ビデオテープは勝手に動きま…すん
その頃はU氏とT氏と3人でF1にハマっててさ
日曜の夜から月曜にかけてTV放送があったんだ。
俺は、ウイリアムズのナイジェル・マンセルが好きでさ
あの黄色と青の機体にレッド5が…
ってのはどうでもいい話で
そのF1放送は深夜帯なわけで、
夜遅くにU氏の部屋に行ってみるワケ
その時は俺とU氏の2人しかいなかったと思う。
見てる途中でU氏が話し始めるんだけど
「風も吹いてないのに、干してるタオルが揺れる」
って、まあ揺れるぐらいなんでもなくね?
ドア全開するわけでもあるまいし、と返す俺。
「いや、揺れるっていうか、パタパタすんだよ」
「んー、よくわからん」
的な話をしてたら、U氏が指差すわけ、干してあるタオルを
すると、そりゃ見事にパタパタしてるんだこれが。
誰かが端っこを摘んで、はためかせている、とでも言った方が適切なくらいに
「おー、すげぇなパタパタいってる」
俺も耐性がついてしまったのか、それぐらいでは全然動じない。
またしばらくF1見てると、今度はTVの上を指差す。
ん? 今度はなに? と、その先を追う。
TVの上にビデオテープが3本、平積みにしてある。
その一番上のビデオテープが
ズズ… ズズ… ズズズズ… ドタッ
勝手にズレて、勝手に床に落ちた。
あろうことか、2本目も
ズズ… ズズ… ズズズズ… ドタッ
「「マジかー…」」
ちょっとハモったぐらいにして
「ま、まぁ何かの拍子で落ちる事もあるわな! うん」
と言って終わらしたかったのに
なんでだよ、の3本目まで
ズズ… ズズ… ズズズズ… ドタッ
これでTVの上のビデオテープは全部落ちた。
「何かの拍子で落ちたりしねーよっ! 邪魔なのか? ん゛ん゛!?」
って、落ちたビデオテープは床に平済みしておきました。
「まあよくこんな部屋住んでられるな」
って言ったら
「お前の部屋よりはマシ」
って言われました。
そのままF1見終わって、例のドア子さんのいる部屋に戻るんだけど、
その前にトイレに行きたくなってトイレに寄った。
そのトイレもクッソ古いうえに
照明がトイレの廊下にしかないからすんごい暗いの!
なので大じゃない時は、なるべく戸は開けっ放しで用を足す事にしてたんだけど
ドア開けるじゃん?
前に進むと照明が背中側になるわけよ
背中越しの光がトイレ内に落ちるんだけど
光がね、だんだん細くなっていった。
開いたドアが閉まるなら、光は横から細くなる。
うん、まあそうだよね。
でもね、俺の肩のラインを越えて、下から上に向かって光が細くなっていった。
えーっと、下から何かがせりあがって来て、背中側にある照明の光を遮った
って言ったほうがいいのかな。
俺はまだオシッコ途中で、終わらないし
闇はせりあがってくるし。
「ちょ、ちょっと待って! もちょっとだけ、ちょっと待てって!」
深夜トイレで独り言いいながら慌てたよね。
ギリギリ真っ暗闇になる前、光がホントあとちょっとしかなくなるギリギリで
トイレからダッシュで脱出した。
後ろ? 見るわけないじゃん! 深夜だぞ!? 何かいるに決まってる。
んで、ドア子さんの部屋に戻って来て、寝る俺もどうかしてるが。
それと専門学校も2年目に入り、部屋を移ったのでしたー!
ドア子さんの部屋に入る新入生はお気の毒ですなぁ~と思った俺。
一応伝えはしたけどね?
「魔よけのお札、買ってきて貼ったほうがいいよ?」
って。
2週間もせずに退寮しやがったぞ、その新入生。
ネタを振ると応えてくれる、そんなドア子さんへの敬意が足りーん!!
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