第4話 異世界の常識、非常識
ハンターの少女イリスが近くの街まで案内してくれると言うので、お言葉に甘えることにした。
と、その前に着替える時間を貰う。
今現在の裕真の衣装はブレザーの学生服……トラックに撥ねられた時と同じ服で、流石にこれでは街で目立ってしまう。もしかしたら邪教徒に目を付けられてしまうかもしれない。
イリスの視界に入らぬよう適当な木の陰に隠れ、バッグから初期装備として渡された衣装を取り出す。
用意された服は白いシャツ、紺のズボンとベスト、それと魔術師っぽいトンガリ帽子と黒いマントだった。
イリスを待たせぬよう大急ぎで着替えるが、日本の服よりゴワゴワした感触に若干の不快感を感じた。生地の質が悪いのだろうか?
なおトンガリ帽子は裕真の好みに合わなかったので、被らずバッグに戻した。
着替えが済むとイリスの後をついて森の中を進む。
すると10分ほどで人の手で整備されたらしい幅5mほどの道にたどり着いた。
「この街道に沿って半日ぐらい歩いたところに『マイラの街』があるわ。ところで街に着いたらどうするつもりなの?」
「え? そりゃもちろん宿に泊まるさ」
「冥王様の連絡が来るまで? 一週間ずっと? そんなの退屈でしょ?」
「……まぁ、そうだけど」
「せっかくだしその間、私と『ハンター』のお仕事してみない?」
「ハンター? 動物を狩る仕事?」
イリスは子首を傾げ、何言ってるんだコイツ、とでも言いたげな顔をした。ちょっと傷付く。
「いいえ、狩るのは『魔物』よ。そりゃついでに動物を狩ることもあるけど……あなたの世界に『ハンター』はいないの?」
「いや、いるけど、狩るのは動物の方……ていうか俺の世界にマモノ?なんていないし」
裕真の言葉に、イリスは大きめな瞳を更に大きく見開いた。
「ええっ!? 本当!? そんな世界があるの!?」
どうやらこの世界では『魔物』がいるのが当たり前……それも存在しない世界が想像できないレベルでの常識らしい。
そして『ハンター』とは、それを狩る職業を指すようだ。
「まぁ、俺の世界の話は置いといて……。俺は邪神討伐の使命があるから、他の仕事をする余裕は――」
「ああ、大丈夫、ハンターは就業時間やノルマが決まっているような堅苦しい仕事じゃないから。好きな時に魔物を狩って、好きな時にギルドへ売るだけの自由なお仕事よ」
「へぇ……邪神討伐の片手間に出来るってわけか」
「そうよ、副業にしてる人もいっぱいいるわ。武器屋とか錬金術師とかお城の騎士とか……邪神がどこに居るか知らないけど、旅を続けるにもお金は必要でしょ?」
「? 金なら冥王様から――」
「一から十まで冥王様に頼るつもり? 急な用件でお金が必要になっても、忙しいから一週間後な!……って言われるかも知れないわよ」
「う……確かに」
冥王は冥界の仕事が忙しいらしく、次に連絡できるのが一週間後だと言われた。この世界で死者が出るかぎり冥王の仕事が減ることは無いだろうし、今後もこんな調子だと思える。
イリスが言うとおり、急な出費が必要な時には頼りにできない。本気で邪神討伐するつもりなら自分の手で稼ぐ必要があるのだろう。
それにちょっと楽しそうだと感じた。魔物を倒してお金を稼ぐなんてRPGそのものじゃないか。……真剣にハンターをしている人には申し訳ないけど。
「分かった、そのハンターってのをやってみるよ」
「良かった! じゃあ街に着いたら『ハンターギルド』で登録を……あ、今からだと街に着く頃には夜になってるから、明日ね」
「え? 今何時?」
何気なく聞いてから、しまったと思った。この世界に時計は有るのだろうか? また変な事を聞いたと思われやしないだろうか?
