第10話

「残念だったな俺………」


「ん?」


 強くなれる方法を考えてたら思い付いた………賭けでしかないがやるしかない!逆を言えば弱くなる方法もあるよな?


「まさか………」


「そのまさかだ」


 そこらへんに落ちていた剣を拾う。そして………


「ぐっ……!!」


 自分の心臓へと突き刺した。


「ぐはっ!!!考えたな俺…………」


 よし俺の目論見通り。やっぱり弱くさせる方法はある。俺が剣を刺した瞬間、100年後の俺も心臓を抑えてうずくまった。過去の俺が衰弱したらあいつも必ず比例して弱くなるはず!だがそれをするには後遺症レベルのことをしないといけない。だから俺は自らの死を選ぶことにした。そうすることで死という後遺症を残せる!!


「いいのか……お前も死ぬぞ」


 100年後の俺が初めて表情を崩した。

 気持ちいいとか言っていても結局は自分が100パーセント勝てるからそう言えるだけ………。安全地域でお菓子を食っているみたいな感覚に近いだろう。しかし思わぬ形で今、その安全地域が壊されたんだ。


 100年後の俺は汗をかきながら俺を睨みつけてこう聞いた。


「なぜここまでする?ここで道連れになるより他の方法で生きようとすればいいじゃないか!死が怖くないのか!?」


 俺は切羽詰まった表情でこう答えた。


「……俺は人をたくさん殺してしまったんだ………それは少しでしかないが、この形でしか償えないと思ってる。お前が開催したクソみたいなゲームの被害者たちのために俺も死ぬ」


「くそ……………お前のためを思ってきたのにッ!」


「じゃあな俺」


 視界が暗んだ。これが死ってやつだろう………。あいつらへの復讐も果たしたし悔いは無い。ただそんな俺にもひとつ願いがある。願わくば来世では真っ当に生きれますように。俺。

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たったひとりの英雄として復讐する @kurocat33

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