第19話
「お揃いだなぁ」
まだ大人になりきっていない、その顔に浮かぶ笑みに胸が締め付けられる
もしかしたら先ほどの笛は故郷を思い描いていたのだろうか
いま思えば一目惚れだったのかもしれない
桜吹雪の中の美しく儚いその姿に
「さて、そろそろ帰るか。お前はどうする?一泊ぐらいなら泊めてやるぞ?」
あぁ、もう夢は終わる
どうあがいても私の帰る場所はあそこしかない
「ううん、自分の所へ帰るよ。だから」
だからもう一度
「もう一回お兄さんの笛を聞かせてくれない?」
それだけで
あの優しく暖かい笛の音を思い出すだけで、不思議と胸の奥に優しい灯がともる
フッと小さく笑うとお兄さんは静かに息を吹き込んだ
あぁ、夢が...終わる
今はただ全て忘れて舞い散る桜にのり紡がれる暖かくも哀しく愛おしい笛の音を全てを委ねよう...
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