3.奇妙なコンビ【1】
森の中の道なき道を、二人は黙って進んでいた。
先に行くレッドは、迷いのない足取りで歩みを進め、馴れた手つきで枝を払っている。
その動きは、森という環境に慣れ親しんでいることが伺いしれた。
とはいえ、ウェスは子供の姿をしていても、その精神までが子供かどうかはわからない。
なにせ相手は、永劫の
そもそも
「なかなか上手いじゃないか」
振り返って、レッドはウェスに声を掛けた。
ウェスの姿は、ひと目見ただけではどこにでもいる
「
問いかけに、ウェスは小さく頷いた。
しかしそれが
心の壁を感じながらも、レッドはそれ以上問い詰めることはしなかった。
「
ウェスは返事をしないが、レッドの後ろにしっかりと付いてきている。
振り返ると目が合う程度にはこちらに関心がある様子で、たぶん話も聞いているのだろう。
「町に行ったら、まず
ウェスから答えがないことを、場合によってはストレスに感じるかもしれない。
しかし、今のレッドにはそれがなかった。
というよりも、上辺だけの付き合いに疲れていた自分が、思っていた以上に孤独だったことに気付かされたのだ。
ウェスとの旅は、久しぶりにその孤独を癒やしてくれるような錯覚があった。
それはきっと、ウェスが置かれている特殊な状況が、自分に共感を抱かせるに充分だったからだろう。
「ウェスの
レッドは苦笑しながら、自嘲するように呟く。
傷の舐め合いというよりも、これは一方的にレッドが抱いている共感に過ぎない。
それでも今は、気を抜いて自然体でいられる気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます