第4話
翌朝。
ガラスのような素材の窓には水滴。
「のの……」
(雨だったの……)
雨降りの朝。
抜けてきた森の奥もずっと灰色のもこもこ雲が覆っており、雨は夕方まで続きそうだ。
狸擬きの朝食のために先に赤飯を炊き上げながら、
「どうやってあの石の灯りに火を灯す?」
訊ねると、狸擬きはまたフーッと息を吹き掛ける。
すると石が光り、
「???」
狸擬きを見ても、にまーりと目を細めるだけ。
空気の流れで点くのだろうか。
発光は夜よりも弱いけれどそれは雨とはいえ、朝の窓からの明るさがあるから。
(石に意志がある?)
「石だけに」
独り言に、狸擬きが醒めた視線を向けてくる。
「言ってみたかっただけの」
年を取ると至極下らない言葉遊びが好きになるのは、人も妖怪も同じなのだ。
狸擬きに握り飯を渡すと、ドアの向こうからチリンチリン……と控え目な鈴の音と廊下を歩く若い足音。
昨日の給仕の少女だろう。
どうやら朝食の時間らしい。
「お主はどうする?」
ぺたりと座り込んで握り飯を持つ狸擬きは動かない。
「では、行ってくるの」
我も赤飯おにぎりだけでもよかったけれど、この世界に馴染むためにも。
純粋に人の作った食事が美味しいもの理由の1つだけれど。
食堂へ向かい、手前のテーブルの椅子によじ登ると、またドアが開き、
(の?)
昨日の青年と狼が入ってきた。
その空気と少し水滴を纏った身体からして、すでに外に出ていたらしい。
雨の中、散歩だろうか。
『あぁ、おはようございます』
狼がたっとやってきた。
「おはようの」
『昨日のあれはなんでございますか?』
「うまかったかの?」
『不思議な感触でした』
やはりここら辺には米はないらしい。
『とても力が湧いてきました』
「それはなにより」
青年が同じ席に座る。
あの後に来たらしく、客は更に数人いた。
家族連れなどではなく、男1人や、長旅の雰囲気を見せる男女。
狼は我の足許に陣取ったまま、
『雨ですな』
窓に視線を向ける。
「散歩の?」
『見回りついでに』
見回り。
何かあるのか訊ねたかったけれど、食事が、サンドイッチらしきものがたんまりと皿に乗って運ばれてきた。
狼には肉。
『今朝はあのお方は?』
狸擬きのことか。
「握り飯がいいと部屋で食べているの」
大きなサンドイッチを両手で掴むと、青年と狼がハラハラしながらこちらを見ている。
手は小さくとも器用さと力は人並みにあるのだ。
あむっとかぶり付くと、少し香ばしさのあるパンと瑞々しい野菜や多分きゅうりか何かに柔かく薄い肉にソース。
(ぬぬ、美味、美味)
あむあむ食いつくと、やっと青年がサンドイッチに手を伸ばすが、あっという間に皿から消えていく。
「足りるのかの?」
『我が主はよく買い食いはよくしていますな』
だろうの。
『昨晩のものは腹持ちがよく助かりました』
「それはなにより」
『その』
「?」
『どのような理由であれを頂けたのかと』
理由?