「朝の9時ね」
懐から時計らしきものを取り出し、事もなげに言うイリス。
あるんだ、懐中時計……。
ファンタジー世界だからと、勝手に中世ぐらいの文明レベルだと決めつけていた自分を恥じた。
……いや、機械ではなく魔法の道具かも知れない。
その事について聞こうと思ったが……もっと気になる点に気付いた。
「朝の9時って…… あの、もしかしてこの世界、1日が24時間なの?」
「??? そうよ?」
先ほどに続き、何を当たり前の事を、という顔をされる。
その後イリスは裕真が異世界から来た人間だという事を思い出し、ざっくりと説明してくれた。
この世界は1日が24時間、1週間が7日、1ヶ月は30日か31日で、二月だけ28日……
つまり地球と全く同じ暦なのだ。
偶然の一致にしては出来過ぎている、もしやここは地球なのでは……などと疑ったが、後に冥王から聞いた話によると、カンヴァスの神々は地球を参考にしてこの世界を創ったのだそうな。
だから暦も環境も生息する生物も地球に似ているし、冥王も地球の文化に詳しかったわけだ。
それってパクリじゃ? 地球の神様に怒られないの? と思ったが、こんな話を堂々とするぐらいなので後ろめたさとか一切無いようだ。
カンヴァスの神々は皆そうなのか、冥王の面の皮が特別厚いのか……
閑話休題
暦の件はおいといて、現時点の問題に目を向けることにした。
現在は午前9時、そこから街に辿り着く頃には夜……午後7時以降だろうか?
つまり約半日は歩く事になる……
「街までそんなに歩くの? 途中にバス…馬車停とかないか?」
「? ないわよ?」
またしてもそんなの当然じゃない、という顔をされてしまった。本日3回目である。
ああ、そうか、やっぱり徒歩移動か……
懐中時計があるのでちょっと期待してしまったが、そこまで都合良く文明の恩恵にあずかれないようだ。
ゲンナリとする裕真。彼はインドア派で、あまり運動が好きではないのだ。
冥王様、移動用の魔道具も用意してくれれば良かったのに。空飛ぶ箒とか絨毯とか……この世界にあるかは知らないけど。
などと心の中で愚痴りながら街道を歩いていると、数100m先に停車した馬車を見つけた。
「あっ……馬車だ! あれに乗せてもらえないかな?」
「……待って! 様子がおかしいわ!!」
馬車の近くには5人の人物がいた。
1人目は中肉中背で眼鏡をかけた七三分けの男性、2人目は十代前半の女の子、3人目はまだ十にも届いて無さそうな小さい女の子。
残りの2人はモヒカン頭と角刈りの男で、ぬらりと黒光りする
「つ……積荷は全てやる! 娘達には手を出すな!」
眼鏡の男性が叫ぶ。どうやら彼と女の子2人は親子らしい。
「ほう…… 良い度胸だ、気に入った」
「お望み通り
モヒカンと角刈りはニタニタといやらしい笑みを浮かべた。
「娘にはなぁ!」
びりびりびりっ!!
「きゃああっ」
モヒカンが男性の服を勢いよく破り取る! 意外と筋肉質で引き締まった身体が露わになった!!
「へへへ、スケベな身体しやがって!」
「へへへ、これで二人の子持ちだなんて、悪い父さんだぜ!!」
モヒカンと角刈りが男性の尻と胸板を揉みしだく!
