第2話 「じぇねれーしょん・ぎゃっぷ?」なんですか? それ?
働き始めて3週間目に入るころには、おばちゃんと17歳の関係もスムーズになってきた。出勤すると、17歳2人から「修学旅行のお土産です」とのメモが貼られた、広島県厳島神社を焼き印したクッキーが置いてあった。
「広島県の話題なら任せてちょ!」
おばちゃんはかつて住んでいた広島県のお土産をかじった。店舗へ行くと、17歳柿の種がいたので、
「修学旅行、広島県だったんだ。お土産ありがとね」
「僕とチロルチョコからです」
おお! 17歳との初会話。おばちゃん、17歳と一緒に仕事を始めたころから、リアル高校生にインタビューしたかったんだよね。
だって、おばちゃんが書く小説のターゲットは、ほとんどが高校生から20代前半なのだ。反応が知りたい。うずうずうずうず……。
まずは無難に、広島県の話題から入る。
「厳島神社はどうだった?」
「鹿に懐かれちゃって……」
「平和公園にある、原爆資料館も行ったよね」
「あそこはやばかったです。ショックでしたぁ~」
「わかるわぁ~。ところでさぁ~」
おばちゃんは本題に入る。
「17歳の柿の種だから聞くんだけど、おばちゃんとのジェネレーション・ギャップある?」
「じぇねれーしょん・ぎゃっぷ? なんですか? それ?」
前髪で隠れている眼が、ちょっと上目遣いになった。
「はへ?」
おばちゃんは言葉に詰まった。高等英語を使ったつもりはなかったのだが、通じなかった。
「柿の種! 大丈夫か?」
おばちゃんはちょっと心配になったが、ここで突っ込んではいけない! パワハラになる!
「おばちゃんと柿の種は、お祖母ちゃん世代くらい歳が離れてるんだけど、おばちゃんと話してて、話が通じないとか、行動が理解できないとか、思ったことある?」
おばちゃんは嚙み砕いて再度尋ねる。
「う――――ん、ないです」
さらっと答える柿の種。ほっとするおばちゃん。つまり、おばちゃんが書く小説は、17歳でも理解できるってことだ。
へっへっへ。
しかもこの気軽なノリの柿の種。
「これからは、タメで行けそう」
そう思ったおばちゃんだが、タメが「セクハラ」と紙一重だとは気がつかなかった。
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