第7話 エルフの里で起きたこと
やっほーーーーーー!!! 生エルフだ!! 萌えーーー!! などと言う余裕なんてなく臨戦状態だった。
もちろん、英雄であろうとする俺がたとえ推しキャラになっても取り乱すことはないのだけれど……
「ちょっと、待って。そそのかしたってどういうこと? 君たちエルフに俺たち人間は追い出されたって聞いたんだけど……」
「うるさい!! お前ら人間がエレサールと協力して里を占領したんでしょう!!」
ヴァリスが憎しみに満ちた目でこちらを見つめているが正直状況がわからない。エレサールというのは確かにゲームでも裏切るんだけど、そこに人間は関与しなかったはずなのだ。
「詳しい話を聞かせてくれないか。力になれるはずだ」
「私は人間なんぞに……うう……」
何とか話を聞こうと一歩踏み出すと彼女の矢を引いている手に力が入り……水色の霧が彼女を覆った。
これは『眠りの霧』という相手を眠らせる魔法だろう。テレジアのような神官や勇者が使える魔法だ。
「ジーク、なんで!?」
「こいつはあきらかに状況がおかしかっただろうが!! 撃たれていたかもしれないんだぞ」
「でも、勇者だったらちゃんと説得できたと思うんだ。俺の言葉に熱意が足りなかったから……」
「そんな魔法みたいなことができるか。いいから治癒したらこいつが目を覚ましてもあばれないように縛るぞ」
ジークは鼻で笑うが、俺は違うと思う。だって、俺は知っているのだ。主人公ではなくモブキャラに転生したことを知り腐っていた俺を動かしてくれたのは誰もないジークなのだから……
もっとがんばらないと……勇者は力だけではない。周りに勇気や希望を与える存在なんだ。だけど、どうすればいいのだろう?
矢を向けられたときに俺はびびってしまった。それを見て、彼女も不審をいだいたのかもしれない……
「フェイン何をやっているんだ。こっちにきて手伝ってくれ」
「ああ、ごめん……」
俺はもやもやの晴れないままジークの元へとむかうのだった。
そうして、二人してヴァリスを馬車に運んだのだが……
「ちょっと、ジーク。それはまずいって?」
「何をいっているんだ。治療するんだぞ。傷口を見ないとだめなだろうが」
躊躇なくヴァリスの服を脱がすジークに思わず情けない声がでてしまった。元々このゲームのエルフたちの服装はドスケベエルフの里と言われるくらい露出が高い。なんでも自然をよく感じるためらしいが、下半身はレオタードのようになっており、上半身は申し訳程度の衣服に胸元も強調されている格好なのだ。そのうえ、ヴァリスはちょっとツンツンした口調と可愛らしい内心とのギャップ。そしてゆたかな胸元から仲間にならないかったのが悔やまれたキャラの一人である。かくゆう俺もDLコンテンツでいいから出してくれと要望をだしたくらいである。
「毒矢を足に受けているな……よくこれで意識を保てていたもんだ……ん? どうしたんだ。フェインもしかして恥ずかしがっているのか?」
「うるさいな……こういうのは慣れてないんだよ」
おそらく顔を真っ赤になってしまっているのだろう、治療をしているジークの仮面越しに楽しそうにわらっているのがわかった。
「てっきり勇者パーティーの時に夜の街なり何なり行ってると思ったが……」
「シグルトはよくいってたけど、俺はそういうのは苦手なんだ……いったことないよ」
半分は本当の事で、もう半分は時間がもったいなかったからだ。そんな時間があれば魔力の増強から素振りでも何でもできたからね。
偽物に過ぎなかった俺に遊ぶ時間なんてなかったんだ。
「ふ、ふーん。そうなのか。もしかしてさ、パーティーメンバーに好きな人がいて、操を立ててたとかなのか?」
「え? それってどういう……」
「ううん……」
普段のジークっぽくない口調に疑問を思ったが、目の前のヴァリスがうめき声を上げたのでそれを追求するどころではなくなった。
「ここは……あなたたちまさか、私を辱めようと……」
胸元を隠すように自らを抱きしめるようにし、縛られた状態でも後ずさりするヴァリス。一瞬形をかえる豊かな胸元に目をとられそうになるが活をいれる。
決めたはずだ。俺は影の英雄になるのだと……
「それは違う。俺たちはエルフの里の異変を調査しに来たんだ」
「もしも、敵意があるのならばわざわざ治癒するはずがないだろう」
「それは……」
ヴァリスの瞳にわずかに迷いが生じる。今だ……俺には勇者たちのように心を動かす言葉はいえない。だけど、ゲーム知識はあるのだ。
「俺はエレサールの動きが怪しかったから密かに調査していたんだよ」
「な……あなたたち人間はそれを掴んでいたというの?」
彼女の瞳が驚きと興味に変わる。これなら話を聞いてくれそうだ。
★★
ユニコーンオーバーロードっていうゲームのエルフの服が素敵なんですよ……よかっらぐぐってみてください。
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