007
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本日2話投稿(1/2)
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冒険者ギルドから離れ街の門を通って少しすると、ふらついたテミルが座り込んだ。
「す、すみません。少し休めば歩けますから」
まぁ立っていただけでふらついていたんだから気づくべきだったというか、考えるべきだったというか。
あまりの虚弱さに驚いたけど、これでどうやってゾンビを倒していたんだろう。
「歩けないならクルトが背負えばいいよ。どうせゾンビやスケルトンになんて攻撃されないんだし、そもそも近付けさせないしね」
「おお、よいな!そこから始まる恋もありそうじゃの!英雄には色恋沙汰は付き物じゃからな!」
「下世話だよデボボ。そういうのは知らない顔してこっそり見守ってあげるのが良いんじゃないか」
「何?ワシの知っとる英雄は人目なんぞ気にしておらんかったぞ?からかったら見せ付けて来る様なのばかりじゃった」
「そりゃあ戦士系の英雄はそうだろうけど、あからさまに言われると奥手になる英雄もいるんだよ?」
突然意識させられて
「テミル、背負うから動けたら背中に乗って欲しい」
「あっはい、よろしくお願いします…」
杖を仕舞ってテミルを背負うと魔物の領域に向かって歩き始める。ここからはそれほど遠くはないけど、十数kgの杖が重くて持っていられなかった僕なので、余裕が無いことがバレないかとても心配だ。
それでも筋力倍化と体力倍化のおかげで休む事なく歩ききり、移動しながらミズナがゾンビを次々に倒していく。
「あ、あの。なんだかどんどんレベルが上がっているようなのですけど…!」
「何体か倒すだけで上がると思うから、どんどんボーナスを取っちゃってね」
2人で分散されているとはいえ、ゾンビを1体倒すだけで500体分の経験値が入っているのだからそれはそうだろう。
「ああ、どんどん体調が良くなっていきます。このまま天に昇ってしまいそうです」
「治るのにも時間は必要だからもうちょっとそのままでいてね、ゴーストの所まで行くつもりだから。
ああ、ついでだから彼女の装備の材料も集めちゃおうか、壁役なのに装備も無いんじゃ格好がつかないもんね」
「それはありがたいの、装備を買う金も無かったから武器を買うので精一杯だったんじゃ」
「何から何までありがとうございます。あの、もう落ち着いた様なので自分で歩けると思います」
「何言ってるんだよここから先は素早い魔物が多いんだ、慣れてないテミルじゃ危ないからクルトから離れちゃだめだよ!」
「そうじゃぞ来た事のない危険な場所に来ているんじゃから先人の言うことには従った方がよいぞ!」
2匹は完全に楽しんでからかっているだけだろうけど、スカルドッグやグールが危険なのは本当だ。
こんな所でふらふら歩くよりは一緒にいたほうがミズナも守りやすいだろう。
「歩いてもいいけどあまり離れないでね、2人はあんなだけど危ないのは本当だから」
「はい、気を付けます」
地面に下ろしたテミルは足取りもしっかりしていて病弱だったのが嘘のようだ。まぁ顔はちょっと赤いけどこれは違う理由だから気にしなくていいだろう。
髪と同化するくらい
髪もふわりとして表情も変わったせいか雰囲気がかなり変わった。その、まぁ可愛くなった。
「どうじゃ良い雰囲気になったじゃろ?やはりからかって正解だったんじゃ」
「まぁ今回は正解だったかもね、クルトはむっつりだから表には出さなかっただろうし」
少し見惚れていたら2匹にさらにからかわれてた、とりあえずミズナは後で叱っておこう。
「何してるんだよ早く先へ進もう、父さんは失敗しないとか言ってたけど材料は多めに欲しいんだから早く行くよ」
気恥ずかしさで急かしてしまったけど、テミルまで急かしてしまったのは失敗だったかも知れない。
「あの!必要経験値減少を取り終わったんですが今だに1体ごとにレベルが上がっているんですけどどうしたら…?」
「そりゃあ経験値5のゴーストを倒したら経験値倍化で5千、パーティで分散されて半分になるとはいえ必要経験値減少で1/100になるから、実質ゾンビ25万匹分だものレベルも上がるよね」
