第3話

先輩の家を出たのは2時を少し回った頃で、途中でお酒を買ったので病院に着いたのは更にそれから三十分後でしょうか。


病院の周りを囲む金網のフェンスは何箇所か破れているところがあり、その一箇所が病院の裏側にあります。

敷地内に入ると高く生い茂った木がまるで真っ黒い塊のように頭上を覆いつくして月を隠していました。ですから真っ暗です。

そこから蝉の声が四方八方から降ってきていました。


昼でもちょっと薄気味悪い場所なのに、夜中に来るとその不気味さは比べ物になりません。


病院の建物の前に来ると、先輩達が「今日は誰も来てないな」「俺たちだけだ」というようなことを話していました。


さっきも話したようにここは割と有名な心霊スポットなので他のグループと鉢合わせすることもそんなに珍しいことではないのです。

懐中電灯で建物を減らしてみると、窓という窓はほとんどが破られていて、窓の奥は真っ暗です。


これは肝試しに来た人たちがやったものだと聞きました。

病院の壁も長年雨風にさらされて、誰も手入れをしていないせいか黒ずんでいてコンクリートが剝がれているところもあります。

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