第31話

「ありがとうございます。ーーそれでは参りましょうか」



もう一度にっこりと作り笑みを貼り付けると、私は右近様の屋敷へ向かうべく店の外へと足を向けた



本来ならば輿に乗り家に向かうのが一般的だが、この店では身請けされた花魁は相手方の家まで練り歩きをするのが、決まりとなっているのだ



「行こうか」



店の外には多くの人だかりがいた


その視線を一身に受け、私は右近様の手を取り、足を進める




一歩一歩踏みしめるようにゆっくりと艶やかに



至る所から感嘆のため息が漏れ聞こえる



そして、あの橋が兎胡の川の橋が見えて来た



ドクドクと鳴る心臓



橋のふもとにかかったとき

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