第4話銀髪美女との素敵な日常
僕たちが倉知島に移住し、一週間が過ぎだ。
僕は政府の斡旋でとある清掃会社で働くことになった。テナントビルや病院なんかの清掃を主にしている。もちろんショッピングモール「レギオン」も業務の提携先である。なので、アパレルショップの店員をしている妹の優美と会うこともたまにある。
給料はそこそこだけど北東五島への移住者には住宅手当や無料で自動車を貸与してくれたりと住民サービスは充実している。冬になると燃料費も出るとのことだ。しかも北東五島は経済特区で所得税が減税され、また消費税もないので相対的にみて本土より手取りは多いと思われる。
それになりより嬉しいのは仕事からお腹をすかせて帰ってくるとアナスタシアさんの美味しい手料理が待っているということだ。
大阪にいた頃は妹とレトルト食品やインスタント食品で食事を済ませていた。よくてスーパーマーケットでお惣菜を買ってくるぐらいだ。
アナスタシアさんはノルディア料理だけでなく和食も作れるようで、特に出汁巻き玉子は絶品だ。僕の好物になったのは言うまでもない。
当初、アナスタシアさんのような銀髪巨乳美女とルームシェアをすることに少なからず緊張していた僕であったが、次第にそれには慣れていった。
だってアナスタシアさんってそこいらのモデルよりも美人なのにとても話やすいのだ。
特にアナスタシアさんのアニメ知識には感服する。そんなマニアックなアニメも知っているのかと自分がにわかではないかと思わさせられるほどだ。
さらに数日がたち、僕たちの生活は軌道に乗ってきた。まあ、ルーティンワークのようになりつつあるということだ。
コミュニケーション能力の高い優美はすぐに友達をつくり、仕事にプライベートとかなり忙しいようだ。家には寝に帰ってくるだけという日も少なくない。
必然的に僕はアナスタシアさんと過ごす日が増えてきた。
アナスタシアさんも僕たちに慣れてきたようで、だんだんと素の自分見せるようになってきた。それは素というか地というか、お嬢様のような外見からは想像もできないものだった。
まずアナスタシアさんはお酒が好きで、ほぼ毎日飲む。それもアルコール度数が九十パーセントのボルカ酒をガンガン飲むのだ。ビールなんかは水みたいなものらしい。それにかなりアルコールには強いようで、どんなに飲んでもほんの少し顔を赤くする程度だ。でも確実に酔っていはいるようで、僕に抱きつき、運がいいときはキスをしてくれる。
アナスタシアさんの唇はとんでもなく柔らかくて、本当に気持ちいい。
キス魔のアナスタシアさんはよく妹の優美に叱られていた。
あと、アナスタシアさんを語るのに欠かせないのはなんと彼女は露出狂だということだ。これがまあ、信じられない話だけど真実なのだ。
最初のころは部屋着としてTシャツにショートパンツというスタイルであった。それでもアナスタシアさんの抜群のスタイルを見せつけるのには、十分であったけどね。次にキャミソールとほぼパンティみたいなショートパンツという姿になった。
六月が終わり、七月になり倉知島にもようやく夏が訪れようとしたころ、アナスタシアさんは部屋ではランジェリー姿で過ごすようになった。
初めてアナスタシアさんの下着姿を見たとき、あまりにも堂々としていたため、それがもしかしたら普通なのではと思ってしまうほどだった。
慌てた優美がアナスタシアさんにTシャツを被せた。
「どうしてですか、ノルディアでは普通ですね」
Tシャツを脱ごうとするアナスタシアさんを優美は必死におしとどめだ。
しかし、アナスタシアさんの胸の谷間は芸術的なまでに深いな。スポーツブラにあんなに大きなサイズがあるのだと僕は初めて知った。
「優美は厳しいですね。この方が翔太も喜ぶのにね」
アナスタシアさんはTシャツの襟首を引っ張り僕に胸の谷間を見せる。
それはもう絶景かな絶景かな。
そういうことで優美がいる前では一応は大きめのTシャツだけはアナスタシアさんは着るようになった。でも、優美は優美で忙しいようであまり家に帰ってこないので結局アナスタシアさんは部屋ではほぼ下着で生活するようになった。
それは本当に楽しい毎日であった。
やがて厳しい冬がやってきた。外はマイナス何十度にもなる極寒ではあるが、部屋の中は暖房をガンガンに効かせて半袖でもいれるぐらいだ。もちろんアナスタシアさんは下着ですごしている。むふふっ……。
冬になってからアナスタシアさんの奇行に磨きがかかる。夜に浴びるようにお酒を飲んだあとは僕の唇が取れるのではないかと思うほどにキスをし、しかも布団に潜り込んでくるのだ。アルコールで火照ったアナスタシアさんの体は湯たんぽ代わりにちょうどよい。朝になり、アナスタシアさんに羽交い締めのように抱きつかれている僕を見た優美は呆れ顔でため息をついた。
そんな夢のような素敵な生活を送っていたのだが、突如として別れが訪れる。
長い冬が終わり、やっと春になろうとしていた頃だ。黒いスーツを来た男女一組が僕たちのアパートを訪れた。
「アナスタシア皇女殿下、お迎えに参りました」
サングラスをかけた女はそう言ったのだった。
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