ドアは勝手に開きま…すん
俺が寮に入ってから、同室だった先輩は1か月で退寮した。
やったぁ! これで一人部屋じゃあ!!
って思ったけど、4畳半の狭さは変わらない。
そして最近、めっちゃ気になる出来事が起きている。
ここの部屋のドアはノブ式で回して開けるごく一般的なドアノブだ。
ドアは木製で特段なんの変哲もない。
そして俺の部屋に、ここ最近夜に訪ねて来る人がいる。
いや、人って言っていいのか分からない。
だって姿が見えないんですもの(笑)
そんなに遅くない時間、まあ夜7時あたりから夜11、12時くらいまで?
そこらへんの時間帯に来るんだ。
来るって何が? 何がって
コン… コン…
これこれ、このノックだよ!
このノックが鳴るでしょ?
んで俺がドアを開けるワケだ。
「はーい、…ってまた誰もいねーのかよっ!!」
まあ、狭い寮だから?
このくらいの声量で独りツッコミしてれば
大方同じ棟の同じ階の奴らには聞こえちゃうわけで
「なになに、どうしたん? 何かあった?」
って皆ヒマジンだからゾロゾロと部屋から出て来るわけ。
んで、カクカクシカジカって説明すると
「マジ!? うおーっ俺も見たい見たい!」
ってなるのは必至なわけで。
「んじゃ、今度の金曜日、俺の部屋で麻雀大会でもしながら
心霊現象体験といこうや!」
って事になった。
その間、3~4日くらい空いたのかな?
その間に現象が進化したんだなこれが。
――――――――――――
LV1 ドアをノックしてくる
備考: 開けても無視しても1回で終わる
LV2 ドアをノックしてくる
備考: 無視しても開けてもまたノックする
LV3 ドアをノックしてくる
+ドアノブを捻ってくる
備考: 無視しても開けてもまた同じ事してくる
LV4 ドアをノックしてくる
+ドアノブを捻ってくる
+ドアちょっと開けてくる
備考: 無視しても開けてもまた同じ事してくる
――――――――――――
んで、とうとう金曜日がやって来るわけだ。
「で、今なんかもうドアノブカチャカチャ捻って、開けてくんだぜ!?」
「流石にそこまでのホラ話信じねーって!」
「よぉーし、んじゃもし本当に現象起きたら千円な!」
「ポカリ1本奢ってやるよ!」
なんだかんだで4畳半に12人、詰め込んでの麻雀大会。
めっちゃくちゃ狭い。
更に詰め込んでいる寮の奴らの1/3はヤンキー(笑)
リーゼントパーマ、リーゼント、リーゼント、ロン毛、金髪
ちなみに金髪は俺だ。
今日はドア子さんの登場がちょっと遅い。
あ、名前がないので勝手につけました。
「8時回ったけど、来なくね? ホントに来んのかよ」
「あー、今日は人多いから来ないんかも?」
「えぇー、俺見たかったんだけどードアノック!」
まあ、まさに呼ばれて飛び出てーみたいなタイミングで
ドア子さんが登場するわけです。
コン… コン…
「ほら! ほらっ! 来たよ! コレよ!」
「はぁ? マジで? ちょっとJ@お前出ろよ」
「俺かよっ!? よっし、ちゃんと見てろよ?」
コン… コン…
「はーい! って、ほら誰もいねーし!」
「マジで? 誰かイタズラしてんじゃね?」
「ああ、麻雀の音うるせーぞ! ってか?」
ドアを閉める。
間髪入れずに鳴るドアノック
コン… コン…
「いいかもっかい、見てろ! はーい! 」
案の定誰もいない。
「はらやっぱ誰もいねーしー!」
「マジで? んじゃ今度俺やるわ!」
リーゼントパーマのチンピラにしか見えないN氏が
ピンポンダッシュならぬノックtoドアオープンにチャレンジ
コン… コン…
「誰よっ!!」
ノックされると即ドアを開け廊下に出るN氏
「あははは、ヤッベ、誰もいねぇwww」
「だろぉ!? だからマジなんだって」
そっからはみんななるべく気にしないようにしながら麻雀するワケだが
そこはほら、ドア子さんの意地もあるらしくてさ
LV3にパワーアップしてくるわけよ。
コン… コン… カチャ… カチャ…
ここまでくると流石にみんなちょっとビビり始めた。
「は?? マジ? ドアノブ回ってんけどwww」
だがこれも何回もやられると、それはそれで慣れるもんで
みなそのうち気にしなくなってくる。
そしたらほら、そこはまたドア子さんの意地もあるワケで
LV4にパワーアップしてくるわけよ。
コン… コン… カチャ… カチャ… キィー…
まあ、ここまでは事前にみんなに言ってたから
とりあえず想定はしていたんだ。
ちょこっとドアを開かれては締め
コン… コン… カチャ… カチャ… キィー…
ちょこっとドアを開かれては締め
コン… コン… カチャ… カチャ… キィー…
を何回も繰り返した。
「まあ、アレだな、現象っつてもこんなもんか」
「慣れればどうってことねーな」
まあ、うん、そうなんだけどな、なまじ見えないからさ
それはそれで嫌な訳よ、俺としては。
そこでふと思いついて、俺が余計な事を口走ったんだよね。
「ああ… これさ、この位だからまだいいんだけど、もし、もしな?」
何故かみんな手を止めて俺の方を見て話を聞く態勢になった。
「全開で開いたら怖くね?」
ッバァーーッン!!! ガンッ!!
って言った途端にドア全開したんだよね!!
しかも普通ドア全開とかすると空気抵抗あるはずじゃん?
一切なかったんよね、一切なくて全開!
全開して反対の壁にドアぶつかってたもの
そっからのみんなが逃げるその足の速さよ! 速い事! 速い事!
あっと言う間に俺一人残されたんだけど?
マジふざけんなだよ!?
ってかドア子さんも空気読んでめちゃ怖リアクションしなくてもよくない!?
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