「ああー! やめろ~!!」
街道に野太い悲鳴が響き渡った。
その様子を遠くから見ていた裕真、只々唖然とするばかり。
「……なに、あれ?」
「なにって盗賊よ! 助けないと!」
「いや、聞きたいのはそこじゃなくて――」
戸惑う裕真を余所に、イリスはどこからともなく剣を取り出し突っ込んでいった。如何にも無法者!という感じの連中にまったく怯えていない。流石である。
「こらーっ! やめなさい!!」
「なんだてめぇ! 女には用はねぇ! すっこんでろ!!」
女に用は無いって、やはりそういう……
裕真はトロールと遭遇した時とは別種の恐怖に震えていた。
なんかもう近づくのもイヤだったが、放っておくわけにもいかない。マジックバッグから《ショックボルトの杖》を取り出し、構えた。
「MP30! ショックボルト!!」
馬車の近く、人には当たらない位置に小規模の爆発を起こす。
小規模と言っても、人間が喰らえばスプラッタになる威力だが。
「ちっ! 腕の立つ魔術士がいるのか!!」
「分が悪い! 退却だ!!」
形勢不利を悟った盗賊達は、あっという間に森の中に消えていった。
狙いが上手くいったようで、裕真は安心する。
盗賊達に直接当てようとすれば、馬車の親子に誤爆する可能性がある。だから魔法の威力を見せつけて向こうから逃げだすように仕向けたのだ。
《シャドウボルト》で気絶させようかとも考えたが、やはり親子も巻き添えにしてしまう。非殺傷の魔法だとは知ってるし、実際にイリスに使いはしたが、相手が小さいお子様だとなんらかの後遺症を……最悪死亡させてしまうかもしれない。
まだ魔法の事は全然分からないので、慎重にならざるを得ないのだ。
「大丈夫ですか?」
イリスが半裸に剥かれた男性に声をかける。
「ありがとうございます。娘達に恥ずかしい姿を見せるところでした」
乱れた七三を手櫛で直しながらお礼をいった。
……恥ずかしいでは済まない事をされてた気がする。
「ありがとうなの! 危うくお父さんが“お母さん”になるとこだったの!」
男性の娘、お姉さんの方が、どぎついジョークを言った。
ちょっと笑えない。逞しいというか、図太いというか――
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その後、お互いに自己紹介をし、お礼として街まで馬車に乗せてもらえる事になった。
眼鏡の男性は行商人で、名を『アツシ』と言うそうだ。
凄く日本人っぽい名前だ……名前だけでなく容姿も黒髪黒目で日本人っぽい顔立ちだった。
もしや日本から来ましたか?と聞きかけたが、慌てて口をつぐんだ。
それは自分も日本から来たとバラすようなものだ。イリスに全て話したとはいえ、これ以上秘密を知る人を増やすべきじゃない。秘密がバレればバレるほど邪神に狙われる可能性が高まるのだ。
娘さんのお姉さんの方は『アム』、13才。
エメラルドのように輝く瞳と、13才とは思えない抜群のプロポーションを持つ美少女。腰まで伸ばした金髪はあまり手入れしてないようで所々撥ねていたが、それすらも愛嬌があって可愛らしい。
山賊がアレじゃなければ、狙われていたのは彼女だったのだろう。
妹の方は『ポロン』、8才ぐらいらしい。
おとなしい……というか、落ち着いた雰囲気を持つ子だった。
先程あんな騒ぎがあった直後なのに動じた様子もない。……まぁそれは姉も同じだが。
だがそれより気になったのは、若草色の髪をしている事だ。肩まである長さの髪を両サイドで縛っているが、それが草の束のように見える。
染めているのか、元からこういう髪色なのか……。
これについても質問したくなったが、我慢する。こういうのがこちらの常識なら薮蛇になる。
イリスも特に気にした様子もないし、やはり聞かないのが正解か。
馬車の中はアツシ一家の住居も兼ねているようで、けっこう快適だった。
ただやはり地球の乗用車と比べると振動が大きく、裕真の尻を少しずつ痛めつけていた。
「ケツが痛い……。街に着いたらクッションでも買うかな……」
「あ……申し訳ありません、運転が下手で」
運転席のアツシさんが手綱を握りながらも、こちらを振り向いて謝罪した。
