5.ウェスの告白【3】
ウェスが落ち着くのを待って、レッドは自身が疑問に感じていたことを問う。
「一つ訊ねたいんだが。フィルギアは
問いに、ウェスは首を左右に振る。
「フィルギアを
「フィルギアの考えが分かる?」
「そうだ。
「だが、それでフィルギアの考えが分かるなら、裏をかいて逃げることは出来たんじゃないのか?」
「逃げて、どうなると言うんだ?」
ウェスの問い返しに、レッドは言葉を失った。
虐待を受けている
「だが、結局ウェスを助けに同胞が攻めてきたじゃないか。それでどうしてキミは、あの山中の洞窟に一人でいたんだ? 迎えに来た仲間はどうした?」
「王城を破壊されて、俺は同胞たちに保護された。でも、
「それはなかなか、アフターケアが雑だな……」
思わず、苦笑いしか出ない。
「どうしていいかわからなくなって、もうどこかに行って何をするのも面倒になって、見つけた洞窟で暮らしていた」
簡単に「面倒」と言うが、その孤独がどれほど深いものか、レッドには容易に理解できた。
「ウェスの事情は分かった。で、ウェスはこれからどうしたい?」
「どう、とは?」
「ウェスがどうしたいかだ。私と行動をともにするのが、
「友人って、なにをするんだ?」
問いかけに、レッドは肩を竦めてみせる。
「一緒に旅をして、飯を食って、話をして? なんでもいい。互いに好きに過ごせばいいさ」
「オマエは
「ないね。正直、グランヴィーナにもらった寿命すら、持て余している。だが、せっかく生かしてもらった命を無駄に捨てるのは性に合わん。生きられる限り、出来るだけ前向きに生きる。それが私の方針だ」
「変わった
「良く言われる」
「そうなのか?」
「
レッドが笑うと、ウェスも釣られたように笑った。
「俺も、出来ればレッドと一緒にいたい。いいか?」
「そうしたいと言っただろう?」
レッドが右手を差し出すと、ウェスは不思議そうな顔でその手を見つめる。
「これは握手だ。互いに手を握り合い、意見の合意や親愛、友情を態度で示すんだ」
「……こうか?」
おずおずと、ウェスが右手を差し出す。
レッドはその手を取り、小さな手をぎゅっと握った。
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