タイミング
金子ふみよ
第1話
都会に住む兄からクリスマスの日に宅配便が届いた。狙ったわけではないのだろうが、サンタクロースになったようだ。荷物の中身はインスタント麺やレトルトカレーやコーン缶などだった。紙袋が二つあった。付箋には姪にも渡してほしいとのこと。兄にLINEを入れると同時に姪にも連絡をした。
翌朝、外回りのついでにということで姪からLINEが来た。昼近くになって「今○○にいるからもうすぐ行ける」との連絡が入った。私は朝食を摂る元気がなかったのだが、11時を過ぎてお腹が鳴り始めていたので、少し早いが昼食の準備に取り掛かっていた。海藻のサラダと唐揚げと言った総菜を買っていたのでラップをあけ、冷凍庫から五目あんかけラーメンを鍋にかけていた。もう準備が整いさあ食べ始めようかとした時、姪からまたLINEが入った。「ランチどっかに行こうよ」。もう食べ始めたとの返信をすると、「え~」と言う非難の後に泣き顔のスタンプを何個も並べていた。もうそこまで来ているはずなのに、ちっとも玄関が開かないのを疑問に思いつつ、昼食を簡単に終えると、姪がやって来た。外回り用のバッグの他にビニル袋を提げていた。買い物をしていたらしい。「私もここで食べていくわ」納豆巻きと唐揚げと、ミニサイズのカップ麺をテーブルに並べていた。お湯を沸かしてやり、カップ麺に注ぎ、お茶も出してやった。「おじさん、これ食べて」と総菜のパックを三つ積んでいた。春巻きときんぴらとふきの煮物だった。姪は3分待ってからそそくさと食べ始めた。「外回りの時は昼食、そんな感じなのか?」と聞くと、「そう言う時もあるし、どっか寄る時もある」納豆巻きを頬張りながら答えた。あっという間に昼食をたいらげた姪に兄から送られて来たお菓子入りの紙袋を渡した。紙袋を閉じていたセロハンテープを容赦なくはいで中身を取り出して喜ぶ姪。スマホを取り出すと写真でも撮るのかと思ったら、何やら指を動かしている。昼食で出たゴミを片してやっているうちに「おっちゃんにLINEした」手の早いことで。もうすっかり冷めたお茶を啜ると、姪は「よっしゃ行くか」と外回り用のバッグとお菓子入りの紙袋を提げて立ち上がった。「今日は間が悪かったが、今度時間合ったら、ランチ一緒に行くか」と言うと、姪は快活に「うん」と返事をし、一つ欠伸をしてから発車して行った。
タイミング 金子ふみよ @fmy-knk_03_21
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