いや、
「ただの礼の」
色々教えてくれた。
『そうですか』
大きな尻尾がまた振られる。
『本日は?』
「川へ洗濯へ行こうかと思っていたのだけれど雨での。宿に洗濯を頼もうと思ったが、我はまず着替えがないことに気付いた」
今までは洗濯の最中は素っ裸で過ごしていたが、今はそういうわけにも行かず。
せめて、肌着だけでも欲しい。
『それでは、服屋へご案内しましょう』
邪気のない、まっすぐな深い深い藍色の瞳。
「……お主はなぜ、我にそんなに親切にしてくれる?」
『人の姿をした方と話せるのは初めてなのです』
おや単純明快。
『好奇心と、あとはあの何やらが不思議な感じのものが』
赤飯を決して、美味しい、とは言わない。
「ふむん。……対価にまた寄越せと?」
「いえ、また気まぐれで頂けたら幸いにございます」
狼と話す姿を青年だけでなく別のテーブルの客が不思議そうにじっと見てくる。
(落ち着かぬの)
しかし、もし、人語を聞き取れ話せるようになったら、この狼と、獣たちと話せなくなるのだろうか。
(ぬん……)
それは、少し寂しい。
美味しい朝食を終えて部屋を覗くと、狸擬きはまた仰向けで引っくり返っている。
「外へ行くの、お主はどうする?」
と声を掛けても、窓の雨粒を見て動かない。
が、雨よりも腹一杯で動きたくないと言った体に感じる。
(こやつの言う護衛とは一体なんなのだろう)
まぁ。
「気が向いたら土産でも買ってくるの」
ザルと炊飯器は頼むと言い置いて下に降りると、広間で青年と狼が待っており雨避けの雨合羽を被り、狼にも被せている。
青年がやってきた我を見て、女将に何か声を掛けている。
女将が、奥に消えたと思ったら、丈の短い雨合羽を手渡してくれ、
「のの、すまぬの」
宿で貸して貰えるものらしい。
女将が手を振ってくれ、手を振り返して外に出る。
外を歩く人間はカッパに近いものを着ていたり、傘を差しているものもいる。
しかし。
小さな街に服屋は3軒。
多いのか少ないのか。
1軒目はほぼドレス。
西洋風だけではなく、こう、セクシーな踊り子の様なものまである。
性にはわりかし寛容なのだろうか。
2軒目は、
「パンツ屋の」
『下着屋でございます』
細かいの。
あの、自分には必要のないブラジャーのあの留め具はどうなっているのかと思ったが、細かな金属も流通しており、
(ふぬん)
物珍しさも相まって、この先も必要としないのに長々と眺めてしまった。
そして下着を数枚、ふんどしでないシンプルな肌着を選ぶ。
と言うか褌は売られていなかった。
(ゴムもある……?)
『木の樹木から取れると聞いたことがあります』
どの世界でも、作られるもの、考えることは似かよっている模様。
店員に勧められて筒状に縫われた布に肩紐の付いた、肌着の「キャミソール」的なものも買う。
「の、これも可愛いの」
青年は入店早々顔を赤くして店の外へ出てしまっていた。
コインを見せて使えるかと思ったが、まだ同じ通貨で助かる。
コインで支払ったけれど、ここは石での支払いも可能と絵で描かれている。
『ここの主人が、石が好きなのでしょう』
「石は貴重の?」
『人間の多様な趣味の1つかと』
ふむん。
店の人間に、足袋を見せて作れるかと身振り手振りで訊ねると、店の少し年配のマダム的な女が、生地に触れ、似た履き物を縫い直して似たものを作るから少し待っててと足袋を受け取り隣の店を指差す。
通訳は狼が請け負ってくれた。
隣は少しハイカラな茶屋。
雨の中、下着屋の壁により掛かり気まずそうにしてい青年に礼を伝えると、相変わらず言葉は通じないが微笑んで頷き、隣の茶屋に行きたいとまた身振り手振りで促す。
隣の茶屋は、外にも屋根が大きく張り出しており、雨でも外のテーブルに客がおり、のんびりと本らしきもの広げていたり、おしゃべりしていたり。
(本……)
向こうにいた頃は拾ったものを節操なしに読んでいたけれど。
新聞も、いかがわしい雑誌なども。
『気になりますか?』
「少しの。字が読めるようになった暁には読みたいの」
茶屋は甘いものも充実している。
多分、昨日の苺らしきものの描かれた甘味が描かれている。
これがいいと指差すと、青年は飲み物のメニューを見せてくれる。
カップの隣に珈琲豆らしいイラストと、葉のイラスト。
(珈琲に紅茶……?)
