第9話 こんなに辛いことってある?
数日後、柚果のエックスにまた、心配な投稿が上がった。それは、夜眠れなくなった、というものだった。
ひなのはやっぱり心配してしまって、こんな風に送った。
「眠れなくなっちゃったか〜!辛いね。一睡もできてないの??」
これは、ひなのなりに本当に心配して送ったものだった。
だって、ひなの自身が不眠になる辛さを知っていたから。
実はひなのは20歳の大学1年の冬に、ひどい鬱になってしまった。
そのきっかけは、一番仲良くしていた友達が急に病気になって、休学することになったこと。
そのことでひとりぼっちになった気分になり、そこから一気に不眠と鬱の症状が出たらしい。
今思えば、それさえも、ひなの自身の心の弱さからくるものだと、ひなのは感じていた。
不眠になったひなのは、自分の部屋で鬱状態で過ごすことになった。
それが2週間くらい続いただろうか。
眠れなくなったひなのの精神状態は、最悪なものだった。
眠れなくなると肉体的なものだけでなく、精神的なものまでもやられる。
それをそのときに身に染みて、感じていた。
だから彼女の辛さが分かる。
そう思ったから、DMした。でもね、これに対しても返事はこなかったのだ。
ひなのは
「なんで返事が来ないのに、こんな風に何度も送ってしまうんだろうか?」と自分でも謎で仕方なかった。そんなに毎回傷つくならば、もうやめた方がいいに決まっているのに。
だが、もうこのころにはきっと、彼女に心を奪われていたのだろう。
ひなのは後からそう思った。
さすがに今回のはカナリ、ショックだったみたい。
だって、心配したものに対して返ってこなかったんだもん。
なんだかいつも以上に悲しかった。
「仕事どう?」とかとは、また種類が違うよね。
心配してくれている人の気持ちをスルーするってのは正直、がっかりだった。
まぁもちろん、これはひなのが好きでやったわけだから、相手がどう思ってどんな行動を取るかなんて、それはその人の自由なんだけどね。
このことが一番の痛手になり
「もう2度と送らない。次の彼女の誕生日にDMを送ったあとは……」ってひなのは誓った、けど……。
結局、この後も送るんだけどね。
まぁみなさん、お察しの通りでございます。笑
でも、もう少し、付き合って頂戴♡
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