第3話 出会いの場所

 君と出会えたことが奇跡運命だ。この場所だ。ここで君と出会った。この公園のベンチ。今もあるよね。ここで君に声をかけたんだよね。泣きながら座っていた君に。


 あなたと出会ったここは、私の青春そのもの。あなたが私に勇気をくれた。人生、全ての時間をあなたと過ごしたい。そう思っていた。


 君がくれた手袋、今も大事に使ったらいるよ。最初は勿体無くて使えなかったけど、今は少し破けてしまったけど。それでも暖かい。


 あなたが私にくれた最高のプレゼントは覚えてくれてる?私のアルファベットのペンダント。でも、本当はあなたの震えながらのキス。


 君の人生は、僕の人生そのものだった。いつもどこに行くにも一緒。毎週必ず会っていた。休みを合わせるために仕事も変えた。でも何も後悔などしていなかった。君に会えることの、とても幸せを貰えることの方が大切だった。


 あなたとの出会い…早過ぎたのかな?若過ぎたのかな?もっと大人になって、理解し合えれば一緒になれたのかな?そうすれば今でもこのベンチのように塗装が剥がれかかっても新しい木の部分が現れて出会った頃のような…


 君が幸せになれるなら…そんな気持ちで全てを捧げて来て、それが負担だったんだね。僕の人生も大事にしてほしいって言ってくれていたのに…ごめんね。


 あなたとの思い出、絶対に忘れない!!今までの辛さを忘れるくらい救われたの。好きになり過ぎたの…不安に変わってしまったの。ごめんなさい。信じていたのに、あなたは裏切ることは絶対にないのに…不安ばかりが強くなって。それが苦しくなってきて。


 僕達は何故かお互い謝ることが多くなったね。謝ることなんて何も無いのに。大人になると相手を優先してしまい、それでお互い疲れてしまったんだね。


 私はあなたを好きになり過ぎて。あなたの私への優しさがあなたの人生を壊してしまう…負担になりたく無いの。そう思い始めて。


 君の優しさ、本当の愛を上回り、僕に伝わって来たよ。ありがとう。幸せになってね。


 私にも伝わっています。あなたの想いもね。大切な思い出の箱に入れてこれからも生きて行くからね。あなたも必ず幸せになって。




………………………………………………………




 お二人の願いは、この場所でお互いの気持ちを再確認することでした。間違いなかったようですね。それでは現在へお戻りいただきます。


 注意事項をしっかりと守っていただき、本当にありがとうございました。もちろん追加でお支払いいただくことはありません。


 ナビゲートテラーとして、お二人の守秘義務は必ずお守りいたします。



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