「あっ! いや! 違うんです! 俺のケツが特別弱いだけで!」
「そうです、この人、ずっと家に籠りっきりで魔法の勉強してたので、身体は弱いわ世間知らずだわで大変なんですよ」
慌てて訂正する裕真。イリスも事前に聞いた話からガバーストーリーをでっちあげフォローする。
「へぇ、そうなんですか……魔術師様だったのですね、なるほど」
「ええ、そうです。……といってもまだ駆け出しですが」
これ以上こちらの事を聞かれても面倒なので、今度は自分から質問することにした。
「アツシさんは商人だそうですが、何を扱っているんです?」
「主に魔道具ですねぇ。魔道具は持ち運びやすいし単価も高めなので、私みたいに個人でやってる者でも扱いやすいんです。……ああそうだ、クッションをお求めですよね? アム、お出ししてあげて」
「はーい、なの」
アムは馬車の隅に置かれた箱から、にゅるりとクッションを取り出した。
でかい。かの有名な「人をダメにするソファー」ぐらいのサイズがある。
白くてフワフワなクッションは箱より体積が大きかったが……おそらくあの箱は裕真が持つマジックバッグと同類なのだろう。行商人という割に積荷が少ないのも納得である。
「先程助けてもらったお礼です。どうぞお受け取り下さい」
「おお……いいですねぇ、このクッション!!」
クッションは綿よりも白くて軽く、まるで空に浮かぶ雲を切り取ったみたいだった。
「でしょう? それは『アンダーヘブン』の『
「へぇ、そうなんですか~」
知らない単語が飛び出たが、スルーして適当に相槌を打つ。この世界の住人なら知ってて当然の事かも知れないからだ。
が、意外にもイリスの方が食いついた。
「アンダーヘブンの雲って……それ凄くお高い品じゃないですか?」
(……いくらぐらい?)
裕真がそっと尋ねる。
(そのサイズなら3,000マナから5,000マナはするわ)
1マナは100円ぐらいだから……30万円から50万円!?
カンヴァスの一般市民の稼ぎがどれくらいかは知らないが、イリスの反応からして、やはり結構な高級品らしい。
「え~と、お気持ちは嬉しいのですが、そんな高価な品は――」
「ああ良いのですよ、気にしなくて。あのままだったら全部奪われてましたもの。ボクの貞操と一緒に」
「でも……」
(ユウマ、遠慮なく受け取っておきなさい。“アウトランド”の住人は貸しを作るのを好まないのよ)
今度はイリスの方がそっと耳打ちした。
アウトランド? またしても知らない単語が出てきた。ニュアンス的にはこの辺り一帯の呼び名らしいが……まぁ、後で聞くとしよう。
それはともかく、貸しを作る……一方的に貰うだけなのは気が引ける、という気持ちは分からなくもない。そういう話なら遠慮なくお礼を受け取ることにした。
「それじゃあ、有り難くいただきます」
「どうぞどうぞ。あ、私、『マイラ』の広場で露店を開く予定なんですよ。よろしければそちらの方も見てやってください」
「露店ですか、ええ、落ち着いたらぜひ」
こうして高級クッションを手に入れた裕真、さっそく雲のようなフカフカに身を沈める。
おお……お尻が痛くない。それに加えて馬車の振動が良い感じに身体を揺さぶって非常に心地よい。
冥界から地上について初めて人心地つき、少しウトウトしてきた。
……だが落ち着いて余裕ができた分、今まで気が回らなかった事に意識が向く。
それは車内の匂いである。わずかだが畑や牧場で嗅いだような匂いがする。
「あの……この馬車の中、ウ…肥料みたいな匂いがしますけど、そういう荷物も積んでるんですか?」
「え? おにいさん、『
アムが怪訝そうな顔で問い返してきた。
しまった、またやってしまった……
「あ~、ごめんなさいこの人、本当に世間知らずのボンボンで。 馬車どころか外に出た事も碌に無いんです」
イリスがまたもフォローしてくれるが、世間知らずのお坊ちゃま設定が積み上がっていくのに胸を痛める。
「あのね、竜香ってのは『ドラゴン』の匂いがする香料なの。魔物の大半はドラゴンを恐れている。だからドラゴンの匂いがするこの馬車に近づかないってわけなの」
「まぁそれでも知能が高い魔物や、人類には通用しませんけどね。先程の山賊のように」
