Second Impact 17 エピローグ

「本当は、違うのですけどねえ、…」

橿原院長が、記録されていた会話――滝岡が神尾に、橿原のもう一つの仕事と、鷹城秀一の所属について説明する様子を手許に置かれたタブレットで眺めながらひとりつぶやく。

「…NSA、ですか」

確かに、そういえばあの子には、まだ本当の役割については話してはいませんでしたねえ、と内心呟いて。

――そうはいいましても、あの子はばか正直ですからねえ、…。

役割と真実と、鷹城がもつ意味を教えるには。

あの子には、難しいかもしれませんねえ、…。

橿原が真実負っている役割は、滝岡に説明するには難しすぎるものが含まれる。

 ――神尾くんについては、…。

院長の橿原が確かに拾ってきたといっていい神尾なのだが。

「わかっておりますかねえ、…」

昏い部屋にタブレットの光が皎々と。その薄い淡いに照らされて、橿原の顔が暗闇に白く浮かぶ。

「ふふ、これ、幽霊みたいですよね」

暗闇に浮かぶ白い顔――己の顔だが――を部屋に入ってきた誰かがみたら、ちょっと幽霊みたいでしょうね、と楽しげに微笑んで。

 それから、橿原がタブレットの灯りを消して。

本当の暗闇に包まれた部屋に、誰の気配も最早見えず。

暗闇は、しずかに主の無い部屋を浸していく。―――――








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