第18話

困ったように、でも、どこか嬉しそうに笑うその男の笑顔に、何かがこみ上げてくる




「もう、笛は吹かないんですか...?」



焦げ茶色の袋に笛を仕舞う姿に一人ぼっちになったような焦燥感が襲う




「あぁ。もう夜も遅い。野犬が出ては困るからな」



「そう...ですか...」



「俺は町に宿を取っているがお前は何処から来たんだ?」




もし、いま店に戻ったら、キツイ正真正銘、拷問と言う名のお仕置きが待っている



想像するだけで身体の芯から震えが止まらない



でも






ほかに私の帰れる場所はない





「...もしかして家出か?」




家出...



少し違うが、まぁそう言うことにしとこう、と小さく頷いた




「そうか。実は俺も家出したようなモノなんだ」




夜桜を見上げながら、切なそうに笑うその顔は、どこか後悔しているよう

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