第8話
「俺は大声で名前を叫んで抱き起こしたんだ。そしてビニール袋をとった…… 加奈子はなにか怖いものでも見たみたいに目を見開いていて……
一目見て死んでるとわかったよ。わかっていたけどずっと名前を呼びながらだきしめていたっけ」
そこまで話すと伊勢谷さんの目から大粒の涙が流れ落ちた。
そのときの気持ちを想像すると私までいつの間にか目に涙がたまっていた。
でも顔をふせながら声を殺して泣いている伊勢谷さんのことが見ていられなくて自分の涙は手で拭い、彼にハンカチを手渡した。
声を殺しながら涙する姿は重々しく、とても悲しい。
ハンカチに気がついた伊勢谷さんは手に取ってから顔を上げると私と目が合った。
「レナ……」
「ごめんなさい…… 聞いていたら私まで、その、気にしないでください」
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