第3話



いやーやっぱアンタは当たりだわ!

ちゃんと毎日飯をくれるし、アンタに使われ始めてから乾く間もないってなあ!

しかも飯が美味え!

このなんとかっつーデカトカゲ、俺だいすき!

それにバカみてーにはしゃがねーし、余計な力も使わないから長持ちしそうだしな。


お?

そうそう。

アンタら人間で言うところの精神汚染?

まあ要するに頭がイカれていくのが俺を使う代償ってなってるけどよ、別に俺だって好きでイカれさせてるわけじゃねえんだぜ。

当たりめえだよな。

こっちからしちゃ、強い敵をたくさん倒す強い持ち主に、長く使われる方が強くなるには効率が良いんだからよ。

だから普段から『落ち着けよ』『冷静にな』って声掛けてんだろ。

あーそうだな。

感情的に俺を振るったり、特殊能力を使うとイカれやすくなるな?

まあそういう機能なんだろ。

俺がやってるわけじゃねーぞ。


あーそれな。

別に全部の魔剣が持ち主の身体を操ってどうこうするわけじゃねーのよ。

いやまあ他の魔剣に直接聞いたわけでもねーから、知らんけど。

俺だってできるはできるけど、持ち主の意識がある間はむりだからな。

え?

そりゃアンタが寝てる間ならできるぞ。

なんでってお前、さっきも言ったけどそれするとイカれ具合が跳ね上がるし、何よりお前が起きてた方が飯が食える……って待て待て、捨てんなって!

わかったわかった。

今度からはなんかあったら起こすようにするわ。

それなら良いだろ、なっなっ?

ネズミが通ったくらいでも跳ね起きるくせになんでわざわざ……まったく、人間はよくわかんねーな。




やべえやべえやべえって!

逃げろ逃げろすぐ逃げろ!

はあ!?

うるさいじゃねえって!

アンタじゃあいつらには敵わねえっての!

え?

まあそりゃ俺の力を使うならできねえこたあねえけどよ。

それだとアンタがイカれちまうだろうが。

は?

あーそれでか……いやでもそういうもんじゃねえんだって。

いかにギフトでどんな状態でも冷静に振る舞えるったって、それは別に精神が無事だってことじゃねえから。

昨日まで普通に振る舞ってたやつが突然ブチギレて暴れ出すなんてこともあるだろ?

アンタのそれで暴れ出すことがなかったとしても、中身はグチャグチャになってることに変わりはねーから。

だから逃げろって、な?

別に良いだろ逃げたって。

どんなに大切だって思うもんでも、自分の命には代えらんねえだろ。

俺にはわかんねーけどよ。

一個しかねーもんと、今後も増えるもんじゃ価値が違うんじゃねーの?


ふーん、そういうもんか。

どうしてもやるってんなら、もう止めねえけどよ。

せめてあいつらは絶対に殺せよ?

大切なもん守って、不殺まで貫こうなんて、流石に都合良すぎだろ?

それにああいうのを放っとくと、結局また誰かの大切なもんを傷つけるんだ。

へへ、詳しいだろ。

伊達に何百年も人間どもを見てきたわけじゃねえのよ。


良いか、合わせろよ……そうだ、俺はアンタの延長だ、アンタの身体の一部だ。

アンタの身体に宿ってる力を使うだけさ、なんてことはない……。

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