第9話

「うわっ!来た来た来た来た!!」


私が泣きそうな声で叫ぶと、A先輩は「先に行け!」と言って「俺がやる!おちょくりやがって!ぶっ殺してやる!」と言い、ポケットからナイフを出すと私に背を向けました。


私は死に物狂いで階段を降りましたが、後ろの方から「ぎゃあっ!!」というA先輩の短い悲鳴とポキポキ…ぐちゃ…という聞いたこともないような音が耳に入ってきたのです。

それでも私は足を止めるわけにはいきません。とにかく階段を降りて一階の自分たちが入った所まで行かないと!

でも、その後どうしたらいい?誰もいない外に出て、私1人でどこまで逃げたらいい?

私、スクーターの鍵もってないじゃん!!


不思議なもので一生懸命走っているのにも関わらず、次から次へと考えることが頭に浮かんできます。

ようやく一階に着いた時二階の階段を降りてくる音がしました。

私はとにかく外に出ようと気力を振り絞って走りました。

後からは「おいで~おいで~」と血も凍るような恐ろしい声とけたたましい笑い声が聞こえてきます。

目の前に私達が侵入したドアが見えてきました。

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