第八話 エリ エリ レマ サバクタニ
縫と嘉助の
すると、彼らは急に色めきたった。
『オマエ達ッ! なんてことをしてくれたんだッ! すぐに砦から兵士がやって来て、この村の者たちは皆ッ殺されるぞ』
『おいッ、早く出ていってくれッ。オマエらの仲間だと思われると大変なことになるッ』
嘉助は
「ようわかったから、落ち着いて
『つべこべ言わずにッ、いますぐに出ていけッ! いますぐだ!』
村人たちは手に
しかし、ついいましがた騎士を素手で殺した縫や嘉助の戦う姿を思い出してもいた。
とうてい自分たちに打ち払える相手ではないともわかっていた。
そのために打ちかかる棒や投げつけるべく握った
『待て! 我らはこの
司祭が村人の前で立ちはだかる。
それでも、村人の興奮は
『セブ様。なにを言われるッ! 誰もこんなことは、たのんでおらんッ!』
司祭は村人たちを
縫も嘉助も、村人の言葉など気にもしないで
縫は、ふと手を止めて司祭へ微笑みかけた。
「おじいさん良かとよ。ウチたちは、
「へぇ、
「ねー。
剥ぎ取った
「これはイカン。少しも動かせん。もはや、どうにもできんぞッ」
「なんね、市さん。勘解由様は
「お師さん……こいは
いまさらながらに、
「市さん、アンタッもっと気張〈きば〉りんしゃいッ!」
「わかっておる。しばし待てッ、簡単な
「
三千世は
「あめんじす ぜすきりすと まるやさま あめんじす ぜすきりすと まるやさま」
縫と嘉助は
独去は目を見開いたまま固まっている。
三千世は泣いている。
『どう、されましたか?』
見かねたセブ司祭が声をかけた。
勘解由たちの
それを見て、
『すみませんが倒れたお人が、どんな
「
『私は、さきほど助けていただいたこの村の司祭でセブと申します。これより先には近づきません。もちろん、倒れた方には
離れた場所から治療するというセブの話を聞いた嘉助は、あからさまに顔をしかめる。
「いきなり
「嘉助っさん、なんで
「兄ちゃんが目を開けるとやったら、
四人が見守るなか、セブが胸にかけた
『球系魔法陣、三重一連、展開──発現、治癒、起動』
唱えた言葉が終わると、セブの
「何や。
まじまじと魔法陣を
もしも、この
騎士を
それは見る者の
セブの手と勘解由の身体が同時に光を
するとほどなく、勘解由の
「
ツパルク村に現れてからずっと
しっかりと胸が上下に動きだし、顔にも赤みが指した。
「わあ! みんな見てみんね、兄ちゃんが戻っとっよ。眼ば開けたよッ」
「勘解由様が、助かりなったッ!」
「あいがとございましたッ! あいがとございましたッ!」
さっきまでの
独去も縫も三千世も地面につくほど頭を下げだした。
『あの……そちらの
「喜ぶもなにもッ我らの当主を助けていただいたのです。どれだけ感謝しても、したりないほどでございます!」
「ありがとございます。そいでん、おじいさんの技は、どげん忍法やろうか、病やら治せるとかスゴかねぇほんとスゴかねぇ」
縫たちから
下がりながら目についた独去の肩の傷に向けてまた手をかざして、魔法文言を唱える。しかし流血が止まっただけだ。
『申しわけないですが、そちらの肩の矢傷はまだ時間がかかります。
「ああワシの傷なら
「
「おい、縫。おまえッ!」
縫のおどけた手振りに苦笑しつつ、セブは話を
『……どちらの方も完全に
「そいは、ありがたかですね」
「すんまっせん助かりますッ!」
一も二なく、セブの言葉を聞くとすぐ嘉助が勘解由を
誘った司祭が
「さぁその
「お
三千世と独去も司祭の後について歩き、ゾロゾロと連なってツパルク村の外れへと向かった。
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