005
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本日2話投稿(1/2)
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レイスが飛び交う草原を抜けて先へ進むと、膝丈くらいの小さな人形がこちらへ走って来た。
意外と足が速いなぁなどと思っていると、ミズナの魔法で頭を撃ち抜かれ、アイテムを残して消えていった。
「何してるの!?魔物が近付いて来てるんだから倒さないと!」
「ごめん!人形が走ってるのが可愛くて見惚れてた」
「何言ってるのさ?人形が動いてる時点でおかしいでしょ。危ないから気を抜かないでよね!」
もう一度ミズナに謝り、新たにこちらに向かってくる人形に僕も魔法を撃ち込んでいく。
金髪の長い髪をなびかせて、フリルの付いた洋服を着てちょこちょこと走って来る様子はとても可愛いのだけれど、少し移動しただけで何体も草の陰からこちらに走って来る事に段々恐怖を感じて来た。
「ねぇミズナなんか数が多くない?」
「そうだね、倒すのに手一杯でアイテムを拾っている余裕は無いかも。」
このリビングドールという魔物はフリルのある綺麗な洋服を着ているというのに、麻布というただの布を落とす。
錬金術にも使えない本当にただの麻で出来た布なせいかドロップ率高く、1枚拾いに行くと数体のリビングドールが寄って来るためにいつまで経っても拾い終わらない。
「クルト、アイテムは無視して一度レイスのいる層まで戻ろう。後ろからも来ているし、このままここに居ると魔力が足りなくなるかも知れない。」
「分かった、急いで戻ろう」
魔力量倍化を取ってからは久しく感じて来なかった、魔力が減った事による疲労感を感じ始めていた。
まだ余裕はあるけれどこの調子で2人で魔法を撃ち続けていたら、いつかは魔力切れを起こしていただろう。
「うーん敵を集めてくれれば範囲魔法で倒せるから魔力の節約も出来るんだけど」
「敵を集めるって、そんな事したら範囲魔法を撃つ前に僕が死んじゃうよ?」
「クルト貧弱だから当然そうなるよね?一応そうならない様に生命力倍化のボーナスも取ってもらうけどさ、それよりもそろそろパーティ組まない?盾役になってくれる味方がいれば今よりも余裕ができると思うんだよね」
そろそろどころか本来は前の魔物の領域でパーティを組むのが普通なんだ。
魔物が一発で倒せるのが楽しくて1人と1匹でここまで来たけど、少し失敗したら死んでしまう今の状態はあまり良い状態では無いと思う。
遅いくらいだけど僕もパーティを組んだほうがいいと思う。
「パーティメンバーを探そう。今のまま先に進むといつか事故が起きる気がしてきた」
「よかった!そうと決まればまずは経験値分配と鑑定のボーナスを取ろうか!
これが無いとパーティを組んでもらえないし、メンバーを探すならクルトも直接相手の職業を確認できたほうがいいでしょ?」
「うん、アイテムの確認も出来ないし地味に気になってたんだよね」
カードを拾った時も名前が分からなかったし、大成功した装備を判別するのもよく見ないと分からないから地味に不便だったんだよね。
アイテムは名前とスロット数が分かるだけだけど、人を鑑定すると僕の場合は「クルト 15歳 精霊術師 魔法使い」と、表示されるはずだ。
鑑定がない場合は毎回神殿か神殿型魔導具の所まで行かないといけないから結構面倒で、ミズナから教えてもらってもいいけど話の途中で意識を他に向けているのは良い印象は持たれないだろう。
そう考えたら精霊術師のメンバーを探した方が良い気がしてきた。欲しいのは壁役だから精霊術師じゃ駄目だと思うけど、せめて精霊を見る素養がある人がいると嬉しいな。
魔力を回復しながらレイスを倒してレベルを上げて、目標の経験値分配と鑑定、生命力倍化のボーナスをとる。
外周側だから魔物が多いのは良いんだけど、アイテムを拾うのが大変だ。いずれパーティメンバーが増えれば楽になるだろうか?
