第九話 天 我が材を生ずる 必ず用有り
小高い丘に建つ
『こちらが、ツパルク村の
しばらく歩いたそこには、大きな石で
建物の周りは、腰まで伸びた草の原の他には倒木しかない。
「おじゃまします」
室内も外から見た通りの岩が重なり、あたかも
「中は広かとね」
「やはり、
中は二十畳ほどの空間である。
板を並べた床からは膝丈ほどの高さで長細い石が頭を出している。
腰掛けとして使われているのだろう、似通った幅で削られて段々に列をなしている。
屋根と壁の接する
「良か場所やね」
『すみませんが、この広間でしばしの間、お過ごしください』
セブは急いで勘解由を寝かせるために次の間の寝台を
「
先ほど命を助けてくれた
セブの国ではこの
縫たちも深々と頭を垂れて、治療の礼を返す。
加えて独去から並び順に嘉助、縫、三千世、勘解由と自分たちの名前を
しばしの
『アナタ方は、いったいどこから来られたのですか?』
「ふむ。ワシらが元いた場所が呼ばれておった名前は、
もちろんセブは、独去の
「ふむ。さて、これは困りましたなぁ」
独去は、ぼんやりと
なので、独去は思いついたそばから考えなしに
「さきほど、あの
『火の玉? あぁ、火気の球系魔法、でしたな。あれは魔法……という技術ですが……もしや独去様は、ご
「ほぅ、マホウとな。ええ。わが国にはない技術ですな。話にも聞いたことがない。
逆にセブは独去の
『なるほど……しかしあのカリスラビント
セブの
二人の
「あいや、マホウ、てね。ここには、そげんとがあるとね……」
嘉助が、口を
どう
『これは
「マホウ石というものを使って人から引き出す力、ですか? なんとも、
独去はセブの手から
「してマホウを使える者は、この国にどれほどおりますかな?」
『ふむ……はっきりとした数は私にはわかりませんが、
「これまた、驚きです。マホウとはそんなに多数の者が使える術、なのですか?」
『はい。
『独去様いまわれわれが話している、これは魔法ではないのですか?』
「話────ああ、なるほど。 そうだ。忘れておりました」
『言葉を口にすることなく、
「ああ、その通りです。こりゃ、忍法といいまして。なんといいますかな────」
セブは、独去の言う忍法という言葉に、身を乗り出す。
『ニンポウ……私の知る限りそのような名称の技術は我が国にはありません』
「そうですか。いや、もっともワシらの元いた場所でも忍法なんぞ知る者は、ほとんど
『おぉ。一万人に一人、ですか。ならばニンポウというものは魔法と違い、よほど
どう説明したものかと、独去は言いあぐねている。
「まぁ、そうですな。忍法は……使える
『なんと。限られた
「はぁ。しかも忍びの
『なんともめずらしい。お話を聞くだに魔法とは
〝そげん
「
『しかしこれほど長い時間、
「いやいや。長く術がかかり続けるのは術をかけたワシが
最後まで言わせず長い布が伸びて独去を
「お縫ッ! 何をするか。さっきから小石や布をぶつけおって、場をわきまえんか
「情けなかとはこっちよ。良か気になって、
「だからワシは
「向くも向かんも、敵に殺されたら終わりやけんね。あんまい調子にのらんとよ」
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