5.ウェスの告白【2】
「ファビアンが……」
「それはキミの
ウェスは頷いた。
「ファビアンは、
ウェスの語り口は、どこか苦々しげにも聞こえる。
「ファビアンは積極的に
ウェスが微笑むような表情をしたが、それはすぐに消えた。
「導く……って言葉に、私は少々引っかかるんだが?」
「ああ、その通り。ファビアンには少し傲慢なところがあって。俺への指導も時々
「フィルギアとは、どこで?」
「今になって思えば、フィルギアはわざとあそこにいたんだと思う。
「つまり、自傷していた可能性が?」
ウェスは肩をすくめた。
「そこはわからない。ただ、フィルギアに出会う前、俺たちが立ち寄った村に
「キミたちが滞在している間に、フィルギアはファビアンの性格を分析して、計画を立てていた……と?」
「フィルギアの態度に、ファビアンはすぐに庇護欲をくすぐられたんだと思う。傷はファビアンの
「
「それはない。ただ、フィルギアの話に良い気になったファビアンは、フィルギアに
「術中にはめられたのだな……」
「ファビアンは、自分が完全に
「それで、ファビアンはどうなった?」
レッドの問いに、ウェスの顔は曇る。
フィルギアの
「すまん。聞くまでもなかったな……」
「ファビアンは、最後に自業自得だから気にするなって……」
ウェスは、初めて激しい感情を見せた。
レッドはそっとウェスの隣に座り、その背中を優しく撫でる。
「ウェス。正直に言えば、キミのその選択によって、
小さな肩がビクッと揺れた。
「だが、私はそれを恨んではいない。フィルギアがソルタニト王国をつくらなければ、私はグランヴィーナにもラトゥフにも出会えなかった。心から信頼できる友が得られたのは、私の人生において最も喜ばしいことだったからな」
その言葉を信じられない様子で、ウェスはレッドの顔を見る。
「確かに私は
レッドはハンカチを取り出し、ウェスの涙を拭ってやった。
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