いや、パーティメンバーは雑用じゃないか…それならいっそお金を報酬に雑用を雇うのも良いかも知れない。
いつもより少し早めに街へと戻り、冒険者ギルドの掲示板を確認する。
ここの掲示板には依頼書の他にパーティメンバーの募集やカードの売却、交換の提案、誰かへの伝言など様々なものが紙に書かれて貼られている。
内容ごとに場所は分けられているけど掲示板の数は10や20ではきかず、これを管理するのがギルドの主な仕事になっている。
パーティメンバーの募集も細かい条件が書かれているため、それぞれの紙が大きくてかなり場所を取っていたけどその中で1枚変わった内容の物を見つけた。
「ねぇミズナ、ちょっと変わってるけどこの人なんてどうだろう?」
「なにこれ?精霊術師なのに経験値倍化も取らずに生命力倍化Lv3、体力倍化Lv1、頑丈倍化Lv1って精霊は何をやっているのさ!こんなひどい取り方初めて見たよ!」
ミズナがひどく
「でもこの取り方って壁役にちょうどいいと思うんだよね。
始めの頃はレベル上げを手伝わないと行けないけど、このレベルからならすぐ上がるし。この精霊術師を辞めたくないって条件も、第2職業を取ってもらえばいいだけだから問題無いと思うんだ」
「確かに経験値倍化が無いだけでまだ立て直しは効くけど、こんな取り方をさせる精霊なんて絶対嫌なやつだよ?仲良く出来る気がしないね!」
「まぁ会うだけ会ってみようよ、どうしても無理なら他を探せば良いんだから」
怒るミズナを
こんなまだ役に立たないけど何でもしますからパーティに入れてください。なんて書いてる募集は他に無い。
せめて筋力倍化を取っていれば入れてくれるパーティもいただろうけど、これじゃあ壁役になっても魔物に吹っ飛ばされて役割すら
掲示板横にある小さな紙に、明日から朝にこの掲示板の前に来る事と自分のジョブを書いてピンで貼り付けた。
これで向こうが毎日確認していれば会えるだろうし、駄目ならさらにメモが貼られて返事が来るだろう。
ついでに他の掲示板を色々と確認しているとカードの取引が貼られている場所まで来た。
その中に、魔力量+10%のカード買取、金貨5枚という物を見つけてしまった。
「うわっ、ずいぶん買い叩いてるね。もっと人の多い街に行けば倍にはなると思うよ」
金貨5といえば平民が贅沢をしなければ10年は暮らせるし、金貨10枚もあれば農村で畑を耕しながら暮らせば一生食事に困る事はないだろう額だ。
安いものでも金貨1枚からで、高いものは一生遊んで暮らせる額になる事は知っていたけど、ようやく自分の腕に付いてる物の価値が理解できた気がする。
ミズナが言っていた良い武器というのも次のランクの武器ではなく、ミスリルなんかの高級品の事だったのかも知れない。
腕の重みを見なかった事にして、掲示板の先を見ていくとガラス玉の収集依頼がまだ残っていた。
量も100個程度で値段もそれほど高くはないけど、今日取って来た分で足りるので受けておいて損はないだろう。期限半月で千個集める依頼の方が単価は高いけれど、あそこに10日以上通う予定もない。
「この依頼納品します」
「はい、ありがとうございます。ガラス玉はこちらの箱にお入れ下さい」
差し出された木箱にアイテムボックスから
アイテムの名前しか読み取れない鑑定スキルはボーナスポイントを使って取るには少しもったいない性能ではあるんだけど1つ便利な使い方がある。
袋や箱に同じ種類の物を詰めてから鑑定すると、「皮袋」から「銅貨10枚が入った皮袋」へと名前が変わるんだ。
なので今も「木箱」から「ガラス玉94個が入った木箱」と鑑定で表示されたので6個足して受付で確認してもらった。
昨日まではミズナの許可が降りなくて、数えるのが面倒だった僕は買取カウンターで受付嬢の言っている数を信じるしかなかったから大きな進歩だ。
「丁度100個確認致しました。依頼料を用意致しますので少々お待ちください」
奥へ行くと何かの書類にサインして、金庫番から依頼料を出してもらって帰って来る。
「こちらが依頼料の銅板7枚となります、ご確認下さい。
まだ登録して半月ほどなのにもうゴーストをこんなに倒せるなんてさすがエルフ族ですね。ガラス玉は数が足りていないのでいくつでも大歓迎ですよ」
笑顔でそう言っているけど買取カウンターに売るとガラス玉は2個で銅貨1枚。今回だってまとめて納品して100個で銅貨70枚だ。鞄一杯に取ってきて銅貨数枚の木の枝や、十数枚の岩塩の欠片よりはましだけどもう少し高くなって欲しい。
受付嬢に愛想笑いを返しやんわりと断ると、買取カウンターへ移動して残りの戦利品を売り払った。
1日で銀貨1枚以上稼げるようになったから、1年で考えれば金貨数枚は稼げるようになったということだ。もう十分暮らしてはいけるけど、カードの買取価格を見ると欲が湧いてくる。あれを売る側じゃなくて買う側の冒険者になってみたいなぁ。
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主人公ステータス
J.精霊術師Lv40→47
J.魔法使いLv37→43
B.経験値倍化Lv10
B.魔力量倍化Lv10
B.魔力倍化Lv10
B.第2職業
B.アイテムボックス
B.スキル強化Lv10
B.筋力倍化Lv1
B.体力倍化Lv1
B.経験値分配
B.鑑定
B.生命力倍化Lv1
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