第三話 弱き者を 弱きがために 掠むること勿れ
正方暦八三一年。
ケンノサント、ヒュマジ草原、ツパルク村────
六頭の馬が横長の
馬の前には
村人の横には首に大きな傷のある死体が
彼もこの村の住人だ。
先ほど切り殺されるまでは、だが。
殺した者は、村人が頭を下げる先にいる四人。
全身を
村人の一番近くにいる
『一人死んでも、まだわからんのか? おのれら、村人の
『逆らうつもりなど、まったくもってございませんッ! し、しかし
村の代表らしき老人が、地に
『は? すぐにもガロツクの軍勢が攻めてくるのだぞ? このままでは、キサマらなど春までどころか七日もせぬうちに、みな死ぬのだぞ』
『戦ってやるのは我々だぞ。救い主に手助けするのはぁッ、あたりまえだろうがッ!』
騎士は槍の
『しかしアナタ様方は、この地ではなく山向こうのルクブ
老人に
『なにを言い出すかッ! お前らのように
『ではッ、何のために命をつなぐ食料をさし出さねばならないのですかッ』
『────おい、司祭よ。これは国からの命令だ。我らに従わぬということはすなわち国に
村人は
『国に
『死にたくなければ、さっさと言われただけ食い物を持って来い、この場で
倒されて、うめき声をあげる司祭の
『司祭であっても、これ以上逆らえば殺すッ』
村人らは
『……いや、むしろ見せしめにはちょうど良いか、殺さないまでも足腰が立たなくなるていどに打ちすえれば見せしめになるか?』
地に伏せる老司祭へ向けて笑顔の騎士が槍を振り上げた────
その一瞬。その
ドクンッと一つ。音がした。
騎士と村人の会した空間が
色がゆらぎ、波打つ
『……なんだ?』
ドッと生暖かい
同時に、音と光もまた、戻った。
『うお! おいこれはッ!』
『おいッ! コイツら……
『いや、待て。そんなバカな話があるか。おおかた、どこかの物陰に隠れておった者が我らの
どよめく騎士たちの見つめる中の五人────誰あろう彼らは、
誰もが
この奇怪な現象、
途方もない
そんな奇怪な現象には、誰もが
「着いたようだ、な」
「はぁ。やっぱい、
独去と嘉助が肩を落としてため息を
それに対して四人の騎士は、薄い
『なんだぁ……コイツらは。見たこともない
『しかし、なんとも……みすぼらしい身なりだな』
そしてこの場で最も人数の多い村人たちは、
いまは
そのまま勘解由、三千世を中心にして
「見渡す限りの者たちは、
「囲んどるのは、ここの※
どこか楽しげに縫は口元を
「何かここの人は、みんな※パーデレ(※宣教師)とよく
「そんなら、オイたちゃ……海の向こうに来たとですか?」
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