いや、薬草茶、はーぶてぃなるものだろうか。
好奇心で葉を噛んでみたことはあるが、あの薬の様な匂いと味は少し苦手なのだ。
珈琲豆にミルクのイラストのあるものに決める。
給仕はやはり若い少女で、青年に気づくとパッと輝かせ掛けてきた。
が、テーブルに近づきやっとこちらの存在に気付くと、少し不思議そうに、けれどやはり幼い子供を前にした柔らかい笑みを浮かべて何か言葉を発してくる。
青年が、言葉が通じないとでも言ったのか、いや、1人であることを伝えたのか、少女は少し驚いた顔をしたあと、何か言い掛けたけれど、仕事を思い出したらしい。
指差したメニューに頷くと、狼の頭を撫でてから中へ入っていく。
(ののっ、いいの、いいの)
我も触りたい。
が、思い出す。
(そうだったの)
色々と案内してくれた代わりに、ここは会計を持ちたいのだ。
鞄から、メニューを見て予め計算して多分間違っていない金額のコインを取り出し、青年の前に置く。
驚いたような顔をされ、買った物が入っている袋を持ち上げると、青年は、ううんと悩む顔をし、また紙と万年筆を取り出し、何か描いている。
覗き込むと、
(この青年は絵が上手いの)
昨日の葉に包んだ握り飯が描かれている。
「……」
そしてその描いた絵を指差してから、自分の胸許と狼を指差した。
礼なら、握り飯を寄越せと。
「ふぬん……」
それでいいのなら。
頷くと、青年はコインをしまうようにジェスチャーする。
(ううん……)
まぁ、男ならではの見栄もあるのだろう。
「お主達はいつまであの宿にいる?」
テーブルのやり取りを見て、なぜか尻尾をブンブン振る狼に訊ねると、
『明日には出るつもりだと思うのですが』
「の」
『私も含め、我が主もあなた様が気になっていらっしゃる』
「の?」
青年と狼は、もう1つ先の山の獣退治を請け負ってその帰りなのだと言う。
それ以外でもここには、小さいけれども割りとなんでもあり、なんでもそろう街なため、ちょくちょく訪れていると。
なるほど、しかし。
「気になっている?」
『この辺りは、どこもわりと平和な場所ではあると聞きますが、幼子と狸一匹、どうやらお人ではなさそうですが、我が主は、未だあなた様を幼い少女だと思っております故』
「狸擬きは?」
『あの方は多分、どこかの山か里の主でごさいますでしょうが、我が主人にはそれも解らないかと』
ふぬん。
そうだ、あの狸擬きは。
「強いのかの?」
『平和主義で談話で解決を求める傾向が強いと聞き及んでおります』
なんと。
全く喋らないが。
しかも平和主義。
弱いのか。
弱いのに主か。
よくそれで縄張りを張れるの。
我を守るなどの大義名分すらなく、本当に、赤飯おにぎりだけを目当てに着いてきたらしい。
(ぬぬ……)
あやつのタダ飯食らいで我にくっついて来た疑惑が濃厚になる。
いや、本人は枕を自称しているか。
今頃宿でくしゃみでもしているかもしれない。
あの大きな苺のタルトが運ばれてきた。
丸い円形のタルト生地甘い黄色いクリーム、その上に三角に切られた苺が乗せられ、また今度は白いクリームがちょこんと乗っている。
少し歪な灰色のカップには、
(珈琲の香りに、多分牛に似たものの乳っぽいのが混じっているの)
茶色いこちらも歪な形のザラメ砂糖らしきのが入った丸いが置かれる。
ザラメを落として、元の世界では滅多に飲むことなどなかったかふぇおれ的なもの。
両手でカップを持ち、まろやかな湯気に目を細めて、口を付けてみる。
(ののぅ、香りが良くて、ほんのり苦くて牛の乳は濃厚で)
何より。
「甘くて大変に美味の」
『初めてですか?』
『以前いた世界では、ほぼ食べなかったの』
