5.ウェスの告白【1】
「私は、簡単に言えば
レッドはそう、はっきりと言った。
「
ウェスが目を細めて問う。
「確かに
レッドが目に手をあてがってからウェスを見ると、その瞳は
「えっ? えっ?」
レッドはすっと、指先を差し出す。
そこには、ウェスが見た事もない、小さなレンズ状の物が乗っている。
「これ、なんだ?」
「自作のカラーコンタクトレンズだ。なまじ
「こんたく……? 物理的に、瞳の色を変えてるのか?」
レッドはコンタクトレンズを、
「さて、ウェスは私がフィルギアとどう関係があるのか、と聞いたな。私はフィルギアが築いたソルタニト王国の貴族だった。だが、王から賜った秘技の習得に失敗してな。危うく
「その程度で、
ウェスの鋭い指摘に、レッドは苦笑する。
「逃げる時、王から贈られたハルピュイアのグランヴィーナと一緒だった。彼女は王の
「じゃあ、オマエはそっちのハルピュイアなのか?」
「いや。フィルギアは
「つまりそこでハルピュイアとオマエは同化したのか。ならば確かに、ヒトの形のままに
「グランヴィーナは、私の先生だった。世界の
ウェスは考え込み、顔を上げた。
「俺は、フィルギアの
その告白に、レッドは瞳をわずかに見開いた。
驚きと共に、どこか腑に落ちる感覚があった。
「なるほど……そういうことか……」
グランヴィーナが「彼らは同胞を奪い返しに来た」と言ったのを、レッドは思い出す。
その「同胞」がウェスだったのだろう。
「ウェス……キミの背負っているものは、私の想像以上に重いようだな」
かすかに自嘲を混ぜて呟く。
「なぜフィルギアを
あえて核心を問うレッド。
もしウェスがフィルギアを選ばなければ、あの戦いも、ソルタニト王国の建国もなかった。
多くの命と運命が変わったはずだ……そう思いながら。
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