第2話
ただ歩いて進んでいく。いや、進んでいるのかも戻っているのかも分からない。ただただ両足を動かし道沿いに歩いているだけだ。
この迷宮はなんだ?発見済みの迷宮か?それとも未発見の迷宮なのか?死ぬことがないとはいえ、情報の欠如は非常に不便だ。まず情報を集めることにする。
迷宮、多くの人はダンジョンと呼ぶコレは魔法的要因によって生成された人工的生成物に酷似した地形である。
迷宮には大きく分けて3つ種類がある。
1つ目が名前通り、石レンガが積み重なった建造物やただ岩壁を彫り抜いただけのような洞窟で構成された『迷宮型』、これは山岳地帯や砂漠地帯に他の地形に紛れて埋まっていたりして所謂隠れた状態で存在する。
ここにはスライムやゴーレムといったあらゆる場所に存在している獣を除けば、コウモリやトカゲ等の暗所に適した獣や
2つ目が平原や湿地の1部が魔法的要因によって変質したもの『屋外型』ここには
最後が火山の火口付近や深海付近、密林の奥地といった場所が魔法的要因によって変質した『過酷環境型』。これが最も脅威度が高いダンジョンなのだが、説明すると長くなるので省く。生物も複雑すぎるので省く。
以上の事から今いるここを迷宮型のダンジョンと仮定し探索を進める。
○●○
約20分後。
「コッコッコッコッカッ」
盲目故に聴覚と嗅覚が発達した獣
130cm程度しかない身長の胴体に対して相対的に長い手足、青白い肌に、肉が覆いかぶさるように塞がった両目に対して大きく半球を模した耳と削ぎ落として穴しかない様な鼻が特徴的な人型の獣だ。
「……」
声は出せない、位置がバレる。
……いや、川の水に落ちて乾いた服を着ているんだ匂いでバレるか……。だが出すよりはマシだろう。
「コッコッコッコッカッ」
静かに…それでいて手早く近づいていく。
「……ぅ」
「カッ!!!」
「!?」
少し、たった少し息を吐く際に漏れた声が位置をバラした瞬間、目無し悪魔は抉るのではないかと思うほどの勢いで地面を蹴り、目の前まで跳びはねてきた。
咄嗟に両腕を交差させて防ぐ。
「っぐぅ!!」
非常に重たい一撃だ。腕が痺れている。
「コッコッコッコッカッカッカッ」
痺れが取れるまで防いだ体勢から変わらない。万一音がでてしまったら再び先程の頭突きを食らうこととなる。その場合確実にダメージが入り危険だ。
「コッコッコッコッカッ」
この舌打ちのような鳴き声、目的はなんだ……魔法?それとも他のなにかなのか?
腕の痺れがとれた。指を動かし違和感がないことを確認した後、呼吸を整える。
「コッコッコッコッコッカッ」
今度は息を漏らさないように口を噤み鼻呼吸を意識する、視線を目無し悪魔に合わせ地面を蹴りすぐに間を詰める。右手に力を込めて足を速める。
3.…2.…1…
走った勢いを殺さずに脇を締めて下から突き刺すようにアッパーを目無し悪魔の左脇腹に打ち付けた。
「カッギャッ!!」
目無し悪魔が痛みに反応し鳴き声を漏らす。それを無視して透かさず左手で追撃を加え、さらにもう一度右手、左手、右手、左手と交互に胴体と頭に打撃を加えていく。
「グッギャッガッグッグッギャッギャ!!」
「終わりだ」
右足を振り上げ、勢いよく頭に振り下ろし踵落としを決め、地面に叩きつけられた目無し悪魔の頭を踏みつけたまま、首を両手で締め付ける。
ぐっ…ぐっ…ぐっ……めきっめきめきっ…ミキャッ!
首の骨を完全に圧し折った、もう動くことはない。足を離し距離を取る。目無し悪魔を見てみると手足を軽減させながら糞尿を漏らしている。
神経を上手いことおかしく出来たらしい、俺の勝ちだ。
俺は死ぬ運命にある目無し悪魔を問題ないと判断し、放置して歩みを進めた。
●○●
しばらくして大きな部屋の入り口を見つけた。
「ボス部屋か降りた先にある安全領域か…どちらだろうな」
俺としては安全領域が良いが、ボス部屋だった場合も考え乱れた衣服を整え、目の前にある木製の扉を開き中に入っていった。
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