アルが風邪ひいちゃった(番外編)

「光、なんか寒い」

「はぁ? このくそ暑いのになに寒いってのよ」


「そんなことぐらいわかってるよ。でもなんか寒気がするんだ」

「……あんた、もしかして、風邪……?」

「……かぜ……?」

「ちょっと失礼。あら、熱があるみたい?」

「……僕、病気なの?」

「どうしよう。お医者さんの所に行く?」

「えー、医者ー?」

「なによ、なんか嫌な思い出でもあるわけ?」

「……こないだ針を刺したじゃない。あれ痛かったよ」

「あれは予防注射よ」

「猫にだって拒否する権利はあるよ」

「それで死んだら元も子もないでしょ」

「死ぬなんてなんでわかるのさ」


「へ理屈言わない」

「へ理屈じゃないよ」


「…………」

「…………」


「うるさい。めんどうだから行くわよ」

「うわ、何するのさ! 人権侵害! 人でなし!! 暴力反対!!」

「人聞きが悪いわね。猫のくせに喋るんじゃないわよ」

「今更そんな根本的なこと言わないでよ! うわー、殺されるー」




「ほら、終われば何でもないでしょ?」

「…………」

「注射すればすぐ具合悪いの治るわ。あとはおとなしくしててね」

「…………」

「まだ怒ってんの?」

「……僕は嫌だって言ったのに」

「でも、楽になったでしょ?」

「…………」

「さぁ、アル、もう機嫌なおして、おとなしく寝よう」

「……光が一緒に寝てくれるならいいよ」

「変な病気うつったら嫌だから嫌」

「…………」

「アルが寝れるまで側にいてあげるから。ほら、おやすみ」

「……光はずるい」

「何を今更」

「……でも、今回は勘弁してあげるよ」

「そう、それはありがとう」

「おやすみ」

「おやすみ。いい夢見なさい」

「光がいるから、見れるよ」


「…………バカ」

「…………」


「寝るの早いって」

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