捨て場。何も魅力が無くて、ただ脅威しかない場所に住まなければならないというある意味監禁に近い意味合いがある」
しかし、国民に対しての説明として「魔の領域のトップである龍に対抗できる魔法をカレンに授けた」という設定の物語は非常に浸透しやすい。カレンの破天荒な性格も相まってこれから経済的に発展を遂げるだろう王都のトップに据えるよりも遥かに自然に見えると判断された。
カレン
「だから本当に監禁の意味を込めてアレストという王国で最も厄介な土地の領主にすることにしたってことね」
ヘミン
「ああ、そうだ。一応辺境の地とは言っても王族が必要な場所。見方によっては最もおさえなければならない場所だ。そこにカレンを置くことはよく考えればおかしい話ではない。インフルエンサーの箱庭と歴史的背景をもってすれば全て説明が上手く行く」
ヘミンは葉巻の灰を落とすとカレンたちを見た。
ヘミン
「それと、もし仮にあの辺境の地で命を落としたり、毒に侵されたりしてもそれは魔物と戦う王族の使命。本来の姿であると説明が出来る」
カレンは紫煙をため息のように吐くと首を横に振った。
カレン
「ふうん、こんな面倒な話をうまく取りまとめるなんて・・・正直私はもっと荒っぽく雑に解決に来るかと思ったけど、父上の秘書のラルカは随分と頭が回るようねぇ。こうやって私たちに見えないように恩まで作って」
ヘミン
「・・・決まったことは以上になる」
カレンは静かに息を吐くとヘミンの顔を見た。
カレン
「・・・私の方からも騒動を起こしてしまったけじめを付けさせて貰いたいの。おじい様がそれを認めてくだされば私としてはそれでいい」
カレンは自分の頭の上に載っているティアラとペンダントを外すとクロムの物とユイの王族メイドの証明書を机の上に出した。
カレン
「私たちは辞めるわ。全部ね。王族に属するという事を破棄する。・・・でもそれは裏向きで構わないわ。表向きをどうするかはおじい様たちに任せる」
ヘミンはそれを見て少し笑っていた。
ヘミン
「ふふっ、そう来ると思っていたよ私はね・・・まさかこの年になってこんなに心が躍るなんてことが待っていたとは思わなかったよ・・・」
カレンの目は真っすぐとヘミンに向けられていた。
ヘミン
「お前は・・・昔からそのままだ。周りに合わせることを嫌い、自分のままに生きる道を選び続けた。それは誰でも出来る生き方じゃない。幼い頃からそれをずっと私は見て来た」
ヘミン
「その時からいつの日かこういうことになるんじゃないのか、と思っていたんだ」
クロム
「おじい様・・・」
ヘミンはそういうと葉巻の煙を一口含むとテーブルの上に置かれたものを持ってきた袋に詰め始めた。その様子を見ていたユイは両手を握り、勇気をもってヘミンに質問をした。
ユイ
「・・・ヘミン様。どうして・・・こんなにも私たちに協力的なのでしょうか?普通なら咎められてもおかしくはないと思うのです」
ユイは震える唇を動かしている。
ヘミン
「老人の好奇心とでも言えばよいかな。見てみたいんだ。箱庭という存在を嫌ったカレンが箱庭を持つ側に立った時にどうするのかが」
ヘミン
「私は今まで生きてきて様々な物を見て来た。様々な人を見て来た・・・しかし例外なく彼らは自分の立ち位置に固執していた。全員そうだった。でも目の前にいる孫娘たちはそうじゃなかった。自らティアラを外して私の前に差し出した。ユイも含めてね」
ヘミンはユイの方を見てニヤリと笑った。
ヘミン
「守られた箱庭から出ようとする。それが今の世でどれだけ価値があるか、それを私は知っているんだよ」
ユイはその言葉を聞いた瞬間、カレンの方を見た。
ヘミン
「それを知っているのであれば老人は若者をただ見守ればいい。邪魔するつもりはないさ。ただ・・・たまに思い出して少しいい葉巻と酒を出してくれれば私は嬉しいだけだ」
伝えることを伝えたヘミンは立ち上がると電話をして王宮からの迎えを呼んだ。帰り際にカレンとクロムにある事を伝えた。
ヘミン
「希望通りレトリックの名は一時的に私が預かろう。もし、返して欲しかったら私に言うといい。その時は返却する」
カレン
「ええ、必要な時が来ればね」
クロム
「うん、ありがとうおじい様」
そういうとヘミンは迎えに来た車に乗り込んでいった。
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