第七話 既に死たる死者をもて 幸なりとす
村人には、忍びたちのやっていたことはよくわからなかった。
しかし地面に
『死んでいるのか? なんてことをッ!』
『大変だぞ。どうしてこんなことに……』
『騎士様を殺すなんて!
とつぜん、思いもよらない恐ろしい事態を
村人たちは、
嘉助と縫が巻きこまれた騒ぎを
三千世は勘解由の呼吸が行い
独去は気付け薬を勘解由の鼻の下へ
しかし、はかばかしい
三千世と独去は〝兄ちゃん、勘解由様〟と呼ぶことしかできない。
必死に
どうすれば良いか……
井戸端の
二名、いた。
彼らは周囲を警戒していた騎士だった。
「いかん!」
飛んだ矢の先には、横たわる勘解由がいる。
「くッ、こりゃ、思うたよりも痛いわいッ」
突き立った矢を抜く独去を見た嘉助は、縫へ
「お師さん。勘解由様の方に敵ばい。まだ
騎士も
『フッカムッ!
嘉助に狙いをつけた射手は矢を。
もうひとり、フッカムと呼ばれた騎士は魔法を。
もちろん何度放とうとも、ケンノサントの騎士たちの攻撃が、走る嘉助に当たろうはずもない。
矢も火球も、とっくに嘉助が走り去った後の地面を
『あ、あれは、人間かッ! 動きがまったく追えないぞッ!』
『うろたえるなッスジャパイッ、進む方向に向けて広く矢を撃て、急所でなくとも
縫は騎士を嘉助へ任せて勘解由たちの方へ目をやり、笑っている。
「はぁ? 市さんは、
鼻で笑う縫の
七十メートルを
「うるさいッ、お前らみたいに腕っぷしだけに
「そしたら飛んでくる矢にも、
「独去坊、遊んどる場合じゃなかよッ! 兄ちゃんに、もっと
「姫様ッ、これは申し訳ないッ」
頭を下げる独去が
先に駆け出した嘉助は風の
しかし、後から駆けた縫の方が、なお早い。
「ドンドン
「お師さん、こっちはオイだけで十分ですけん」
「ウチが行った
予想を
『ダメだ。コイツら、足が速過ぎるッ! 狙いがまるでつけられない』
魔法の火球を放っていた騎士フッカムは、腰の剣を抜き放って縫に向きなおる。
縫は、フッカムの剣を避けて
そのまま身体を回すと騎士の脚に手をかけて引き倒した。
その勢いのままさらに身体を
ゴキリッと、
手順を追うと、
だがその速さは、とても
縫が走り、騎士が倒れるまでのすべてが一瞬の間に終わっているように目に映るだろう。
『この
とっさに引いていた弓を投げたスジャパイは、手につけた短剣を抜いて縫へ向ける。
その動きと同時に嘉助は走る勢いのまま、短剣を構えるスジャパイの腰へ飛びかかった。
「お師さんに
手刀を短剣の根元に
筋力と
これも、一瞬のうちに終わった。
ツパルク村へ兵糧の
しかし、あっけないほど簡単に全員が殺された。
ありえない
『なにが起きた……なぜ騎士様がみんな死んでいるッ』
『ああ! た、大変なことになったぞ、どうする?』
『知らないぞオレはッ!
口々に悲鳴をあげて、
実際、遺体からの
嘉助にも縫にも、騎士を殺した
というよりも、人を殺した直後とは思えない落ち着きぶりだ。
「わー。良か服
「助かりますね。こん鎧はオイが
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