008
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本日2話投稿(2/2)
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帰り際にすでにテミルにレベルを追い抜かれている事を知って、大いにヘコんで慰められた後、街へ帰って来ってテミルを連れたまま家へと帰ってきた。
店の入口から入ると母さんが暇そうに店番をしており、こちらを見つけると驚いた顔を見せた。
「ただいま、こちら一緒にパーティを組むことになったテミルさん。彼女の装備を父さんに作ってもらいたいんだ。」
「はじめまして、クルトさんにはとてもお世話になっています…」
「まぁまぁまぁ!そんなに固くならなくていいのよ。あの人は工房にいるからどうぞ入って!すぐにお茶を入れて来るわね!」
突然テンションの上がった母さんに手を引かれて店の奥へと入り、工房へ入って今度は父さんと同じ様な流れをする。
「ついに息子が女の子を連れて来る日が来たんだねぇ。任せておくれ、私は凄腕の錬金職人だからね。失敗なんてしないから安心してくれて良い。ああ、クルトが使っていた防具はまだ売れていないから丁度いいので使ってしまおう」
父さんがどこかで聞いた台詞を口にしてテミルに微笑みかけた後、錬金術の材料になる防具を取りに工房を出て行った。
「ごめんねテミル、おかしな両親で」
「いえ、明るくて良いご家族だと思いますよ」
雑談をしながら母さんが入れてくれたお茶を飲み、父さんが錬金術を使っていくのを見守る。
今やっているのは少し傷の入った皮の胴鎧の横に、僕達が取ってきた硬皮と鉄を置いて錬金術を使う所だ。残念ながら黒い渦になってしまったので大成功はしなかったみたいだね。
「なるほど良い職人なのは本当の様だの。じゃが精霊の声は聞こえんようだしすまんがクルト代わりに伝えてくれんかの?」
「構わないけどどうしたの?」
「いやなに、ちょっとした思い付きなんじゃがな?武器ではなく盾を2つ作ってくれんかの。どうせ攻撃せんのなら武器もいらんじゃろ?」
今日作るものはすでに父さんに伝えていて、体につける防具の他は剣と
「それはまた
ドラゴンのブレスを防ぐために大盾を2枚使った英雄の話はあったけど、普段使いで盾を2枚持つ話は聞いた事がない。そんな奇妙な戦い方をテミルはさせられて良いのだろうか?
「えーとデボボに任せます。よく分かりませんが何か意味があるのかも知れませんし…」
「テミルがいいならそれでいいけど。父さん悪いんだけど剣じゃなくて盾が2枚欲しいらしいんだ、その剣の錬金は素材が余ったらでお願い。」
「盾が2枚?変わった注文だが皮の盾は1枚しかないから1つ新しく作る必要があるな」
アイテムボックスから新しく素材を取り出して皮、木、蝋を机に並べる。
「材料が足りているのなら問題は無い」
父が材料を受け取って錬金術を行うと渦が金色に輝いて、皮の盾の大成功品が出来上がった。
「すまん…さすがにこれを使うわけにはいかんからもう一組出してくれるか?」
大成功品を素材に使っても次の装備も大成功品になるとは限らないらしく、仕方無くもう一組素材を手渡す。
「大成功を始めてみましたけど綺麗ですね!神秘的な光景でした」
テミルはとても喜んでくれたけど、実はこの大成功した皮の盾はあまり売れない。せっかく高いカードを刺すのだからと一つ上の物やさらに上の物を買っていくのだ。たまに戦わない商人なんかがケチって買うくらいで、装備を扱う商店には皮装備の大成功品が不良在庫になっているらしい。
ぶっちゃけそのまま素材にしても良いんだけど、大成功品は通常品の5倍から10倍で販売すると商人ギルドで決まっているので、商売人としては棚の隅っこになら置いておいても良いかなぁという商品になる。
同じ一番簡単な錬金術の1つ治療薬の方は大成功品は治療性能が上がるのでまだ売れる、5倍の値段に見合う性能ではないからお守り代わりに持って行くくらいだけど、それでも少しは売れていく。