「なんと」
あの不思議な炊飯器を見付けて、初めて食事を摂るようになったくらいだ。
しかしこのタルトも。
(赤飯おにぎりと同じくらい美味の)
美味しくて黙々と食べてしまうと、じっと見られていた。
「?」
どうやら夢中になって食べている姿が、見物らしい。
(ぬぅ)
青年はごめんごめんと言うように両手を広げ肩を竦めて見せる。
人間の食事をして、改めて思う。
自分の身体の小ささを。
そう大きくないと見えても口に含めば、齧歯類のように頬が膨らむ。
むぐむぐ食べながら青年を見ると、またにこりと笑っている。
『あなた様とあの方はいつまでこちらに?』
「ぬぬ、そうの」
急ぐ旅路でもないけれど、言葉と魔法を知るにはどこへ行けばいいのだろうか。
狼に聞いてみたが、人間の生活にそこまで興味がないため解らないと謝られた。
(まぁそうの)
ふっと強めの雨の音が耳に付き。
「我達はまだ未定の」
『左様で。……おや』
「ぬ?」
狸擬きが、のたのたと雨の中を歩いてきた。
しっかり濡れているけれど、狸擬きは気にした様子もない。
本人は自然の雨は気持ちがいいのだろうけれど。
「お前の、それじゃ今晩はベッドで眠れんぞ」
『!?』
その場でポーンッと跳ねた。
「当たり前の、ベッドで寝たければ風呂の」
尻尾がぺたりと落ちる。
狼はおかしそうに笑い、青年は給仕の少女に多分狸擬きの飲み物を頼んでくれている。
しかし。
「どうしたのだの?」
「……」
遅いから迎えに来た的なことを伝えてくるけれど、茶の場所にのこのこ現れたところから見て、相伴に預かりに来たのだろう。
勘のいい狸擬きめ。
不意に、小鳥が雨の中、ピチチ……ッと軒下に飛び込んでくると、そのまま店内へ消えていった。
「の?」
『何でしょう、あれは緊急用の鳥便です』
何かあったかと思っていると、店の店主と思われる長身の、三十路越えくらいだろうか、細身の男が出てくると、青年に何かを伝えている。
顔付きからして、いい知らせではなさそうだ。
『昨日とは違う山に、何やら悪さをする獣が現れたらしいです』
「それは物騒な話の」
狼はしばらく店主と青年の会話に耳を向けていたけれど、
『今夜の出発になりそうです』
時を争うらしい。
それは急の。
そして、
「お主たちはしばらくは帰らぬのかの?」
『……山の方で、我が主のお父上と合流し、退治したのちそのまま家に帰ることになりそうです』
では今日でお別れか。
『そうなりそうです』
しおしおと耳を垂れる狼。
「くふふ。しかし、お主はなぜそこまで懐いてくれる」
『強きお方に惹かれるのは、人だけでなく獣も同じ』
「……我はそこまで強くないの」
『……青熊を制したのはあなた様だと、私の勘が告げております』
さすが獣の。
誤魔化す程のことでもなく、
「たまたまの、相性もあるの」
飛んでいるものは、小豆を投げてもさすがに高度には限界がある。
しかし地べたを這いずる様な図体が大きなものは、自然と的も大きくなるから当てやすい、だけ。
「青熊が減ったことはここらでは噂になっているのの?」
『多少。青熊のみに起きる流行り病かとも囁かれていますが、旅人の行く道に倒れていた青熊は病の様子はなく、弓らしき何かで頭を撃ち抜かれていたと聞きました』
(ふむん)
青年が、腰に着けた鞄からシワシワの紙を取り出し、何か書いている。
多分、手紙に返事をしているのだろう。
「……」
『いかがなされました?』
もう、この狼とも会えて1、2回。
迷っている暇はない。
「そのの、頼みがある」
『私に出来ることでしたら何なりと』
これは何ともいい笑顔をしてくれる。