「うむ、職業が1つなら気にする程の事ではないぞ?ああ、もしや1レベルづつしか上がらないから気になっておるのか?確かに余分な経験値は捨てられておるからの」
「なんだ、そんな事か。それなら先に第3職業まで解放しちゃう?いっその事第6職業まで全部解放してもいいけど関係無い職業も上げることになっちゃうよ?」
「だがテミルは基礎能力値が低いからの、いっそのこと他の職業で底上げするのも良い手かも知れん」
そう言って精霊達がまた議論をし始めた、動かなければ魔物はあまり来ないし僕でも倒せるから問題は無いけど、こんな所で突然始めないで欲しい。
「あ、あの。それで結局どうしたらいいのでしょう?」
テミルが泣きそうな顔で僕に聞いてくるけど、僕も分からないし2人を止めるしかないだろう。
「2人ともとりあえず決まったところだけ教えてよ」
「そうだね、細かい所は後でまだ話し合う必要があるけど、取り敢えず今はまず第6職業まで解放していいよ」
「うむ、そして戦士、聖職者、武術家、魔法使い、吟遊詩人の5つに転職するのじゃ」
「吟遊詩人?私楽器なんて演奏出来ませんけど…」
「良いの良いの、生命力を上げるためのおまけだから後で変えると思うし、経験値がもったいないから付けておくだけだよ」
方針が決まって一気に職業が6つになり、経験値が6等分されることになった。まぁそれでもまだ1つの職業に4万くらい入っているんだけど…
「そんなに有用なら僕も必要経験値減少を取ったほうが良いんじゃない?」
「そこが罠なんだよ!」
「うむ、目先の数字にだけ騙されてよく引っかかるんじゃ」
あまりの数字の大きさに
「いいかい?ボーナスを取れるのはどんなに頑張っても99個までなんだ。だから強さに関係の無いボーナスを20個も取ったら最終的には周りより弱っちくなってしまうんだよ」
「かといって経験値系のボーナスは取らなければレベル99など夢のまた夢、精霊の中では経験値系のボーナスは10個までというのは一般常識じゃ!」
確かに生命力倍化なんかの能力を上げるボーナスだけでもすべて取ったら80ポイントも使ってしまう。
有用な物が多いボーナスは唯でさえ厳選しなければいけないのに、最終的には無用の長物となる経験値系のボーナスは取りすぎてはいけないのだろう。
「なら必要経験値減少は別に取らなくてもよかったんじゃ?効率は下がるけど僕と同じ速度で上がるなら十分なんだよね?」
「そこはそれ、もしお主らに早々に捨てられた時に途方に暮れる事になるじゃろ?
かといって、せっかくパーティが組めたのに敵を倒しもしない壁役が経験値倍化を取るなど効率が悪いどころか無意味!
千倍と1/100では大きく違うがそれでも無いよりはマシじゃろう。」
普通はパーティを組むためには経験値分配のボーナスを取っておく必要がある。
でも今のところテミルに取らせる予定はないし、健康になったとはいえ筋力倍化も取っていない今、放り出されていたら確かに途方に暮れていただろう。
そのまま緊張感も無く、ミズナが倒す魔物の落としたアイテムを拾っていく。魔物を倒すたびにデボボに取得するボーナスを教えられ、ようやく1体じゃレベルが上がらなくなったと喜ぶ姿がなんだかとても羨ましく思えた。
少し前は僕もあんな感じだったというのに今日はレベルが1つしか上がっていなくて、必要経験値減少を取るか真剣に悩みながらミズナの後をついて行った。
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テミル007話終了時ステータス
J.精霊術師Lv0→50
J.戦士Lv0→32
J.聖職者Lv0→31
J.武術家Lv0→30
J.魔法使いLv0→29
J.吟遊詩人Lv0→28
B.生命力倍化Lv10
B.体力倍化Lv10
B.頑丈倍化Lv10
B.必要経験値減少Lv10
B.第6職業
B.アイテムボックス
B.筋力倍化Lv2
B.モンスター誘引
B.タウント使用可能
使用可能スキル:バッシュ、ヒール、キュア、身体強化、地水火風ランス、アイテムボックス、タウント
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