4話
「――ああ、今日も走ったなぁ。つっかれたぁ」
「途中のインターバル追加は、誰かさんが無駄な抵抗をしたせいだけどな」
「私のせいにすんのは止めてよ。渚だってノリノリだったじゃん」
「だからウチは疲れたとか愚痴言ってなかっただろ?」
「そういうのずるい。顔はグチグチと文句言ってたよ?」
「顔が喋るか。……あっ、楓。お呼びみだいだぞ」
「え?」
部活が終わって本校舎に戻り、シャワーを浴びてから制服に着替えて下校しようとしていると、校門前で一人の男子生徒が楓を見つめて立っていた。
少し離れた所に、他の男子生徒が囃し立てるようにしながら立っている様子を見るに、これは。
「あの、大宮さん。ちょっと、お話したいことがあるのでお時間を下さい!」
「……はい」
ソワソワした男子生徒とは裏腹に、沈鬱とした表情で楓は応えた。
目線で渚に『待っててね』と送ると、渚は頷いた。
視線で簡単な会話ができる辺りは、さすが長い付き合いの幼馴染みという関係だった。
男子生徒に連れてこられたのは、体育館裏の人目が付きにくい場所。
ここに来るのは何度目だろうかと内心で思いながら楓は付いてきた。
動悸している自らの胸を抑えなが、ら男子生徒は左右に体重を移して落ち着きなく楓の前に立ち。
「大宮さんの走る姿や何もかも大好きです! もっと深く知りたいので、付き合って下さい!」
意を決して告白してくれた。
「……好きって、恋愛感情ってなんなのかな?」
それは、楓が意図せずに漏れ出た言葉だった。
「え。……それは、やっぱり一緒にいたいとか。もっとこの人を知りたいとかじゃない、ですかね?」
それを聞いた後、楓はやっぱりそういうものだよなと思いながら深々と頭を下げて――。
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