第五話 なんぞ 時いたらざるに 死べけんや
独去、嘉助、縫が勘解由の
「なんだとッ」
「ほんとやッ、
「
四人が声をかける。
しかし勘解由は、まったく動かない。
独去が急いで勘解由の首元や脈を探るが、すぐに首を横に振る。
「勘解由様が術を使うと気を失うことは知っておるが……完全に意識が閉じておる。待て、息までが止まっておるぞッ!」
「
「わからんッ! 門を開いた場所が悪かったか。五人に加えて舟までも運んだのが、無理だったのか……わからんッ」
独去が腰回りの
急に
『なんだアレはッうっとおしい! あんな奴らは早く追い払おうぜ!』
言い
『おいバント待て、あの野人の女は……よく見ると、マシな顔立ちじゃないか?』
『タゲルボぉ、お前は本当に
バントが
「
タゲルボは
『それともう一人の異人の娘は……幼いが
『いやいやタゲルボ、さすがにないぞ。あれは幼な過ぎるぞ。オマエ、恐っろしいなッ』
三千世に手を伸ばしたタゲルボの前に、縫が手を広げて立ちふさがる。
「ダメ! そん
縫は、伸ばした手をバントに
『
バントから倒されるがままに
彼女は
ただ
いまだに状況が
だから、害など
「
声をあげる縫を見た嘉助が、
「お
『ええいッ猿めが、触るな汚らわしいッ』
打ち払われた嘉助は地面に投げ出された。そう見えるように嘉助もまた弱い
『
「すんまっせん! すんまっせん!」
肩を
『おい猿。
よろけながら立ち上がった司祭が、バントの前に転がり出て、嘉助の前に
『お願いしますッ騎士様ッ、どうかもう誰も殺さないでくださいませ!』
様子を
「え? こん人は、なんね。なんでウチたちば
「
独去は薄く笑う。
「これは珍しい。なんとまあ、この
司祭に逆らわれ続けて、バントの顔色が変わった。
『おい司祭……我らに、あくまで逆らいコイツら
『司祭様ダメだ! 流れ者など放っておきなされ!』
騒ぎのなか、縫と嘉助は地面に転がされ
見れば────村人はさらに
もめごとに関わりたくないのだろう。
誰も、司祭には
口々に司祭を
『セブ様ッ騎士様へ
『司祭様ッ
騒ぐ村人の話を聞くでもなく
「
村人の態度を
そして、目の前にいるセブへ視線を移す。
「
セブを見る縫の口の
縫が
これを見た嘉助が、首をすくめる。
この顔をした縫は、なにかをしでかす。
しかも、それを止める手立てが自分にはない。
嫌な予感に、長いため息を
『おいおいおい! 司祭は、あくまでも我々に逆らうのだなッ!』
バントの
『よくわかった、』
『
『……神よ。いま
風を
縫だ。
地面を
「危な
一瞬で、場が
バントが驚きで目を見開く。
周りの村人らも、
女が。
「ねー。
『げ、
払う手も見えない剣速だ。
縫が
だがバントは剣を抜いた
見れば縫が
客に
しかし実際には、バントの手首と肘の関節を完全に固めて
『お、おのれぇッキサマッ! い、生かしてはおかんぞッ』
バントは痛む手のまま、
「はあ……
力押しする切っ先が縫に触れた瞬間、その圧力を利用して柄を握るバントの手をさらに内へと
バントの腕からゴキゴキッと岩を擦るような音が鳴った。
『ぐうッ! いだいだいだッ』
苦痛に
激痛に加え、三度も女に動きを止められた
『ぐぐッ、ううう。
バントが話し終わらないうちに、縫は彼の
たまらずバントが倒れる
ゴキゴキッ! またバントの骨が鳴る。
『がああッ』
たまらず悲鳴をあげるバントを、縫は涼しい顔でタゲルボのいる方向へ引き回した。
弓矢で
「組み討ちやら、知ら
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