第3話銀髪美女とのショッピングモールでお買い物
翌朝、僕が起きるとすでにアナスタシアさんが朝食の用意をしてくれていた。優美がそれを手伝っている。
時計の針は七時を少し回ったところをさしている。
朝食のメニューはハムエッグにサラダ、トーストであった。
朝食を食べないことの多い僕たちにとって、久しぶりのまともな朝食であった。
それにしてもアナスタシアさんは料理が上手だ。このハムエッグの半熟具合は最高だ。
「翔太さん、コーヒーにミルクいれますか?」
アナスタシアさんの問いにかっこうをつけてブラックでと答えようとしたら、優美が代わりに答えてしまった。
「翔太お兄ちゃんはミルク半分、砂糖たっふりのコーヒーが好きなんだよね」
なんだか恥ずかしい。それでは子供の飲み物ではないか。でも、甘いコーヒーは僕の好物なんだよな。本当はブラックなんて苦くて飲めない。
アナスタシアさんはミルクたっふりの甘いコーヒーを入れてくれた。それはとても美味しいものだった。
朝食のあと、僕たちはショッピングモール「レギオン」に出かけた。
レギオンは日本皇国を代表するグループ企業で主にスーパーマーケットやショッピングモールを経営している。
田舎にはレギオンしかない。なんて言われがちだが、レギオンがあれば十分ではないかと思う。
久しぶりの買い物に優美は分かりやすいほどはしゃいでいた。
今日のアナスタシアさんはピンクのワンピースという装いだ。外国のセレブのお嬢様を連想させられる。思わず見とれていると優美に肘でこずかれた。
ショッピングモール「レギオン」は平日にもかかわらず、かなりの賑わいだった。倉知島の市民全員が来てるのではないかと思われるほどだ。
優美は来週から、レギオンの衣服コーナーで働くということだ。
「そう言えば、アナスタシアさんは仕事は何してるの?」
気になったなので、僕は訊いてみた。
「ワタシ、日本語学校の先生ね。あと、倉知高校でノルディア語の非常勤講師もするね」
アナスタシアさんはそう答えた。
たしかにアナスタシアさんは日本語が堪能だ。語尾に「ね」がつくことが多いのがとてもかわいい。
「アナスタシアさんって日本語上手だよね」
優美がアナスタシアさんを褒める。
どことなく、アナスタシアさんは嬉しそうだ。
「ふふんっ、日本のアニメで覚えたね。ワタシ、ジャパニメーションとても大好きね」
アナスタシアさんは大きな胸をはる。
「へぇ、アナスタシアさんってアニメ好きなんだ。翔太お兄ちゃんと気が合うんじゃない」
妹は僕をチラ見する。
何を隠そう僕は正真正銘のオタクだ。休日などはアニメを見てだらだらと過ごすタイプのオタクなのだ。この最果ての倉知島でオタクとしてやっていけるか不安だったけど、レギオンには映画館もあるし、インターネットも通っているのでオタ活はなんとかなるだろう。
「翔太さんもアニメ好きなのね。ワタシとても嬉しいね」
にこにこと笑みを浮かべながら、アナスタシアさんは僕の腕に抱きついた。うわっむちゃくちゃ柔らかい胸のお肉が当たっているぞ。それに良い匂いもする。
妹の優美がジト目で見てるがそんなのは、お構い無しだよね。
出会ってまだ一日しか過ぎていないけど、アナスタシアさんってスキンシップが多いんだよね。何かにつけて触れてくるし、抱きついたりもする。
それがノルディアの文化なのだろうか。だとしたら素晴らしい文化だ。妹のジト目など気にしてはいられない。
レギオンでの買い物は楽しく、順調に終わった。
かなりの物を買ったな。政府から支援金をもらっているとは言え、けっこう使ったな。
特に優美とアナスタシアさんはユニシロとGYouで何着も服を買ったな。まあ、ファッションショーみたいで楽しかった。
さすがに下着屋さんに二人が行ったときは近くのソファーで荷物番をして、待つことにした。
下着屋さんから出てきた優美が僕に耳打ちする。
「アナスタシアさんってJカップあるんだって」
妹よ、有益な情報をありがとう。僕は指を折ってアルファベットを数えた。
買い込んだ物品を軽自動車に入れ、僕たちは自宅マンションに帰った。その日の晩は僕たちがアナスタシアさんのためにお好み焼きを作ってあげた。
「ワタシの好物が増えましたわね」
アナスタシアさんはぱくぱくとお好み焼きを食べて、喜んでくれた。いっぱい食べる女の子って好感持てるよね。
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