「出発前におにぎりをやるから、代わりに少し触らせて貰いたいの」
『私を、ですか?』
驚かれた。
「の、そのもふもふに触れてみたいのの」
特に逞しい胸辺りの毛に。
『私でよければいくらでも』
前足を立ててはいるが、それでも首から腹に掛けて立派なふかふかの毛が膨らんでいる。
椅子から降りると、
「それでは失礼するの」
両手を伸ばして触れてみる。
(のの……)
もふりもふりと柔らかく。
「わほー♪」
顔を埋めてもふりもふりと抱きつくと、
『その、少し、くすぐったいです』
抱きついた身体がまた揺れる。
「ぬーふー」
想像の3倍は毛だった。
しかし中の肉体は当然しっかり引き締まっており、若い血肉を感じられる。
「お主の個体はどれくらい生きる?」
『どうでしょう、寿命でしたら30年といったところでしょうか?』
30年か。
「なら、またそのうち会えるだろうの」
『是非に』
存分に撫でて顔を埋めてから、隣の店で足袋に仕立ててもらった靴下を受け取り、宿へ戻る。
狼は今夜と言っていたが、宿に戻ると夕食の前に出発する様だ。
ひとまず狸の身体を拭き、ベッドには横になるなと告げてから赤飯を炊く。
10個程握って、葉に包んでから小さめの風呂敷に更に包む。
世話になったし餞別代わりに風呂敷はくれてやろう。
バタバタしている気配に、狸擬きと共に部家を出てロビーへ向かうと、青年と狼は旅支度を済ませていた。
青年に風呂敷を渡すと、パッと笑顔になる。
よく見ると端整な顔をしている。
頭を撫でられ、
「またいつか」
と言われた気がする。
宿の前で、宿の皆と他の宿泊客で青年と狼を見送り、隣の風呂屋へ向かうと、今日は若いあのドライヤー魔法を操る女が店番をしていた。
あらと言った表情で、ゆっくり手を振り歓迎してくれた。
また個室を借り、渋る狸擬きを促して、狸擬きのからだを洗い、
「ぬーふー」
雨で煙る景色を眺めながら風呂へ浸かる。
夕食は1人きりのテーブル。
名も知らぬ魚だったけれど、美味しかった。
食べ終える頃に女将がやってきて、目の前の椅子を指差すため頷くと、紙と、黒炭ではなく、くれよん的なものを持っている。
それで何か描いてくれている。
どうやら、予め連泊と決めてくれれば安くなると。
(ぬぬん、申し出は有難いけれど)
拙く宿の絵を描き、そこから出ていく自分と狸擬きを描いて見せる。
太陽のマークは通じるかと思ったけれど、絵の拙さもあり全く通じない。
雨が止む明日には出ていくつもりだ。
滴を描いて、矢印を描き、また滴を描いてそれにバツを付けて、自分たちを指差すと、何とか理解してくれた上で驚かれた。
もう出ていくのかといった体だ。
居心地はいいけれど、ここでは言葉も魔法も理解することができない。
今は言葉に関しては若干迷いもある。
人間ではないせいか、人間よりも獣と言葉が交わせることがとても楽しいのだ。
それがなくなると思うと。
「……」
(ま、それはおいおいの……)
地図を見せられ首を振ると、持っていきなさいと言わんばかりに丸められて手に持たされた。
やはりここは善人しか存在いない世界なのだろうか。
部屋に戻り、行き先によっては、しばらくふかふかベッドとはお別れになる。
(堪能しなくてはの)
窓を開き、じっと先へ耳を澄ませ、流れる空気を読む。
雨は止みそうだ。
「明日、新しい場所へ向かうの」
ベッドの中で狸擬きに告げる。
スンと鼻を鳴らして了解される。
この狸擬きは一体どこまで付いてくるのだろう。
「……」
守るべき自分の里があるだろうに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます