第7話



あーアンタが出てくんのか。

お、俺の声聞こえてるんだ?

死なずに俺を手放したやつって居なかったから、初めての経験だわ。


でもすげーなアンタ。

素手でデカトカゲ倒したんだろ?

やるじゃん。

そんだけ強くなれば、もう俺のことなんて要らないだろ。


いやだから、冷静に振る舞えるからって、中身が大丈夫とは限らないんだって。

その呪いみてーなギフトのせいでアンタ自身もよくわかってないみたいだけどよ、もう限界なんだって。

だから俺はこのネーチャンに頼んで持ち主になってもらったわけ。

それにこのネーチャンすげーんだぜ。

アンタと同じようにデカトカゲを倒せるし、戦場を回って何百人も殺してくれるし、古巣だっつー魔術師の集まりも殺してくれるし。

俺が最高の魔剣になるにはこっちの方がいいんだわ。


知らねーって。

死にたいだけなら別に俺要らなくね?

別に人生の意味なんてなくたっていいだろ。

普通に生きて、普通に死ねばそれで十分じゃねーか。


おいおい、ちょっと待てって。

ネーチャンも。

落ち着けって。

いつも言ってんだろ。

なんでそんな喧嘩腰なんだよお前らは。

いや、血が欲しいか欲しくないかで言ったら欲しいけどよ。

別にアンタらの血じゃなくてもいいだろ。

いや封印はやめて。




ああ、強えなあ。

アンタそんなに強かったのかよ。

てか、俺を使ってない方が強くね?

剣術より拳術の方が向いてるって。

なんでアンタが持ってる時、剣の形してたんだ?




…………




おーい、まだ聞こえてるか?

まあ聞こえてないならそれでいいんだけどよ。

俺あ初めてだったんだ、持ち主を殺したくないって思うのはよ。

今までの持ち主は、ギリギリまで長持ちさせて、それでも最後は壊れちまうからよ、俺が成長するために吸わせてもらってきた。

意思は遺んねえけど、スキルやらなんやらは残るからよ。

それが俺なりの弔いってやつのつもりだったわけ。

まあ死者を悼む機能なんてねーんだけどよ。

真似だよ真似。

あーメンってこういう時も使えるのか?

まあいいや。

そういうわけだからさ、アンタのことも食わせてもらうわ。

アンタのその呪いみたいなギフトがあれば、これからの持ち主は長持ちするだろうし、ありがたく使わせてもらうぜ。




……あーあ、結局こうなるのかよ。


俺の銘(な)は『ブラッドグレイブ』


持ち主を殺す血塗れの墓標。


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