第十一話 汝の心の道に歩み 汝の目に見るところを爲せ
誰とも知れない、ため息が
「エラいとこに来たもんばいね。セブ殿の言われる
口ではそう言うが、縫は腰を上げる様子もない。
ただ
「村ん人らは、もう逃げなさったとですか?」
『村の者は
「
『あの者達は、……ガロツクの兵は攻め入った場所の
「
勘解由が身を起こして、じっと司祭を見ていた。
勘解由の姿を見た嘉助が
「勘解由様ッ
「
脈をとる独去が
すぐさま
「ご当主! 動けるのならすぐにここから逃げましょう! 話は聞かれたのでしょう?」
「我は命を助けられた。
「なんとおっしゃいます!」
「
勘解由は
嘉助や縫は何を言われたのか、
独去は、床板を
「勘解由様ッ!
独去に続いて、
「勘解由様、
「お師さんの言われる
縫や嘉助へ顔を向けているが、勘解由は誰も見てはいなかった。
「我が
「これは
勘解由には、取りつく島もない。
当たり前のことを言っているという
「なるほど、ご
パンパンと音がした。三千世が胸を叩いていた。
「良かよ。
「三千世様!」
「
小さな腕をブンブンと振るようすは、子供のそれとしか思えない。とても忍びの身のこなしではなかった。
「
「なんと三千世様まで……」
守るべき二人ともが、
「この地に着く前、島原へ
「ご当主様、命の使い所が違うておりますぞッ」
「おそらくは、そうだろう。だから、かなうならば皆は逃げてくれ。この世界で三千世を守って欲しい」
「
三千世様ッと、独去が
「言わんことではないッ。ご
嘉助が意を決して顔を上げる。
「独去さん、ムリばい。こげんなったら勘解由様は
「市さん、なんちゃなかよ。ウチと嘉助さんとアンタで敵ばみんな殺せば済む話やろ、そいで御二人は死なさらん」
「な、なんだとッ」
「勘解由様とお嬢だけでん、生き残れれば良かことやろ?」
独去はまじまじと二人を見て、顔色を変えた。
「おいまさか、お前たちッ。勘解由様をお
「ウチはね、生き汚か暮らしは、もう
「オイも
強く言った言葉が気恥ずかしかったのか、嘉助が急に
「ここで、
予想もしない話の流れを目の当たりにした独去は、木の盃を握ったままで固まったように動きを止める。
「……死ぬぞ」
「はぁ。そげんですかね」
嘉助には言うべき言葉はなかった。
名前を呼ばれたように、ただ返事をしていた。
「
縫は自分の生き死にを、まるで他人事のように口にしている。
嘉助は、ふいに革を
「ばってん、もう
「そいでん呼び方やらは、忍びでよかやろ。ただの
「あぁもぅ、勝手にせいッ」
ガックリと肩を落とした独去がしきりに顔を
「話は決まったね」
縫の
「司祭さま、いきなりで
─────そんかわり。
この時の嘉助の笑顔と言葉をセブは
「飯ば食うた後でマホウキシダンちゅう輩は、オイたちが
魔法騎士団を
セブは彼らがなにを言っているのか、すぐにはわからなかった。
嘉助は、
とても本気だとは思えなかった。
『
「マホウキシって言うとは、さっきのヤツくらいの強さですかね?」
話のついでに
『
「あん騎士の倍か、それなら何とかなっです」
『それが二千人はおりますが……』
「あん騎士の四千人前か、それなら何とかなっです」
司祭は、嘉助がふざけているのかと
『もしや……アナタ様方五人だけで二千人、足どめできるとお考えなのですか』
「いや、三人でみんな
「うん。ニ千人くらいなら、飯のお
縫と嘉助の師弟が、カラカラと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます