第8話
「あんたがマスターなのか?」
亀裂からでてきた男は想像よりも平凡な姿だった。どこか懐かしいような………。マスターというから多分この状況が始まったことの全ての支配者だという推測だが………どうなんだろうか。
するとマスターの男は微笑んでこう答えた。
「懐かしいな俺」
「え?」
何言ってるんだろ………俺は目を見開いた。
「俺はお前の100年後だ」
「はぁ……?何言って?」
「フッ」
………なんだ!?俺の頭の中に大量の情報が流れてくる!?戦闘能力が上昇したあのときと違って気分が悪い。30秒間その場から動けなくなったが、そのおかげで分かった。この人は100年後の自分だ。本当の本当に。
根拠は分からない。だけどそう直感で分かる。まるで操作されているかのようだが本当にこの人が俺の100年後だ。
「いやーにしても楽しかったよ君たちの殺し合い」
「え?」
「人が死ぬ瞬間ってあんなに気持ちいいんだね」
「はぁ?気持ちいい訳ないだろ!人を殺すなんて気分が悪いだけだ!」
「おお?人を殺しておきながらよく言うよフフ」
「…!!」
うおおお!?なんだ急に吐き気が止まらない!!気持ち悪い……!なんだこの感じ!?てかさっきから俺の言動が数分前の俺までとは全然違う!人を殺すことは良くないに決まってる!!分かってるのになんで俺はあんな簡単に人を殺してたんだ!?
それから謎にどんどんと怒りが湧いてくる。なんだ急に?!
これは夢か………?
「フフ焦るんじゃない君たちに掛けていたフィルターが外れたんだ」
「フ、フィルター?」
「そうだ。人を殺すことに躊躇いなかっただろう?それができるようにこちら側で操作したんだよ」
……!!そーいうことか!思い出した!あのときの違和感!だからあのとき俺は何も感じなかったのか。それにまさか……
「みんながこの現実をすぐ受け入れたことも……!」
「そう!俺がプログラムした。過去の俺は俺からしたらメインキャラクターだからそのプログラムは少し弱めたわけ」
……確かにどんどんと現実を受け入れて言っていた気がする………。だけど分からない。さっきからのこの俺の100年後はすごいクソ野郎だ。俺はこんな人になってしまうんだろうか………?
すると100年後の自分は口を開いた。
「ちなみにこれはあいつらに復讐するために俺が作った現実世界だ。いつの時代でも良かったんだが、当時の自分が直接復讐して欲しくてね」
「……そこはありがとう。おかげで気は晴れた。だけど無関係の人を巻き込むことは間違ってる!」
銀河市に招待されたのは現実世界にいる普通の人。ゲームのキャラじゃない。あの人達は今ここで終わってしまったんだ。それで果たした復讐なんていい気分なんかにはなれない。これだ………俺が感じた謎の怒りは。みしみしと拳を強く握る。自分らしいけどそんなん関係ない!このクズは殺すべきだ。
「おおっとこれは予想外だ。そーいえば昔の俺は弱っちい癖に無駄に正義感強かったよなあ。今の俺からしたら恥ずかしいよ。だけどいいのかい自分の未来を殺しても?」
「そんなん知るかよ。俺がまた新しい自分をつくる。お前みたいなやつを反面教師にしてな!」
「……」
「それにお前は俺を殺せない。だってお前は俺を殺したら消滅するだろう?過去が消えるからな!」
俺は100年後の俺の攻撃など意識せず攻撃に全振りで突撃する。こいつは俺を殺すことはできない!それに俺はもう誰にも負けない力を手に入れた!いけぇ!!
「フッ」
「ぐはあ!!?!」
口から血が出た。今まで食らった中でとんでもない力を持ってやがるこいつは…………しかも確実に俺を殺しにきた!?そんなことできるはずが………。
「俺が消滅する?その展開も気持ちいいな!」
「狂ってる……」
禍々しいオーラと輝しいオーラをふたつ混ぜたようなオーラを放ちながら俺を迎え撃つようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます