第六話 惡者は義者のあがなひとなり 悖れる者は直き者に代る
気を失っているバントへ、つまらなさそうに縫が関節技の話を語りかけている。
その横へ嘉助が
「お、お師さん! 何し
「
「あああ!
頭を
〝やってしまったことは、もうどうしようもない〟
そう、縫は
『バント? おい、バントッ!』
『お、おのれ野人がぁ! バントになにをしたッ!』
剣を突き出して向かって来た。
縫は、バントを転がして即座に彼の首を折り、立ちあがりざまに剣を突いてきたタゲルボの前に
一気に
勢いのまま心臓。さらに回り、後頭部をも
悲鳴もあげられぬまま、タゲルボは倒れた。
「ああ……またお師さんの悪か
うなだれる嘉助の前に、二人の騎士が転がる。
タゲルボとバントは、完全に息の根が止まっていた。
「はー。
「
嘉助が表情もなく同意する。
『な────』
残された騎士のひとり、チキドは言葉を失っていた。
それも武器も持たない
目を見開いたまま、動けない。
いまだに
『死んでいる。そんな。女に
目の前の女が
『きっとッヤツら、タゲルボやバントは、病でも
そして、いまだに動かない、もうひとりの騎士にも声をかける。
『近づかせねば問題ない。魔法でいく。リョガンも
『チキド! 火球だな?』
『おうッ』
縫は、目の前の騎士二人を見ようともせず嘉助の
「嘉助さん見た? 鎧通しの※チョーサンポー(※拳法)は効くごたる。当てたら、
弟子の背に隠れるようにしゃがんだ。
「ウチは
「ちょ、お師さん。そげん急に言われてん……」
『球系魔法陣ッ一重三連────』
「嘉助っさん、見てん。ほら見てんッ。鎧武者が何か
縫の指差す先、
「え、
嘉助が目を見開く。
目の前では次々に光る輪の形が変わっていく。
『発現──火気、起動ぉ』
「ほぉ。
「わからんけど、
縫は、
光る環は二人の見ているうちに地面と垂直に浮かび、輪の中心からシュンッと音を立て、
「ひゃぁ! 火の玉てね。アハハ、火の玉ばぶつけてきたよッ!
笑う縫。
嘉助が
しかし二人は自分たちに向かって来た火球を
「な、なんや
目を
「えええ、
嘉助は縫を
ケンノサントの騎士は驚いていた。
『火球が
『なんだおい……なぜ当たらん? まさかアイツら、
縫は
「
「本な
声をあげながらも、チキドたちからは目線を切らない。
『止まるな、
『発現──火気、起動ッ』
光る円がたわみ、またも火の玉が飛び出す。
「火の玉は真っ直ぐに進んどっけん。
縫は
『あ、あり得ない! 魔法をッ
「そしたら今度はこっちから、やりかえしんしゃい! 嘉助っさんッ
縫の言葉に
打たれたままの姿勢でリョガンが倒れる。
嘉助は同じ方向に自らも
空中で騎士の
三人目だ。
見たこともない
もはや
『な、なんなのだ、コイツらはッ!』
一人残された騎士チキドは、
「
倒れる騎士を背後から抱えたまま地面へ落とす。
そして地面で頭を打ちつけた騎士の首へ
嘉助も縫も攻撃を始めた瞬間から、相手を殺すつもりで
「そ
「本な
二人は
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