なるほど、ゲームでいうとエンカウント抑制アイテムか。
そういう物があるから魔物が跋扈する世界でも親子3人だけで旅が出来ると。
それにしても――
「ドラゴンってこんな肥料みたいな匂いするの?」
「ぶっちゃけ竜香の香りは、ドラゴンのウンコの匂いだぞ」
今まで静かにしていたポロンが初めて口を開いた。8歳児にしては落ち着いた、良く通る声だった。
「もちろん材料はドラゴンのウンコ。ウンコから作ったウン香というわけだぞ」
……ウンコの話題に嬉々として乗るところは年相応だった。
「それって衛生的に大丈夫なんですか?」
「もちろん大丈夫ですよ。匂いだけ抽出したものですから」
「はあ、なるほど……。もしかして魔物が近づかないのって、単にウンコがばっちいからじゃないですかね?」
「はははっ、そうかもしれませんね~」
朗らかに笑うアツシさん。つられて皆も笑う。
そのあと裕真はこれ以上ボロを出さないよう、イリスに会話を任せ、自分は一眠りする事にした。疲れて眠いのは本当だし。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
マイラの街に到着した頃には、もう日が暮れ始めていた。
石とレンガで造られた西洋風の建造物が並ぶ街並を、柔らかな光を放つ街灯が照らしている。この街灯に使われているのは油のランプではなくヒカリゴケという物らしい。
その光景はなかなか幻想的だったが、今の裕真にはじっくり観察する余裕が無かった。
なぜなら――
「あの…… トイレはあるかな?」
「ああ、それならこの先の広場に公衆トイレがあるわ。青い屋根の建物」
ありがとう、と言いつつ小走りで向かう。異世界に来て初めてのトイレである。
小の方は森の中でも済ませられたが、大の方は流石に抵抗があって出来なかった。
公衆トイレがすぐ見つかったのは幸いである。だが心配でもあった。
この世界の文明が劣っているとまでは言わないが、現代日本ほどインフラが整っているとは思えない。
たぶん汲み取り式とかで、水洗トイレほどの清潔さは期待できないな……などと予想していた。
だがこの世界のトイレは、予想を良い意味で裏切ってくれた。
白いタイルと白い壁にはシミひとつ無く、ミントのような芳香剤の香りが漂っていて清潔感にあふれていた。
いくつかに分かれた個室はちゃんと鍵もかかるし、プライバシーも守られている。
陶器製の便座もピカピカで、ロールされたトイレットペーパーこそ無いものの、やや目が粗い紙と呼び鈴が用意されていた。
……呼び鈴?
なんでトイレにそんなものが?
緊急の時に人を呼ぶ為のものか? 紙が切れたとか、急に体調が悪くなったとか。
そんな考察をしていると、別の個室からリン、リンと呼び鈴を鳴らす音が聞こえた。
それも一度だけでなく、別の個室からも。
緊急事態がそんなに頻発するとは思えないし、呼び鈴には別の役目があるのだろうか?
試しに裕真も呼び鈴を鳴らしてみた。 リン、リン。
すると――
「ひっ!? おああっ!! ぎゃあああああっ!!!」
便器の中のめるりとした“ナニカ”が、お尻を舐めた!!
これも後に分かった話だが、裕真の尻を舐めたのは『スライム』である。
スライムは人間を襲わず、排泄物や汚れのみを消化するという超便利な魔物である。
トイレはもちろん、街の清掃や衣類の洗濯などにも活用されており、この世界の衛生に無くてはならない存在なのだ。
そしてあの呼び鈴は、トイレ内のスライムにお尻を綺麗にするよう合図を出すもの。いわばカンヴァス版ウォシュレットだったのである。
だがそんな事を知らない裕真は、情けない悲鳴をあげながらパンツ半脱ぎの情けない姿でトイレを飛び出すという醜態を晒してしまった。
街の人から「なんだコイツ!?」と言わんばかりの白い目を向けられ、 心が折れそうになる……
異世界に来て1日目、現時点で最も裕真にダメージを与えたのはトロールでも盗賊でも無く、トイレのスライムだった。
【RESULT】 今回の成果、獲得物
行商人『アツシ』とのコネ
アンダーヘブンのふわふわ雲クッション
トイレの使い方
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