第8話 期待させられては落とされる?

次もひなのは、粘り強く送り続けた。

普通なら「それくらいでやめたら?」ってとこだったけど、どうしても日に日に伝えたいことが増えていく。それを伝えずにはいられなかった。


「お疲れ様!わたしさ~、柚果と恋バナしたり、いろいろ話してみたかったんだよね~!

だからよかったら、通話しない?仕事の話も聞きたいし。

返事はいつでも大丈夫だよー!」


そしたらこれも!!

1週間スルーののちのリアクション1つだけだった。


立て続けにスルーされ、ひなのはショックを隠せず、またいろんなことを考えてしまった。

「あ~たぶんね、私が気にしぃだからリアクションが遅いとか、そんなんでショックを受けてるんだろうな。ほかの人は平気なんだろうな」とかね。


でも「自分は自分だからショックなのも仕方ないよな」と思ったりもしてね。

辛くなったひなのは、しばらく彼女に関わるのはよそうと思ったらしく、彼女のエックスの投稿を見るのを辞め、もちろんDMを送るのも辞めた。


そんなこんなで3週間が経ったころ。


ひなのがエックスに投稿したもの(○が美味しい)に対して、柚果がいいね、をよこした。

ひなのは「ん??突然どうした?」って、思ったの。


それで急いで、彼女のエックスの投稿を見に行った。そしたら、だいぶ荒れていて不安定な心を表す投稿をしていた。

ものすごくしんどそうだった。

とにかく、苦しそうだった。だから

「こんなの読んだら、いてもたってもいられないじゃあないか~!!!」

ってことで、ひなのはまたすぐにDMを送った。


「久しぶり!最近の投稿見た。なんか、しんどそうだね。愚痴聞くよ!いくらでも」

すると彼女から、珍しくすぐ返事が返ってきた。

どうやら、生理中だったから、イライラが溜まっていたらしい。


ひなのはすぐに返事を返した。

「な〜んだ、それならいいけどさ〜。仕事はどう?慣れた?」ってね。

そしたら~~~!!!なんとおお~~~!!

また、スルーだった。泣


これさ~、ひなの撃沈じゃんね。泣

やっと返事が来たと思って、嬉しくてまた疑問形で送ったのに、返ってこないなんてさ。

なんていうか……。

「期待させられては、落とされるっていうのか?こういうのは!!!」

と思った。

このやり場のない気持ちをどうしていいのか、ひなのには到底分かるはずもなかった。

とにかく、悲しい、の一言だった。

「これで、もう懲りた。もう終わり。これ以上DMは送らない」

そう思っていたのに……。


や~っぱりひなのは、気になって次も送ってしまったよね〜。

「意志が弱いね~ひなのちゃんは!」なんて、心の中で、思ったんじゃない?

でも、ひなのはこうも思った。

「意思が弱くたって、そんなの関係ない。私は送りたいから送る。自分の気持ちに正直になろう」ってね。


で、ひなのが送った何度目かしらん、DM。ね。

「本当に、大丈夫かい~~~!!心配ばっかでごめんね。でも、してしまうわ。

無理すんなよ~、何があったかは知らないけど、話したくなったら、声かけてな~!

ゆっくり休んで!返事はいらないよ~!!

私では力になれないかもしれないけど、心配してるやつがここにいるってことだけ、覚えといて~~。

絶対、一人じゃないからね!おやすみ~」


そしたら、それに対してもお決まりの

「時間経ってからのリアクション」1つだった。

ひなのは思った。

「私が求め過ぎているんだろうか?

私の考え方に問題があるんだろうか?」ってね。

「そもそもさ、スルーされてもいちいち気にしなければいいのさ。

もっと強い人間なら、こんな風にも思わないしさ。

きっと私の考え方が、捉え方がダメなんだろう」とも思った。

その考えがひなのの心をさらに、マイナス地獄に連れて行った。


ひなのはいい加減やめよう、もう送らない、そう決めた。

「もうこれ以上、ショックを受けたり、傷ついたりしたくない。自分を犠牲にしてまで、そんなことをする必要はない」って。

そう思っていたのだけれど……。


やっぱりそんなの、消え失せたよね~。

「ひなのってほんとに意思が弱いねぇ」って自分で改めて思ったみたいだよ。

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