無事にすべての装備が完成したけど、今回作った硬皮鎧からは残念ながら大成功品は出なかった。余った素材で2本の鉄の剣も無事に鋼鉄の剣に強化されて店に並べられることになった。
今日取ってきた素材の代金はパーティ資金として貯められ、鎧の代金もそこから出した事にした。テミルはいつか返すと言ってくれたけど、父の手間賃を考えても数日はかからない気がする。
明日、リビングドール達よりも先へ進めれば錬金術に使えるまともな素材が手に入る。そこでなら1日で銀貨数枚を稼ぐことも難しくはないと思うんだ。
装備を作り終わり両親に根掘り葉掘り聞き込みをされた次の日。次の魔物の領域へ向かう事を知ったテミルを驚かせ、リビングドールが出てくる層までまっすぐに向かう。
テミルが取った職業の1つ武術家に、身体強化という魔力で体を包み込むスキルがあるので、使えばレイスにも対応する事が出来るんだけど。テミルはまだ魔力量倍化を取っていないのでそう長くは使うことが出来ない。
なので身体強化が無くても殴れて、攻撃力の低いリビングドールでまずは練習してみようという事になったんだ。
両手にそれぞれ円盾を構えたテミルが前へと進み、襲いかかって来たリビングドールを1体を残して僕とミズナが倒し切る。
「はぁ!」
テミルは飛びかかってきたリビングドールを盾で殴り飛ばし、起き上がって再び襲って来ては殴って弾き続ける。
「1匹なら問題無さそうだしもう一体増やしてみようか?」
ここに来るまでに上がったレベルで取得した筋力倍化のレベルはリビングドール相手には十分だったようで、殴られてテミルから離れた所をミズナが器用に魔法で倒す。
「すごいです!私でも魔物と戦えました!」
「よかった、ミズナがもう1体増やすそうだけど大丈夫そう?」
喜びを
2体同時に相手をしても左右の盾で順番に殴るだけで難易度は変わらなかった様で、テミルの希望でさらにもう一体増やすことになった。
3体に増えたリビングドールはテミルの焦りからか殴られた時の吹き飛ぶ距離が変わり、同じ順番では襲って来ないせいでとても大変そうに見える。
「ん~なんかたまにリビングドールの動きが遅くなったりしてない?」
「ほんとじゃの、スキルなんぞ使ってないはずだがはて?この感じはどこかで見た気がするが」
ミズナが変なことを言い出し、よく見ると確かにリビングドールが走る速度が遅くなる時がある気がする。
「おお、思い出したぞ下手くそな吟遊詩人の演奏じゃ!あの時は敵の動きがころころ変わるから周りから
「あーということはあの盾が太鼓か何かとして認識されてるってこと?なら吟遊詩人は外した方が良いかな?あれじゃあ戦いにくいでしょ」
「どうせもうすぐ外す予定だったんじゃからこのままでもいいんじゃないかの。あの子には良いフェイントの練習になるじゃろ」
そんな事もあるのかと感心しながらしばらく見ていたけど攻撃を食らうこともなく
「お疲れ様、後ろから見ているととても大変そうだったけどどうだった?」
「ふぅ、ありがとうございます。4体までは何とかいけるかも知れませんが出来れば反応倍化が欲しいかも知れません」
「ちとイレギュラーはあったがよく頑張ったの。この様子なら立派な守り手に成れるじゃろうて」
「うん、あれだけ出来ればこのパーティのメンバーとして十分やっていけるよ。反応倍化は行き詰まってからでいいんじゃないかなぁ」
戻ってきたテミルに水を差し出し、感想を聞いてみるとまだ増やせると言って来て昨日までの病弱さが本当に嘘の様だ。
「いや、壁役はどの道取ることになるから早めに取って慣らしをしても構わんぞ。横や後ろからの奇襲にどれだけ早く対応できるかが壁役の生死に関わってくるからのレベル1なら問題ない」
「なら今3体倒してレベルも上がったし覚えちゃおうか。ここから先に必要なボーナスも教えておくよ」
その後、4体でも問題なく対処し、5体でようやく攻撃を受けたけど怪我もなく殴り続けた彼女の姿はもう立派な
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